【貧困女子】婚約者にうつした性感染症、清掃バイトの後に飲む缶チューハイの味
Suits-woman.jp 3/5(日) 10:01配信
女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。
今回、お話を伺ったのは、宿泊施設の契約社員として働く・濱田紀子さん(仮名・35歳)。彼女は中堅レベルの有名大学の経済学部を卒業し、先物取引を扱う金融会社に勤務します。25歳の時に社内の男性と結婚を前提とした交際を開始。27歳のときに結納まで済ませたけれど相手側から婚約破棄。その会社にいられなくなり、様々な会社に転職したのちに、今のアルバイト生活に落ち着いたそうです。
彼女の身長は165cm以上あり、肉感的なセクシーボディーが特徴的。紫色のニットとベージュのコットンパンツをはいています。アウターは黒のファストファッションのダウンジャケット。バッグは海外セレブが広告塔になっていることで有名な、フェミニンなデザインのブランドのベージュ色のトートバッグを持っていました。
現在の収入は手取りで月13万円。母子家庭世帯が多く住むシェアハウス(家賃3万円)に住んでいます。
「今、不安なのは将来のこと、老後のことです。母親は元水商売の女性で、私は父親が誰かわからず、身内と呼べる人は母しかいません。その母も、今は埼玉県さいたま市に別の男性と生活していて、私のことは興味がありません。貧困って話題ですけれど、貧困の人って孤立無援という人が多いと感じます。私が住むシェアハウスも、誰も助けてくれないし、行政の窓口に行っても書類の書き方さえわからない人が多いです」
紀子さんは大学を卒業しており、まかりなりにも企業に5年間務めたという経歴があります。そのスキルを使って、他の仕事はできないのでしょうか。
「就活のストレスをなめないでくださいよ! 自費で面接に行って、“不採用です”って言われるストレスを考えたこと、あります? 今だってギリギリで生活しているのに、往復1000円近くの電車代を使って、順番待ちして、アレコレ質問されて、こっちも緊張とストレスでおかしくなりますよ。そのあげくに不採用って、地獄に突き落とされた気持ちになりますよね。それに今はそんなことはないようですが、女性だというだけで、結婚とか妊娠とかそういう話も聞かれますし、私は親がいないから、その時点でもマイノリティーですから」
派遣社員という働き方を受け入れられなかった
派遣社員という方向性は考えなかったのですか?
「一度登録して、働いたことはありますが、派遣社員って、ものすごく扱いが低いんです。“言われたことだけやっていればいい”、それでも“言われたこと以上のことをしなくちゃいけない”という高度なコミュニケーション能力を要求されます。それに、前任者と同じスペックが必要なのもキツい。私が派遣された証券会社は、前任者のコミュ力も高く、英語が堪能、ダンナが一流証券マンで美人というスーパー派遣社員が前任者だったんです。だから、その人と比べられて、あからさまにため息をつかれたりして、ホントに嫌な思いをして、1週間で辞めました」
そもそも、前の会社を辞めた理由はなんだったのですか?
「婚約破棄です。私が入社3年目の25歳のとき、3歳年上の中途採用の同僚と付き合うことになったんです。彼は大沢たかおさんに似ていてカッコよく、先物取引のトップ営業マンでした。ウチの会社は、地方に地味に営業に行ったり、ノルマが達成できないと土日も出勤して営業電話をかけ続けるという、スポーツ根性的な会社だったんですが、彼はスマートでカッコよかった。みんなが彼のことを狙っていたのに、私が選ばれたのは、同じく母子家庭育ちだったから。2年交際して、結婚となったときに、彼が性感染症になってしまったんです。私が浮気相手からもらった病気を彼に感染させてしまって……。これに彼は激怒し、上層部に報告、悪い噂を立てられて、会社にいられなくなって、27歳の時に自主退職しました」
性感染症を婚約者の男性にうつしたことで、悪い噂を立てられ、会社にいられなくなり退職。その後の生活を教えてください。
「5年間、会社に安月給でこき使われたのに退職金はたったの20万円。当時、神奈川県川崎市鶴見区に住んでいて、そこのバーのマスターが浮気相手だったのですが、彼に引っ越し費用を50万円出してもらって、都内の家賃5万円のアパートに移りました。保証人会社にお金を払ったりすると、30万円も吹っ飛んで行って、悲しくなりましたね。畳と砂壁のボロアパートだったのですが、そこで飲んだレモンの缶チューハイの味が忘れられません」
孤独と不安から酒浸りの生活になったといいます。
「失業保険をもらうまでの2か月間は、何をする気も起きなくて、毎日布団に入ってお酒を飲んで泣いてばかりいました。なぜか映画の『タイタニック』をリピートで見ていて、今でもセリフを暗記しています。だからといって英語ができるわけではないですよ(笑)」
