数年前までテニスのルールも点の数え方も知らなかった私だが、大好きな大坂なおみを応援するようになってからは少し分かるようになってきた。見かけはエレガントなスポーツだが、テニスはとても過酷な競技である。体力的な強靭さが必要なことは勿論だが、技術的な精密さ微妙さが勝負の分かれ目になるため、メンタル面が非常に重要となってくる。どのスポーツでも心技体の充実が要求されるが、特にテニスにおいては「心」が重要である。
大阪はもともとフィジカル面では女子テニス界ではNo.1である。しかし、優しくてはにかみ屋ということもあって、メンタル面から崩れて格下の相手に負けてしまうことがままあった。ところが、昨年の全米オープンにおける "Black lives matter"運動への使命感が彼女を大きく成長させた。常に平常心というか、ピンチになっても動揺しないで淡々とプレイしているように見える。以前はリードしていても何か不安を感じさせたが、今は逆にリードされても負けるような気がしない。その結果、昨年夏から公式戦では負けなしの20連勝中である。
今日の準決勝も最初はウィリアムズに2ゲーム先取されたが、その後5ゲームを連取するなど、結果的には6-3、6-4の圧勝であった。試合後のインタビューで、彼女は次のように語っている。
「試合開始時は少し硬くなって怖かった。(しかし)最も重要なことは(試合を)楽しむこと‥‥彼女と試合をすることはいつでも光栄なことだから。」
この謙虚さにおじさんはしびれる。地に足を着けた堅実なものの考え方、それが彼女のプレースタイルに落ち着きをもたらしていると見る。心技体の備わった彼女は今や無敵に見える。コラムニストのDan Wetzel は今日の試合を見て次のように語っている。
「ウィリアムズはまだ多くのトッププレイヤーを打ち負かすことができる。多くの場合、試合の結果を決めるのは彼女自身のパフォーマンスである。彼女の調子がよければ勝つし良くなければ負ける。しかし、大阪との場合は別の話(different-level challenge)だ。彼女は現在世界第3位にランクされているが、実質的にはNo.1(the best actual player)だろう。」
明後日の決勝が楽しみである。
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