教育落書き帳

教育とは何か…子どもの視点を尊重し、親、伴走者、市民の立場から語ります。子どもを語ることは未来への信頼と希望を語ること。

キャッチコピー…時代を映す言葉

2009年03月03日 | 「大人のフリースクール」公開講座
キャッチコピー…時代を映す言葉

▼いつもとは全く関係のない話題だけれども、世の中にはうまい言い方をする人がいるものだと感心することがある。逆に「えー、これでもプロの仕事?」と首を傾げたくなるものもある。卑近な例では、私たちのデータを素にした本が出されたが、どうもタイトルが「????」という代物。何のインパクトも感じられない。でも、「それでいく」と言うし、「その道のプロ達がやる仕事だから」と任せてしまったが、案の定、さっぱり売れない。プロの仕事でも、中にはそういうものもある。

▼さて、最近そんな話題にちょっと関心を向けたら、うーん、世の中には結構面白いコピーを考える人がいるものだねえ。何も「おいしい生活」の作者だけに限らないようだ。

▼その一つが、「おくりびと」に関するもの。あの映画の評価の割にはもっくん自身はハリウッドではあまり注目されていないとかの話もあるが、スポーツ新聞の紙面で「おくれびと」という言葉に出会った。野球のイチロー選手が前評判や彼自身の言動とは全く裏腹に練習試合ではほとんど打てず、最下位の成績で日本代表のお荷物になっていることを評したものらしい。こう評された彼はきっと針のむしろだろう。こうなると言葉は怖い。さらに3月3日朝日新聞を開くと、夕刊の「素粒子」には「もらいびと」(定額給付金)「うたれびと」(東京中央郵便局)「ぬすみびと」(仏像を盗んだ社長)などが載っている。この中ではやはり「やっぱり定額給付金はもらう」と言った麻生首相を皮肉った「もらいびと」が秀逸だろう。だが、笑っていていいものか…。

▼そんな眼で新聞を見ていると、他にも注目すべきものがあった。「オバマ政権でもこの国も凋落は止まらない─」というサブタイトルがついた大前研一氏の『さらば  アメリカ』という出版物である。詳しい内容は読まねば分からないが、この本はこのキャッチコピーが命だろうと察しがつく。実にタイムリーなタイトルの本である。これと同様のものには『奇跡の脳』“脳科学者の私の脳が壊れた──再生をもたらしたものは何だったのか?”というのがある。これは何よりも著者である脳科学者が脳卒中から奇跡の生還を果たしたということが効いている。

▼さらにもう一つ面白い言葉を見つけた。民主党の岡田克也元代表が自民党の世襲体質を「世襲病」と言って、それは「死に至る病」であると批判している。政治家が2世・3世など子や孫、でなければ娘婿などに議席を引き継ぐ世襲の衆議院議員が自民党の3分の1に達するのだとか。こういう議員達が多くなれば、その政党には庶民の暮らしなど見えるはずがない。たとえ見えたとしても、実感として分かるはずもない。だとすれば、そういう政党は衰退するしかないだろう。が、それは自民党に限らない。民主党の議員の中にも小沢氏や鳩山氏など同じような問題があるのだ。さて、この日本の社会を死に至る病にしかねないこの議員の世襲制を解決するどんな処方箋があるのだろうか。今後の推移を見守りたい。ああ、泥舟と化した日本丸はどうなるのか。

▼「言葉は時代を映す」というが、本当のようだ。逆に言うと、そういう時代を映したことばが特異な色彩を帯びて輝く、ということだろう。そういう意味で、ニュースの言葉が面白い。

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