無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

松山薪能

2024-06-10 12:12:54 | 音楽・芸術・文学


晴天に恵まれた土曜日、松山の薪能を観に向かう。
城跡には、数々の幟が旗めいていた。
時間に余裕が無いわけではないが、駐車場は前回同様に随分と遠くに誘導される。


能舞台を収容する松山城址館に入ると、呈茶が振る舞われていた。
最後尾の椅子に座るも取り残され、「空いている前にどうぞ!」の掛け声で客が進み、お茶が運ばれるまでじっと待つことになる。



久しぶりの野外での薪能である。
太陽が燦然と輝き暑い日だった。



幟に書かれている人名は、能に纏わる人達だと思う。
酒井家の面々は代々続く酒井家の当主達。松平三郎信康は家康と築山殿の間に生まれた長子で、二十歳で自害させられた御方である。



舞台を清め


ご奉行と副奉行が僉議(せんぎ)を行う。


狂言「附子・ぶす」が始まった。
附子とはトリカブトから作られた猛毒のこと。主人は太郎冠者次郎冠者に留守を申し付ける。
附子には触ったりしないように、風下にいても危ないと告げるが。

主人は斉藤則子氏、二人の若手は中学二年生の女生徒である。


本当は容器には附子ではなく、黒砂糖が入っている。
それを取られないようにと申し付けたのだが。


興味津々の両冠者は、扇で風を送りながら、容器の蓋を開ける。
良い匂いの黒糖に、堪らず舐めて、食べてみる。
気がついた時には、空になっている始末。
さてどうしよう。



主人が帰ってくる前に、太郎冠者は次郎冠者をそそのかして、大事な掛け軸や天目茶碗などを粉々にする。


主人に申し訳ないことをしたと、死んでお詫びをするとて、附子を食す。


食べても食べても死ねなかったと主人に言い訳を申すのだが。
主人は怒るも、自ら招いた結果に・・・・・。

狂言の古典でもある。


休憩を挟んで、火入れの儀が始まる。


打ち鳴らされる太鼓と共に。


松明を持った二人がやってきた。








さぁ、薪能らしくなってきたぞと喜ぶも、突風のような風が吹く。


わらわらと、俄に集まる消防署員達。
燃える薪の量を減らせと注意を促される。
近くにあった薪は片付けられ、バケツに入った水は準備され、物々しい様となる。



能 「船弁慶」が始まる。


平家との戦で大功を上げた義経は、戯言によって源頼朝に不信を買い、逃げ延びることになる。


義経役は中学二年生。初々しい義経である。


弁慶は舞台を圧倒するほど大きい。



都から西国へ海路を取るために、尼崎大物の浦から船出をしようとする。


そこへ義経の側室の静御前が、一緒に行きたいと追って来る。



時の白拍子(現在で言うところの宝塚歌劇の男役)で美しい静御前に。


義経は一緒には行けないと告げる。




弁慶からも諭され、静は都へ帰ることにする。


静は別れの舞を舞うのだが。


風はますます強くなり、静が被る筈だった烏帽子は吹っ飛び、静自体もヨロヨロと・・・。



大丈夫か、中の人!
踏ん張りが効かないとみた。














別れを告げて静は旅立つ。


船主に船を所望する。


義経主従は船に乗る。


船頭が漕ぎ出すと、見る見るうちに暗雲がせり出し、風は強まり、海はあれ出す。


そこに勢いよく現れたのは、義経に滅ぼされた平家の怨霊。


壇ノ浦での合戦で義経と戦い、海の藻屑となった平知盛は、怒りを漲らせて義経に挑む。

















義経は刀を抜き応戦し、弁慶は念仏にて怨霊を鎮めようと祈祷を繰り返す。








弁慶の祈りで友盛の亡霊も引き、海は穏やかになる。


幕に描かれた家紋は、酒井家のかたばみの紋。




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2 コメント

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お見事です (お幸)
2024-06-11 22:32:55
cakeさんの解説が
いつもながらお見事です
暴風の件まで・・・庄内平野ですものね
斉藤則子先生すばらしいです
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お幸さん (cake)
2024-06-26 22:12:43
お幸さん、いつもありがとうございます。
返事が遅れて申し訳有りません。

松山能の今回の演目は、見事に天候と合致して、色々な意味で面白かったのです。
斉藤則子さんは、本当に素晴らしいので、お幸さんにも観て貰いたかったと思います。声も通るし何しろ格好が良いのです。子供達も頑張れ!
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