読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

こだわると言う語

2009-07-30 13:42:34 | 読書

江国滋氏が嫌いな語法として三つ上げているものの一つに「こだわる」と言う語法を「とりあえず」挙げている。とりあえずと言うのは他に嫌いな語法が幾らでもあるからだそうだ。
「こだわる」を新潮国語辞典で調べると1、さしつかえる。さまたげとなる。2、ある事を気にして、気をつかう。「物言いに・・・って揚げ足をとる」3、故障を言い立てる。と有って、この語は明らかにマイナスイメージの言葉である。が何時の間にかプラスイメージの語として使われるようになった。それが不快であるらしい。ホンモノにこだわりたい、とか最近何故か文房具にこだわっている、とか、「これ、ちょっとおかしいんじゃないの」とクレームを付けておられるのだ。
ほかに表現方法がなければ仕方が無いが、よく使われている言葉で、「執着がある」とか「愛着がある」とか「打ち込む」「ほれ込む」「凝っている」などいくらでもあるではないかと言われるのである。言葉の意味は時代とともに変遷する。これは抗し難い事であろう。英語でもsophisticatedやterrificなどの語に出くわすたびにそんな事を思う。
前者は、わるずれしたと言うマイナスの意味の語が洗練されたと言うプラスイメージの語として使われるようになったし、後者は酷い、と言う意味からすばらしいと言う意味で使われるように変わっているのである。