▼埼玉県が行っているNPO支援の事業といえば「シラコバト基金」であろうか。補助金助成事業である。
私達「NPO法人教育ネットワーク・ニコラ」はNPO法が成立する前から活動し、NPO法人になってからも10数年になる。
ところが、残念ながら、公的助成というものを一度も受けとことがない(民間からの寄付等はいろいろあった)。
▼NPO活動というのは、主に行政の下請けや委託などによる助成事業ではないかと、一般には思われがちだが、必ずしもそうではない。
自分たちの市民活動やNPO活動が行政のお墨付きという名の紐付きになるのを嫌い、行政から自由になって言いたいことを行政に言って行きたいということで、敢えて行政認可のNPO法人になることを避ける団体もある。
私達の活動も、敢えて対立はしないが、行政にはお任せにできないことを率先してやってきた経緯がある。だから、行政の思惑からはなるべく自由でありたいという思いがないわけではない。
▼でも、私達のNPO活動は、現状にどう向き合うかが大事であり、そんなに頑なに主義主張に拘るわけではない。
では、なぜ今まで行政の助成を受けないできたか?それはひとえに、その手続きの煩雑さにある。役所と言うところは書類を整備させ管理をしっかりやることが第一の仕事かもしれない。しかし、我々NPOの側からすると、それは本来の仕事が終わった後の残務整理に近い作業なのである。我々が自分たちの活動の正しさを再認識し納得すればいいこと。行政の都合に合わせるようなそんな余裕はまずない。
だが、役所に提出する書類の場合には、向こうの書式ややり方に合わせなければならない。それがNPO法人の場合、一般の会社相手の仕事をしている税理士さえもびっくりの煩雑さである。表向きはNPO支援などと言うが、本来の市民活動に反する行政の対応ではないかとも思う。
▼そういうものだったから、今までは市民のNPO寄付が県の支援事業を回ってきたもの以外は敢えて関わらないできた。ところが今回、たまたま埼玉県の福祉部からの案内のチラシを見てしまった。
それで昨日(3月20日)3時からのその説明会に出てみることにした。当日は午前10時からその助成を受けた団体の発表会があったようだが、そんなゆとりはない。それはパスした。
▼そこで話されたのは「クッキープロジェクト」(もとNPO法人ハンズオン代表)の若尾明子さん。もとIT関連の民間企業から転身した経緯や障害者の作業所の人たちと行ったNPO活動などについて話された。
そこで若尾さんが話されたこと、そこから感じ取ったことなどをちょっと記してみたい。
「クッキープロジェクト」自体が県の補助金を使った助成事業であったようだ。年間100万円。しかし、障害者の作業所が寄り集まったところで、自前でプロジェクトが完結できるわけではない。そこでプランナー、デザイナー、ビジネスのアドバイス、ホテルマンなど民間の力を借りることになった。
NPOの力は「まぜこぜ」の力と言う。そこに民間の立場や経験の違う人たちがその持ち味を活かして関わってもらう。もちろん助成を受けた「県」の信用も活かして。
だが助成金は同じ事業で毎回もらえるものではない。 やがて行き詰まる。「ビジネスではないNPO活動維持することの難しさ」を今実感していると見た。
▼行政の助成金に頼るのは一番楽である。新聞への露出も心掛けたという。
だが、NPO活動は名前の通り「特定非営利活動」。営業していけないということではないが、「NPO活動の本来の趣旨を活かし、なおかつビジネスとしてやっていくのは難しい」---そう若尾さんは思っているようだ。
第二の人生の活動として、NPOに期待を抱いているご老人のご意見もあり、それはそれとして尊重したいが。
特にここ数年、行政の側がNPOい対して「助成金に期待するな」と言い始めているようにも見える。健全な市民活動としてのNPOを維持していくことはますます難しくなるのかも知れない。
※(今までも助成金はあくまでも本来の事業に付随したイベント事業等に出されるもの。本来の事業はまた別で維持しなければならない。だから、書類の作成や審査も含めて、中小のNPO団体では応募自体が難しい。だから、実際には、そんな助成などがなくても十分やっていけるだろうと思われる大きな団体が助成の対象となっている。大きな矛盾である)
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