goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

十六夜の薔薇

2008年10月29日 | 08 花たち

 


【イザヨイバラ・十六夜薔薇】バラ科バラ属

この写真は、6月7日に撮影したものです。

そんなに前のものを、季節外れの今頃になってアップするのかよって、大向こうから喧しい声が聞こえてきそうですね。
まあまあまあ、穏便に、話を聞いてくださいな。

5月の終わりに、原種系のバラを中心にし紹介いたしましたが、こちらはその後に出会いましたのでね、中途半端な形で宙に浮いていたんですよ。
この分なら今年の紹介は無しにして、来年ゆっくりということになるはずだったんですけどね。

花数を減らしながらではありましたが6月以降にも咲いているのを見ておりましてね、9月になるとあららら・・・ 花数も増えて元気になりました。
10月になってもまだ咲いておりましたので、今回、めでたく紹介の運びと相成りました。
ニ季咲き性の薔薇だとの記述もありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直径8~10cmほどの万重咲きで、外側は淡く中心に向かって濃くなる紅色の花です。

中国南西部から東南アジアにかけての地域が原産で、日本には古い時代に渡来したと言われておりますが、どのくらい古くからやってきたのかは、不明です。
盆栽として、江戸時代には盛んに作られていたことは確かなようです。

イザヨイバラを見てまず思ったことは、外国の映画の入浴シーン。
バラの花びらを浮かべた浴槽、見た憶えがありますでしょう?
このイザヨイバラの花びらを使えば、あっという間に一面バラの浴槽が出来上がるだろうということでした。

「イザヨイバラ・十六夜薔薇」という名前は、この花の咲き方に由来します。

細めの花びらがギッシリ詰まった花は、全円にはならなくて、一方が欠けたように咲いています。
上の写真だと奥、下は手前が欠けています。
その姿を、満月を過ぎた十六夜の月に見立てたのが、名前の由来です。

なんとも風雅な名前だし、見方を変えれば耽美的とも言えますよね。
満月の前、例えば十三夜と、満月の後、十六夜とでは、同じ欠けている場合でも、意味合いがまったく違ってきます。
足りなくて欠けるのは当たり前ですが、足りてなお欠ける世界があることに、耽美を憶えます。

蕾を包む萼には、鋭い棘がたくさん付いています。
原種のバラとして紹介した「サンショウバラ・山椒薔薇」の萼と、よく似ております。

それもそのはず、一説にサンショウバラの園芸品種とも、サンショウバラとコウシンバラの交雑種とも言われております。
サンショウバラとの関わりは、否定できないようですよ。
(一部に、イザヨイバラの変種がサンショウバラとの記述もあり)

イザヨイバラも原種系のバラですので、病気に強いという特性を活かして、世界各地で各種のバラと交配が進み、新しい品種が生み出されています。
多弁系のバラたちの母種として使われたことは、この花姿から容易に推測出来ますよね。

開花しようとしている蕾が、たくさん落花していましたよ。
虫食いってことでもなさそうでしたけどね。

7/19

イザヨイバラ・十六夜薔薇と名付けられたことが、この写真だとよくわかりますよね。
下の部分が欠けています。


ところがです、9月には、こんな姿を見せてくれました。

全円ですよね。真ん丸ですよ。
欠けた場所は、どこにも見当たりません。


初夏の頃に比べると、あきらかに花数の少なさは否めませんが、蕾も落花することなく、それぞれの花がきれいな花姿を見せてくれています。