伊坂幸太郎さんの「魔王」を読み終わりました。
結末らしい結末のない不思議な物語でしたが、伊坂さんの本はやっぱり面白かった。
他人に念を送れる能力を持った兄とその弟、憲法改正を問う国民投票を推し進めるカリスマ政治家との魂の交錯が描かれています。
知らず知らずのうちに操作されている時代のムードの中で「考えろ、考えろ」というメッセージなのかなと思いました。
印象に残った言葉や場面を紹介します。
☆お前たちのしていることは検索で、思索ではない
☆人にとって一番贅沢な娯楽は人を赦すことだ
☆考えろ考えろマクガイバー
☆生きていればこういうこともありますね。
(日本に帰化したアンダーソンさんが妻を失ったときと、家を放火されたときにつぶやいた言葉)
☆クラレッタのスカートを直せる人になる
(ムッソリーニが恋人クラレッタとともに処刑され遺体が逆さに吊るされ、群衆が唾を吐いたり叩いたりしていた。クラレッタのスカートはめくれて下着が丸見えになり、群衆が大喜びしていた時に、一人ブーイングを受けながら梯子を昇りクラレッタのスカートを戻して自分のベルトでクラレッタのスカート縛ってめくれない様にしてあげた人がいたという逸話)
私を含め、人は空気に流されやすいし煽られやすい。
そして決断を迫られたときは損か得か、自分に責任があるのかないのか必死に算盤をはじく。
願わくは、クラレッタのスカートを直せる人でありたいものです。