夏の花を語るのも、そろそろ終わりに近くなってきました。
数限りなくあるかに思える花たちにも、それぞれの役割が与えられているようです。
役目をまっとうした花から、その席を下りていきます。
東京で花を咲かせる樹木で、街路樹として植えられているものは、夾竹桃が多かったのですが、ここにきて百日紅の木が増えています。
成長が早い樹木ではないので、もう少し時間をかけなくてはいけないかも知れませんが、10年いや20年経ったら、あちこちに百日紅の素晴らしい並木が出現すると思います。
私と百日紅との思い出は、高2の夏のキャンプです。
宇和島の奥に滑床渓谷という景勝の地があって、そこで1泊のキャンプをすることになりました。
そのテントを張った場所が、百日紅の原生林の中だったのです。
まず樹高に驚かされました。5、6メートルはあったんでしょうかね。
それまで、そんなに大きな百日紅に出会ったことがありませんでした。
花付きはいまいちだったと思うのですが、百日紅の森で一夜を過ごすことは、多感な時期の少年にとっては、ある種の感動でした。
代々木公園の一角に、百日紅の森があります。
森は言い過ぎかな。林くらいにしとこうかな。
かなりの年代を経た木が、その一角だけで30本ばかりは植えられています。
年々いい感じになってます。
お気に入りの場所です。
鮮やかなピンクの花盛りの場所には、夏の陽射しを避けて、家族や恋人たちが、シートを敷いてくつろぎの時間を過ごしております。
気だるい夏の午後、静謐に支配された空間は、夢幻の妖しさを運んできます。
公園という場所は、現実に引き戻すに時間はかかりません。
微笑むだけで、通り過ぎて行きます。
サルスベリという名前の由来は、この幹からきてるんでしょうね。
スベスベとした白っぽい色です。
猿が滑っちゃうくらいツルツルとしてる木肌だということです。
お茶室なんかにも使われていることありますよね。
さてさて、近年百日紅の花色も多様化してます。
ピンクを中心に、カメラでは納め切れないグラデーションの様子を見せてくれてます。
お見せしましょう。
純粋な白の色素しかない花です。
少しだけ紫の色素が入っているようです。
淡い紫の花びらです。
この花は実物と、随分花色が違ってます。
かなり濃い紫だったのですが、カメラでは捉えきれませんでした。
このピンクの花の種類が1番多かったかな。
これを基準にピンクのグラデーションが展開されていました。
くすんだ花は、ここには載せていません。
薄いピンクです。
白い花びらが多くなってきてます。
変わり種です。
ピンクの花を、白い縁取りが取り囲んでいます。
こっちは赤い花のまわりに白い縁取り。
この個体は1本だけでした。
ほとんど赤といってもいいような花の色です。
見たまんまの色をカメラに収めることができるのなら、この何倍もの色がありました。
でも、この目はカメラ以上の機能を持ってます。
幽かな違いを、ちゃんと見分けてますから。
百日にもわたる長い間咲き続けてくれる百日紅は、夏の女王かもしれない。