まほろば自然博物館

つれづれに、瀬戸のまほろばから自然の様子や民俗・歴史や見聞きしたおはなしをしたいと思います。

さざなみを 残して白鳥は 夢を追う

2010年05月25日 | 今日はすっかりとアートの世界
 今日も朝からどんよりとして曇った空で・・今にも雨が落ちてきそうな天候だった。

 けいこばぁは・・若い頃から「商船大学生」にあこがれていたようで、なんとしても、「登檣礼(とうしょうれい)」を見たかったらしい・・。しかしのかかし、こうした船は・・月曜とか火曜日に出港し、金曜日か土曜日に入港するもので、普通の人は目にする機会がない・・。ところが、今日はうまくお休みになったもので、高松・サンポートにいそいそと出かけた・・。

 登檣礼(とうしょうれい、Manning the yards)とは帆船の出航時に船員が帆桁(ヤード)などに配置し、見送りに来た来客に対する謝礼を意味する儀式のこと。なお一般の艦船の場合は「登舷礼(とうげんれい、Manning the rail)」が行われる。

 

 日本国内では現在、独立行政法人航海訓練所が所有する帆船「日本丸」「海王丸」が訓練航海の為に出航する際に訓練生による登檣礼が実施される。また大阪市が所有する帆船「あこがれ」による大阪市消防出初式において登檣礼を見ることができるらしい。

 13時から体操やミーティングがあって、13時半に、「出港準備!」の命令が出た。各種ロープが解かれたり、タグボートがエンジンの回転数を上げて作業を開始した。13時55分から実習生が用意を始めた。

 

 「のぼれ!」の号令で、実習生がマストに昇り始め、

 

 

 次々とヤードにたどり着く。そこでいったん待機。全員の足並みがそろったところで、「わたれ」の号令で、ヤード(帆桁)のフートロープを渡って待機・・・。

 

 バウスプリットという船首から前方に突き出たマストの最前部にいるリーダーの相図で、全員が一斉に行動を起こす。姿勢を正し、ヘルメットを胸に当て、それから大きくヘルメットを振って「ごきげんよおぉぉっ・・・!」を三回、繰り返す・・・。

  

 登檣礼(とうしょうれい)のはっきりとした起源は明らかではないが、16世紀イギリス海軍の記録に見られると言うことなのでかなり古い歴史があるということになる。当時は皇族らの送迎、司令官や艦長の交代の際や、出征、遠洋航海など壮途に就く船に敬意を表する礼式だったそうで、現代の登舷礼は登檣礼の名残である。

 日本人がはじめて見た登檣礼は、 1860年(万延元年)遣米使節として、正使 新見豊前守正興、副使 村垣淡路守範正、 目付 小栗豊後守忠順らが米国軍艦ポウハタン号でアメリカに渡る途中、ハワイに寄港 した時のようである。王様が来訪した際の様子を、村垣淡路守範正の「遣米使日記」では、

 「船中奇麗にして胡楽を奏し、水夫は帆桁毎に数百人立ち並て 祝砲二十一発二度打たり--国君を祝すは此数成よし、水夫帆桁に登るも重き禮なるよし--」 と記録している。

 

 日本で最初に登檣礼が採用されたのは昭和28年に、日本丸が帆装復帰し、はじめての遠洋航海が企画されたとき日本丸船内で規律のあり方が問題となった。何せ戦後はじめての遠洋航海だったからだ。結局、各国の海軍礼式令や国際的慣習を調べ、これに準拠して再編成され、このときはじめて登檣礼も採用されそのまま日本丸、海王丸での慣例となったということである。しかし、安全を考えて、やり方を少し変え、ヤード上に立つ方式からフートロープに立つ方式に変えたそうだ。

 

登檣礼は各ヤード(帆桁)に人員を配して行う帆船で最高の礼である。日本丸では、バウスプリット、各マストのヤード及びジガーマストのトップ台に実習生を配し、職員は登舷礼の配置に立ち、笛の合図でヤード上の実習生は岸壁側に注目、士官は敬礼をする。

