柿本人麻呂、その人である。万葉集に名を遺して影響を与えた一人者である。歌人である。その生涯に宮廷賛歌、儀礼を歌い上げた、万葉集の全歌数のほぼ10%を占める彼の作品は、その実は多く人麻呂歌集にあるとするものから編集されたとみられ、人麻呂自身の作であるかどうかの議論があるものもあり、宮廷歌人と目される、その優れた歌の数々にあわせ生涯の事績には神秘めく謎がとらえられている。作品の世界には古代王朝の争いを跡付けるドラマが読み取れる。また人麻呂は人麿とも書く。万葉集に万葉仮名表記の日本語史になる興味のある事実があるので、その歌体をなす日本語の表し方に、略体、非略体の別が認められて、和歌を記録する日本語の表記法は漢字をどうとらえていたかを日本語の成立に知らせるものがある。 . . . 本文を読む