「時間が止まってる」不安の声5千人、参院自民が分析
参院自民党は、新型コロナウイルス感染拡大に伴って国民にどのような「不安」が広がっているかインターネット上で調査を行い、結果をまとめた。学生ら若年層に経済的な側面や、生活様式の変化への不安が目立った。政府の政策を疑問視するなど「政治」への不安の声も多かった。
調査は、参院自民の「不安に寄り添う政治のあり方勉強会」が昨年12月4日〜11日に実施した。自殺者の増加など、コロナ禍の影響とされる問題について、国民の不安を網羅的に把握し、今後の政策に反映させることをめざす。
調査には全国の10代から70代以上の5012人が回答。年代別では、10〜20代が全体の8・7%で、40代が同31・9%と最も多かった。
コロナ禍で感じる不安を自由に三つまで書いてもらう方式で尋ね、計約1万3千件の回答について、感染への不安のほか、景気、雇用、子育て、差別といった23項目の不安に分類した。
その結果、感染への不安が最多の19・3%で、雇用や金銭的不安などが15・9%、政治の対応が13・2%と続いた。
年代や職種で分類すると、雇用や金銭的不安では20代が24・9%で最多。次に30代が18・8%。とりわけ、就活中や非正規など雇用が不安定で、若年層ほど経済的な不安を挙げる割合が高かった。一方、正規雇用や年金暮らしの人で高年齢になるほど感染に関する不安の方が大きかった。
また、10代は生活様式の変化を挙げる回答が30・4%と最多で、他の年代と比べて突出していた。
ある10代の学生は「大学生の時間が止まっている。リモートで授業。飲み会が始まったら『若者は』とたたかれる。ずっと人間との接触を我慢していた大学生が、やっと人と出かけたら批判されるのは違和感がある」と訴えたという。
分析にあたった山田太郎参院議員は「新入生や新社会人には、『ネットでしか会ったことがない』『会社に行けない』という、会えないことへの不安が顕著に表れている」と話す。
政治の対応への不安も、全世代で十数%と高かった。「コロナを抑えるつもりなら『Go To』事業との整合性がわかりません」(30代女性)、「もっとネットを通じて政治家個人がどのような活動をしているのか発信する人が増えてほしい」(20代男性)といった意見があった。
回答の中には、自殺に触れたり、自殺を暗示したりしているものも、全体の1・5%にあたる192件あった。職種別では就活中の3・4%、年代別では10代の2・2%が高かった。「コロナの影響で職を失い、求人も少なく仕事が決まらず、自殺を考えている」といった意見もあった。
勉強会の座長を務める世耕弘成参院幹事長は29日の記者会見で、「この不安をよく理解し、さらに踏み込んで現場の声を聞くことが重要だ」と語った。調査結果を踏まえ、2月中にも政府への提言をまとめる方針という。(松山尚幹)