 敬礼が終わるとバウスプリットの先端に立つ実習生が後ろを向き、「脱帽」、「ごきげんよう」の号令に合わせ、全員で「ごきげんよう」と発声しながら帽子を振りこれを3回繰り返し、「着帽」してマストから降りてきて礼を終わる。

 

 外国の海軍所属の帆船では、ヤードの上に立つ昔からの方式をとっているところがほとんどらしい・・・。日本の練習帆船では、安全を考えてフートロープに立つ方式をとっている。

 一方、【登舷礼(とうげんれい) 】とは、 海軍礼式の一つで、乗組員全員を上甲板の両舷に整列させて、船外の相手に敬意を表すもの。貴人の送迎や特別の出入港に際し行うもの。登舷礼式ともいう。

 
 

 だから、この日本丸でも、一般の職員や乗組員は甲板上に整列、岸壁上に注目して、この登舷礼を行っていた。

 大型の空母の場合と、小さな潜水艦の場合も参考に調べてみた。

 
 

 ここでも、何度も書いているが、船は必要に応じて、信号旗(国際信号旗)を掲揚する。主なものに、アルファベットのAからZまでの26個の1字信号と、二つのアルファべットを組み合わせた2字信号がある。この2字信号のうち、UとWを組み合わせたUWは、「ご安航を祈る」即ち「安全なる航海を祈る」という意味である。

 

 で、これは岸壁に立てられた「UW」旗。有志がが立てたものらしい。また、家族からは、小旗の「UW旗」が打ち振られていた。

 

 船にとって最大の災難は荒天だ。この荒天に見舞われないように、平穏で安全な航海を続けることは、船の最大の念願である。大海原で2隻の船がすれちがったとき、お互いに相手の船の安全を願って「UW」つまり「ご安航を祈る」の信号旗を掲揚するのが慣習となっている。

 

 なお、UW旗の横の青地に白四角旗は「出港準備中」赤と白の旗は「水先人乗船」の印。UW旗の下にあるものは日章旗に似た「1旗」で、岸壁のUW旗に答礼する「UW1」。「ご協力に感謝する。安全な航海を祈る」という。「ありがとう!」という意味らしい。

 

じゃぁ、また、明日、会えるといいね。


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2 コメント

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Unknown (無邪鬼)
2010-05-26 13:57:15
しかし、高いなぁ~

直感で30M以上あるような。

ブームの上に乗らなくなったとしても労働安全上相当な問題が

ありそうな。

ちなみに、安全帯はどうしてるのやろ。

ブームの先の持ち場へ着いた時安全帯はやっとるのかも知れへんが

移動中の安全対策はどうしてるんやろね。

治外法権だから関係無いのかね。

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三点支持方式・・。 (まほろば自然博物館)
2010-05-26 17:51:23
 お世話様です。

 日本丸の場合、メインマストが最も高くて海面から46m。だから・・ヤードの最上部は43mほどかな。ま、40m前後だ。

 安全対は黄色い帯やらロープは着用はしているが、普段には使わない。四本の手足と身体のどこかでの三点支持で身体の安定を保つ。

 この実習生は四月入校の50日前後の経験しかないので、登しょう礼は、両足と、おなか、それに左手でハンドロープを握っての礼で、右手だけが自由になっている。半年もすれば、両手を離して・・おなかと両足の三点支持で空を飛ぶように両手を挙げて、登しょう礼を行えるようになるらしい・・。

 移動中にも帆を解く解帆作業時にも安全ロープは使わない。荒天時とか緊急時には安全ロープを使うらしい・・。

 つまり、両手・両足・身体にどこかの三点で身体を保持したら落ちないということらしい。

そんな説明だったなぁ。だから、必ず、「わたるぞ~」「戻るぞ~」「降りるぞ~」と声を出していたなぁ・・。
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