10月4日、第6回燮読書会に参加しました。取り上げるのは前回に続き「世界標準のビジネス交渉」(現代産業選書、2022年)、今回の範囲は第3章~第4章です。
いつものように、ファシリテーターの波戸岡のサマリーから始まります。今回も本を読んでくる時間がなかったという方からの飛び入り参加がありましたが、サマリーのおかげで無理なく議論に参加できていました。また、事前に本に目を通してきた皆さんにとっても、議論の前のよいおさらいになります。
第3章 交渉戦術の基礎知識
3-1.アンカー効果(船の錨効果)
3-2.留保値(最低の合意点、踏みとどまるポイント)
3-3.BATNA(不調時対策案)
3-4.原則立脚型交渉
3-5.ゲーム理論
3-6.戦術の極意(相手の真の関心事項と目的を正しく知る)
第4章 ビジネス交渉の計画と立案
4-1.交渉開始の二つのアプローチ
4-2.交渉開始時の最適な順序とアプローチ法(信頼関係を育てるには)
4-3.ハーバード流3D交渉術
4-4.交渉戦術のプランニング
4-5.利害を特定する
4-6.逆算マッピング(ゴールからの引き算プランニング。バックキャスト)
4-7.交渉結果の評価法
4-8.交渉テーブルにおける対話の順序
その後、2回のグループアウトセッションでディスカッション。
・都合よくBATNAが探せない場合について。
・倫理的観点から、腹に落としどころを描いて交渉に臨むことの是非について。
・“Divide and Conquer(分割統治)”は分かるが、過去に経験した国際交渉だと、一部の議題で合意に達することができたとしても、結局トータルで合意できずご破算を選択するケースが多かった。部分合意で上手くいった事例はないか?
・部分合意の場合でも、交渉当事者のトップ間、組織内で大枠のベクトルを合わせておくことが不可欠。
・交渉の評価は何をもってなされるべきか?(例えば、今回取り上げたベトナム戦争停戦協定(パリ和平協定)も、合意時点ではアメリカにとって優れた交渉成果だったといえますが、そのわずか2年後に合意は崩壊し、北ベトナムによるベトナム統一という結果となったのは周知の事実です)
「世界標準のビジネス交渉」は事例も豊富なので、理論部分だけでなく事例についての考察にもいろいろと議論が及びました。
最後に、今回の範囲に関連する交渉理論面の補足を行いました。今回のトピックは、
① 繰り返し囚人のジレンマゲームについて
② 3D交渉:セットアップ(相手のBATNAを弱めた交渉事例について)
③ ハワード・ライファのスコアカードについて
①は第37回燮会(第2回交渉理論研究)、②は第48回燮会(第13回交渉理論研究)で取り上げたテーマですが、②については上記の「パリ和平協定」の事例を改めてお話ししました。③はライファの”Negotiation Analysis”では「テンプレート」と呼ばれているもので、第59回燮会(第21回交渉理論研究)「統合型交渉の理論」で詳しくお話しする予定ですが、読書会の皆さんには先取りして、テンプレートの採点方法と複数課題交渉の留保価値をどのようにして定量的に設定するかについてお話ししました。
次回は12月第1火曜日の開催となります。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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