電気炊飯器の水加減を間違えたか米の分量を間違えたか、炊きあがった御飯がめっかちだった時ほどショックなことはない。母に言い訳しようとする。でも、母には理解できないだろうから惚けて食べてもらうことにした。その後ろめたさを隠す為に老老ディナーは親子丼。水っぽければ分からないと思ったけど、俺は分かっているから美味しくない。因みに老老ブレックファーストは、昨日Aさんからお土産にいただいたいなり寿司とざるうどん。夕方、近所に住む桑原なおさんが来て、今彼女が書いている芝居の台本を一部見せて貰う。面白いけど、まだ先は長そう。今や近所にいることもあって始終会って芝居の相談をしていると、いつの間にか彼女が芝居の上でのパートナーになっている。そこでコロナがいつ鎮静していつからテアトルジャージャンの芝居が出来るようになるのか話している内に、当分治まらないのならお客さんがいなくてもいいからやれる(つまりギャラなし)芝居をやることをあれこれ話す。そこで浮上したのが、去年彼女が演じて貰った「かっこうワルツ」のオカマバージョンを俺が演じると言う企画。正常な神経をしていたら、いやいや役者なんて出来ませんよと断るだろうに、俺は何の躊躇いもなくやってみようと思ってしまっている。そしてすっかり役柄になりきった俺は、明日からの稽古に備えて桑原さんが帰った後、四年以上剃らないでいた髭をばっさり剃ったのだった。