なかなか余談を許さない緊張状態が続いている。「(外交解決は)時間切れになりつつある」とアメリカが話を出している。
米、北朝鮮核に抑止政策も=本土攻撃能力に危機感―「時間切れ」迫る
【ワシントン時事】トランプ米政権は1月20日に発足1年を迎える。しかし、外交・安保で多くの時間とエネルギーを割いてきた北朝鮮の核・ミサイル開発への対応で出口戦略は見えていない。米朝対話の展望が開けない一方、米本土を射程に入れる核兵器搭載の弾道ミサイルが2018年中に完成するという見通しもある。米国内では、軍事力行使を含む強硬論と併せて核保有を事実上認めることになる抑止政策が浮上している。
「(外交解決は)時間切れになりつつある」。北朝鮮の核開発のスピードへの危機感を反映し、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は、さまざまな場面で警告を発している。トランプ大統領は北朝鮮が米本土攻撃能力を獲得するのを「阻止する」と強調しているが、具体的な「レッドライン(譲れない一線)」は明示していない。
米側の困惑は、ティラーソン国務長官の発言のぶれからもうかがえる。長官が北朝鮮との対話姿勢を明確にしているのに対して、ホワイトハウスは圧力強化を重視し、政権内の不協和音が目立つ。国際的な制裁体制を軸とする「最大限の圧力」で北朝鮮を屈服させる戦略については、北朝鮮が経済的に依存する中国の十分な協力は得られていないのが現状だ。
こう着状態の中、共和党の重鎮、グラム上院議員が北朝鮮の米本土攻撃能力獲得を阻止するため、米国が軍事行動を選択する確率は「30%だ」とメディアで発言し、波紋を広げた。「核・ミサイル開発を後退させるための限定的な空爆」(退役海軍大佐)などが念頭にあるとみられる。