窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

福岡県産パクチーを愉しむ会-福扇華(半蔵門)

2020年03月20日 | 食べ歩きデータベース


  3月20日、風は強かったですが、暖かな春の陽気。今週開花した桜も一気に進むことでしょう。僕個人としても今年に入って初めての三連休、お誘いいただいた「福岡県産パクチーを愉しむ会」のため、半蔵門にある福岡県のアンテナレストラン「福扇華」(福岡)へ行ってきました。

  広々としたモダンな造りの店内は、福岡の特産品販売や工芸品が飾られ、もちろん福岡産の食材、食器を使ったメニューを愉しむことができます。半蔵門駅から皇居方面に向かって5分かからないくらいですので、アクセスも便利ですね。

  早速ですが、ぬる燗のパクチー酒(冒頭写真)から。そして初めに生産者の久留米、香月菜園代表、香月勝昭さんよりパクチー生産を始めてから生産量日本一になるまでのお話や、パクチーへの想いなどを伺いました。



  香月菜園さんでは、パクチー以外にも様々な葉物野菜を生産されています。僕はお土産にロメインレタスをいただきました。



  香月菜園さんは福岡県久留米市で1960年から60年続く農家。パクチー生産に着手したのは2006年、お父様の発案で始められたそうです。実を言うと、香月さんは数年前までパクチーが苦手だったのだとか。ゴーヤ(にがうり)もそうなのですが、子供のころから横浜中華街が身近にあり、また学生のころ(25年も前ですが)はタイ料理のトムヤム麺にどっぷり浸かっていた僕にとって、パクチーは昔から親しみがあったのですが、一般的には香月さんが生産を始められた2006年当時、パクチーはあまり知られていなかったのだそうです。

  試行錯誤を繰り返しながら地道に生産を続けていた2014年、パクチーブームが到来し、世間の認知度が高まるとともに、生産も拡大していきました。言われてみればパクチー、昔はスーパーに置いてある類の野菜ではなかったですよね。そして生産開始後10年で生産量は2倍に増え、現在では東京ドーム2個分の農地にずらりと並んだビニルハウスで日本一の生産量を誇っているそうです。

  パクチーの国内生産量は364トン(2016年)。生産県別では1位が福岡県(107トン)、2位静岡県(97トン)、3位茨城県(62トン)で、この上位3県で73%を占めます。では、1位である福岡県の107トンの内、香月菜園さんがどれ位を占めているかと言いますと、何と86トン。全国シェアで見ても24%を占めているというのですから、驚きです。因みに、86トンの内、42トンが東京に出荷されているそうですが、出荷先は北海道から沖縄県まで全国に広がっています。



  「パクチーを添え物ではなく、普通に手に取って食べてもらえる野菜にしたい」ということで、香月さんは生産だけでなく、料理研究家さんなどと共同でパクチーを使った料理の提案もされています。一例を挙げると、

・おひたし…パクチーは出汁と非常に相性が良いそうです。特に出汁玉子はパクチーが苦手というかたにもおすすめ。
・肉巻き…パクチーを豚肉で巻き、串に刺して焼いたもの。焼き鳥屋密度日本一の久留米では、串に刺して焼いてあれば鶏肉であれ豚肉であれ、「やきとり」なのだそうです。室蘭でも同じような話を聞いたことがあります。
・アヒージョ…パクチーはニンニク、油とも相性が良いそうです。
・焼きリンゴとパクチーのシーザーサラダ…意外な組み合わせですが、果物の甘みとパクチーの香り、そしてチーズの濃厚さの組み合わせがよく合うということです。

  上の写真は、久留米の料理研究家、渡辺貴子さんと開発した、パクチーペースト。バジルの代わりに、ジェノベーゼのソースに使えます。このペースとも「パクチーが苦手」という方にお勧めだそうです。

