読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

三宅一生氏のニューヨークタイムス誌への投稿記事

2009-07-23 10:06:54 | 新聞

以下はデザイナーの三宅一生氏が核廃絶を呼びかけNew York Times 誌に投稿した記事を省訳したものだ。
一瞬の光の記憶( New York Times )(省訳)

4月、オバマ大統領は核のない世界の平和と安全を求めていくことを誓った。それは、単なる核の削減ではなく、廃絶を呼びかけたものであった。その言葉に、私の心の中に深く埋もれていたものが目覚めた。それは、今まで話題する事さえ躊躇される事であった。

私は、大統領が「閃光」と称したものを生き延びた一人として発言
する個人的、倫理的な責任が有るとこれまでに無く強く感じた。

1945年8月6日、最初の原子爆弾が私の故郷の広島に投下された時、私は、その広島の町に居り、わずか7歳だった。眼を閉じると、誰も経験すべきではない出来事が今でも甦って来る。真っ赤な閃光とその直後の黒い雲、必死に逃げ惑う人達、それらをすべて覚えている。その3年も経たない内に、母も被曝が原因で亡くなった。
我々が世界から核兵器の廃絶を目的とするのなら、これは論ずべきテーマだと思う。広島では、8月6日の世界平和記念日にオバマ大統領を招待しようという動きが有る。毎年、あの運命の日を記念して式典が開かれる。私も大統領の出席を望む。そう望むのは、過去に拘る為ではなく、アメリカ大統領の目標が将来の核戦争を廃絶するために努力を傾けることにある、というメッセージを世界に送りたいと切望するからである。