失業保険受給期間が終わった頃に、正社員採用試験を受け、3つの会社に勤務するけれど、最長で3か月だったといいます。
「前の会社は、なんだかんだいって創業20年以上の会社だったから、社員を大切にしていたと感じます。福利厚生とかそういうことではなく、経営者が社員に気遣ってくれているというのが伝わってくる職場環境でしたね。残業の時に出前をとってくれるとか、会長が成績優秀者にプレゼントをくれるとか……。その後、勤務した会社は、“やることやったら、とっとと帰れ”みたいな雰囲気でした。みんな気持ちがバラバラで、自分のスキルアップのことばかり考えている役員と、投資家から集めたお金でにわか金持ちになってウハウハしている社長……終わっている会社ばかりでしたね」
紀子さんは肉感的なボディーだったので、愛人としてお誘いを受けることもあったとか。
「婚約破棄の理由が理由だったので、トラウマになってしまいその後、男性と恋愛関係になったことはほとんどありません。何回かはあるのですが、朝起きると枕元にお金が置いてあり、“口止め料ね”というLINEが来てから、その後は相手からブロックされる……というような関係です」
今、住んでいるシェアハウスには、3年前から入居しているといいます。
「非正規雇用の仕事ばかりしていると、やる気がどんどんなくなって、仕事と割り切ればいいのですが、私は“大切にされたい”とか“成長したい”とか“みんなで頑張りたい”という気持ちが先に立ってしまう。そういう気持ちは、派遣社員や契約スタッフは持ってはいけないんだと思います。言われたことを淡々とやればいいのに、ほめられないとやる気が出ないから、手を抜くようになり、手を抜くとバレて怒られて、辞める、というループの繰り返し。そんなことを続けていると、5万円の家賃を払うのもつらくなり、今のシェアハウスに落ち着きました」
オンボロの一軒家を共同で借り、シングルマザーの女性たち3組+紀子さんで暮らしています。
「この家には、2歳と3歳の女の子がいるのですが、意外に静かでみんなと楽しく生活しています。夕飯は食堂で食べることが多く、みんな結構仲良しなのが救いです。この前、2歳の女の子のママ(38歳)は、超有名な企業に勤めていることがわかったのですが、給料を聞いたら15万円なんですよ。時短勤務だから減給されているんですって。ボーナスもあるけれど、出産前の半分になってしまったとか。彼女は、バーテンダーの元夫からの養育費がストップしてしまい、このシェアハウスに流れたそうです。彼女は宗教しか頼るものがないらしく、なけなしのお金の中から、せっせとお布施をしているみたいですね。時短勤務じゃなくなってしまったら、給料は戻るけれど、子供を見る人がいなくなる。シッターを雇うと高額になってしまうから、どうしようか……と悩んでいました」
生活保護申請や、行政に頼るという選択肢はないのですか?
「申請に時間がかかるし、役所の人の常識で考えられたシステムだから、頭がいい人しか申請できないと感じます。私は少なくとも大学を出ているから、情報収集をしたり、申請書の書き方、保険の入り方などをアドバイスしました」
今の紀子さんの仕事を教えてください。
「滞在型の恋人向けホテルのスタッフです。帳簿管理や清掃を行なっています。岩盤浴などもあるから、清掃が大変で。時給は夜間勤務だと最大2000円になることもあるし、社長もスタッフもいい人だし、この仕事は2年間続いています。
シェアハウスの友だちからは、きちんとした会社のデスクワークを勧められるのですが、会社に入るには、あれこれ詮索される面接を突破しないとダメだし、せっかく入っても人間関係に消耗するから、この仕事がいいなと思いました。
最近の社会は優しくて口当たりのいいことばかりしか言わないけれど、ホントの人間は意地悪で人の足をひっぱりたいといつも思っている生き物だと思います。幸せな人を見ると、みんな不幸になってほしいと思っているんですよ。それは、前の会社の婚約破棄の時に思いました。あのとき、女性の同僚たちは“おめでとう~うらやましい”とか言ってちやほやしていました。でも、元彼が会社に対して、性感染症の病名までバラしたときは、あからさまにバイキン扱いして、トイレに今まで置いてなかったクレゾール石鹸を置かれました」
今の幸せは、夜勤明けに缶チューハイを飲むこと。
「深夜0時から7時までの勤務時間が終わった後、500mlの桃味の缶チューハイを一気飲みするのが、私の楽しみです。なるべく甘くて、アルコールの含有量が多いものを選んで、カラスの泣き声を聞きながら一息で飲みます。すると、ふんわりと体が浮き上がるような気持がして、不安やイヤなことが消えていくんです」
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