  さて、生産量日本一となった香月菜園さんですが、平成30年、令和元年と二年連続で西日本を襲った局地的な線状降水帯により、地域一帯が水没、さらに追い打ちをかけるように台風15号、19号によりビニルハウスが壊滅的な被害を受けたそうです。しかし、懸命の努力で2カ月後には復旧、その年の11月23日には収穫体験会を催せるまでに回復したそうです。「野菜にとってのゴールは『食べてもらう』こと」という香月さん、生産者は様々な人に支えられているのだという感謝と共に、「パクチーを当たり前にしたい」という情熱が伝わってくるお話でした。



  質疑応答は、日ごろからパクチー大好きとおっしゃっている福岡県庁の坂田さんから。

・スーパーで見かける香月菜園さんのパクチーが大きく見えるのは、通常1包30gなのが50gあるから。葉っぱも大きい。
・パクチーは暑いところの野菜というイメージがあるが、実は今ごろと秋が旬。パクチーの原産地はエジプト(ツタンカーメンの墓からパクチーの種子が見つかっているそうです)で、日本の夏は夜が暑すぎるとのこと。
・パクチーは、実は根っこが一番香りもあって美味しい(茎も水菜のようで美味しかったです)。
・東南アジアのパクチーに比べ、日本のパクチーはクセが強くない。軟水と土壌が原因ではないか。

  坂田さん、本当にパクチーがお好きなのだということが分かりました。



  さて、福岡県産の食材とパクチーを使ったお料理に移りましょう。先付は、先ほど触れた「パクチーときのこのおひたし」。まず、パクチーに和食とイメージ自体が無かったのですが、なるほど口の中で香るパクチーがとても爽やかで、冷たい出汁を引き立てます。「こういうことなのか」と納得しました。



  桜をあしらった瓶とピンク色のラベルが春らしい、豊盛にごり酒(豊村酒造)。酵母が活きた、ややシュワシュワ感のあるお酒にパクチーを浮かべて。辛口なので、料理ともよく合います。



  向付は、「福岡県産野菜とはかた地どりのスモークチキンサラダ」。鶏肉のスモーキーな香りと、パクチーの香り。カリフラワーとジュレの食感が組み合わさり、食べ応えもあるサラダでした。



  すみません、少し食べてしまいました。逸品、「糸島産本鰆のレアフライ・パクチーのパン粉で」。シェフ手づくりのパクチーソースと塩を混ぜていただきました。



  小鍋、「博多水たき小鍋 パクチーのせ」。香りづけのためでなく、水菜のようにパクチーそのものを楽しむことができます。パクチーが溶けだし、うっすら緑づいた白濁スープは、とろみがありとても美味しかったです。



  追いパクチーもあります。



  食事は、「パクチーの鶏レバ丼」。鶏レバーは福岡ではポピュラーですね。こちらも好みに合わせてパクチー増量。レバーにパクチーのシャキッと感とさわやかな香りを加えることにより、くどさが抑えられ、より美味しく食べられます。



  こちらは日本酒にパクチーを漬け込み、あまおう酢とレモン酢を加えたもの。程よい甘みと苦みのバランスが良い、爽やかなお酒です。



  最後の甘味は、「(自家製)パクチーアイスとあまおう」。アイスの中に、ちゃんとパクチーの葉っぱを感じます。相当量練りこんであるようです。



  本日のお料理を考案、つくっていただいたシェフ(手前)。実はパクチーが苦手なのだとか。それなのにこんなにもパクチーと相性の良い独創的なお料理を作れるなんて、一体どうやってできるのでしょう?因みに、中央にいらっしゃるのは、佐賀県ご出身、日本初のフードスタイリスト、マロンさんです。

  本当に学び多く、楽しい会にお誘いいただきありがとうございました。パクチーは和食と相性が良い、それだけでもパクチーに対する見方が変わりました。

福岡県アンテナレストラン福扇華



東京都都千代田区麹町1-12-1 住友不動産ふくおか半蔵門ビル1階



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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