窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

大人の社会科見学-第144回YMS

2022年11月10日 | YMS情報


 11月9日、13年目に突入したYMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)初の試みとして、いつものセミナー会場を飛び出した大人の社会科見学、「三菱みなとみらい技術館」見学ツアーを開催しました。実はこの企画、当初は2020年3月に実施する予定だったのですが、コロナの影響で延期。その後再延期を経てようやく実現しました。



 講師の三菱みなとみらい技術館営業・連携/広報グループ長、佐野麻季様、ご協力いただいた三菱重工様にはこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。





 さて、館内に入ると最初にHⅡ-Aロケットの1/10模型と回収されたフェアリング(ロケットの先端部)の実物が出迎えます。HⅡ-Aロケットは直径4m、全長53mありますので、1/10スケールでもキリンより大きいのです。早くもワクワクしてきます。



 初めに、全幅が15mもある大型スクリーンで、ロケットの製造から打ち上げまでの流れを見ました。1年半かけ技術の粋を集めて製造されるロケットも、打ち上げ後のミッションはわずか十数分。儚い気もしますが、それだけ宇宙に出ていくというのは簡単ではないということですね。因みに、ロケットが地球の重力に抗して宇宙に出ていくには、秒速11.2㎞以上の速度が必要です。つまり、289トンあるロケットをわずか47秒で東京から大阪まで(約500㎞)運べるほどのパワーが必要になるのです。



 したがって、ロケットはなるべく軽く、しかも丈夫に作らなければなりません。上の写真は、アルミ合金製の燃料タンクの一部です。軽量化と強度を両立させるため、内側が正三角形のリブで補強されています。これを「アイソグリッド構造」と言うそうです。しかもリブは、プレスや溶接ではなく厚板を削り出して作るのだとか。アイソグリッド構造は、缶チューハイ「氷結」や缶コーヒー「FIRE」などの「ダイヤモンドカット缶」にも応用されています。この話は子供より大人の方が感心するかもしれません。



 HⅡ-Aロケットのエンジン(LE-7A)。実際に燃焼実験に使われたものが展示されており、ところどころ焼けただれているのが分かります。隣には前身のHⅡロケットのエンジン(LE-7)も展示されおり、LE-7Aの方が小型化されているのが分かります。液体水素と液体酸素を燃焼させ、温度は3,000度にも達するそうです(HⅡ-Aの“H”は水素を表しています)。このエンジンを搭載しているロケットの第一段が使われるのは、打ち上げ後わずか6~7分のことですが、燃焼実験ではスカート部が30分まで耐えられる基準を課しているそうです。なお、3,000度の高温にスカート部が耐えられるのは、内側の溝の部分に液体水素を送り込んで冷却しているからだそうです。この部分に僅かなチリでも入ると爆発の恐れがあるため、非常に厳しいクリーンルームで製造されます。



 右からHⅡ-A、HⅡ-B、HⅢの1/25模型。HⅡ-Aは2023年に退役し、後継機HⅢに引き継がれる予定でしたが、延期となっているとのこと。



 宇宙ステーションに水や食料、実験装置などの物資を届ける、宇宙ステーション補給機(こうのとり)の模型。



 国際宇宙ステーションの日本の実験モジュール「きぼう」の内部様子を体験できる模型。ここに通常は2名で作業をするそうです。



 三菱スペースジェットの模型。元々は三菱リージョナルジェット(MRJ)として知られていましたが、2019年に名称変更したそうです。YS-11以来の国産旅客機であり、日本初のジェット旅客機でしたが2020年に事実上の開発凍結となりました。非常に残念で、ぜひ復活して欲しいです。



 宇宙、空ときて、今度は海へ。有人深海調査船「しんかい6500」の模型です。僕が子供の頃は「しんかい2000」の時代でしたが(2004年引退)、しんかい6500は1989年に就航、現在世界で2番目に深く潜れる潜水調査船だそうです。6,500mまで潜るには2.5時間必要で、帰りも同じくらいだとすれば往復だけで5時間、運用時間が規定で8時間となっているため、実質の作業時間は3時間となります。全長9.7m、幅2.7m、高さ3.2m(コックピットは直径2mの球体)、この狭い空間に2名~3名で8時間。かなり過酷な任務と言えます(トイレも当然食堂もありません)。ただこのコックピットみたいなカプセルホテルがあったらぜひ泊まってみたいです。



 ここみなとみらい地区はかつて三菱重工横浜造船所でした。上の写真は造船所二号ドックで使われていた石だそうです。こんな立派な石が使われていたとは知りませんでした。なお、二号ドックは現在ランドマークタワーの麓のドックヤードガーデンとして生まれ変わっています。



 最後に。2025年に大阪万博が開かれますが、こちらは1970年の大阪万博の際、三菱未来館が予想した50年後、すなわち一昨年2020年の世界だそうです。

・労働時間1日4時間、肉体労働は姿を消す
・ガン克服
・うなぎの完全人工養殖
・台風の制圧
・蛇口から牛乳、料理は自動
・人気のスポーツはグライダーと海底散歩
・住宅は筒形でゆっくりと回転する
・壁掛けテレビや電子頭脳が普及
・仕事は完全自動化

 どうして蛇口から牛乳が出るようになると思ったのでしょうね…。



 社会科見学、遠足と言えばお楽しみはお弁当の時間。それが大人になるとお酒になります。

三菱みなとみらい技術館



神奈川県横浜市西区みなとみらい3-3-1



過去のセミナーレポートはこちら

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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