マイナス金利や人口減で国内の銀行業が厳しい中、メガバンクが事業見直しを進めている。最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、三菱東京UFJ銀行の店舗の最大2割程度の削減を検討。みずほFGはIT化などで今後10年で1万9千人分の業務量を減らす。組織のスリム化で収益力を高める。

 三菱東京UFJ銀は約480店のうち1〜2割の統廃合を検討する。今後具体案をまとめ、来年度から3年間で進める。また今後15年で店舗を中核店とその他の店に分ける。多くの店は「軽量化店舗」として人員を減らし、窓口業務を完全にデジタル化した無人店も増える見通しだ。ここ10年で来店者は4割減ってネットバンキングの利用が増えており、地域性を見極めながら店舗配置を見直す。IT化による業務見直しも進めて、国内従業員約3万人の3割にあたる9500人分の業務を削減する。

 みずほFGも店舗の統廃合や業務見直しを進める方針で、近く構造改革案として公表する。全国約800店の機能を見直し、20〜30店の統廃合を検討。事業効率化で、今後10年で従業員6万人の3割にあたる1万9千人分の業務を減らす。希望退職の募集などはせず、退職数と採用数の調整で対応する。事務部門を効率化して営業部門に再配置する。みずほ銀行やみずほ信託銀行、みずほ証券の事務作業を別会社に移すことも検討する。三井住友銀行も効率化で、今後3年で4千人分の業務量を減らす。(河合達郎、福山亜希)