「逃げるは恥だが役に立つ」というのは、知ってる人は知っているでしょうが、今週で終わったTBSのテレビドラマのことです。主演の新垣結衣さんの可愛らしさと、共演の星野源さんのちょっとずれたような演技、それに脚本家や製作スタッフの遊び心がうまくかみ合って、とても面白い作品に出来上がっていました。ぼくが今年見たテレビドラマの中では、同じTBSの火曜ドラマ「重版出来」と並んで、他を圧倒して面白かったと評価しています。
「逃げるは恥だが役に立つ」という題名なんですが、ハンガリーのことわざに「恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことが大切」というのがあって、そこからとったということです。そこで、ぼくは思うんだけれど、ある種の人々にとって現代は非常に生きにくい時代でもあると思うんだけれど、そういう時にこのことわざが使えるのではないかと思うんです。
こんなことを思うのは、今朝の朝刊に「電通社長来月辞任」のニュースが一面にあったからです。新入社員高橋まつりさんの自殺について次のように発表しました。
≪ 電通は二十八日夜の会見で、高橋さんの過労自殺に関する外部専門家による調査結果を公表。「長時間労働に加え、仕事の責任感や職場での人間関係が強いストレスが自殺の原因となった可能性は否定できない」とした。上司による高橋さんへのパワハラも認め、「十分なサポートが足りなかったと深く反省している」との認識を示した。 ≫
電通に企業体質を改めてもらいたいということはもちろんですが、高橋さんが、「会社を辞めてしまおう。」という発想にどうして至らなかったのかということが残念でなりません。「自死すること」と「会社を辞めること」を天秤にかける、そんな余裕もないほど追い込まれていたのでしょう。そういう時に、この「逃げるは恥だが役に立つ」を思い出してもらいたいのです。
死ぬ前に彼女はお母さんに次のようなメールを送ったと聞きました。
「お母さん、自分を責めないで、お母さんは最高のお母さんだから」
あえて、ぼくは死人に鞭を打ちたいと思います。そこまで、お母さんを気遣うことができるのに、なぜ逃げなかったのかと‥。ここで、自分を責めない母親がいるわけがないのに。あまりに悲しすぎます。