離脱交渉、主要分野で合意=欧州委、通商協議入り勧告―英EU
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は8日、ブリュッセルでメイ英首相と会談した。ユンケル氏は会談後の記者会見で、英国との離脱交渉で「十分な進展が見られた」との判断を示し、主要分野で合意したことを明らかにした。その上で、英国が求めている通商協議入りをEU各国首脳らに勧告したと述べた。
EUは14、15両日の首脳会議で通商協議入りや激変緩和のための移行期間設定の是非を判断するが、交渉権限を持つ欧州委員会が英国と合意したことで、「第2段階」に進む可能性が高まった。交渉期間が原則2年の離脱交渉は、3月の通告から9カ月を経て、ようやく最初のハードルを越えそうだ。
トゥスクEU大統領は合意を受けた記者発表で、新たな交渉指針の草案を各国首脳に送ったと表明した。一方で「最も難しい課題はまだ先にある」と述べ、難航が予想される通商を含めた「将来の関係」の協議を意識し、厳しい表情を崩さなかった。
メイ氏は会見で、懸案となっていたアイルランドと英領北アイルランドの国境管理問題について、「ハード・ボーダーはない」と語り、現在人や物が自由に行き来している国境に税関などを設ける案を明確に否定した。