京都人と名古屋人、ガチンコで口論したらこうなった

2018年06月13日 | 旅行

京都人と名古屋人、ガチンコで口論したらこうなった

6/13(水) 13:00配信

現代ビジネス
京都人と名古屋人、ガチンコで口論したらこうなった

写真:現代ビジネス

 東京と大阪を尻目にアピールしまくりの名古屋と、そうはいかじと立ちはだかる京都。そこに住む人たちは相変わらず一筋縄ではいかない。日本を代表する「クセモノ」の両雄がいま、あいまみえる――。
じつは似た者同士

 「あの人ってややこしくない?」

 「そうそう、よくわからないけどなんだか苦手っていうかさあ」

 「やっぱりあれかなぁ、名古屋の人だからかなぁ」――こんなありがたからぬ扱いを受けてしまいがちな名古屋人。

 天下の信長、秀吉を輩出し、世界のトヨタを擁する由緒ある地。だが、他県民からは羨望のまなざしどころか「セコい」「何でもパクる」「見栄っ張り」と疎まれ嫌われる傾向にあった。

 '16年に行われた全国8大都市(東京23区、札幌、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡)の「都市ブランド・イメージ調査」でも、〝最も魅力に欠ける都市〟で不名誉な1位を獲得したのはご承知のとおり。

 これに対して危機感を持ったに違いない名古屋の方々は、「ほんなことあらすか」とばかりにイメージ回復を図ろうとした……であろうが、いまだに他地域からの「名古屋ぎらい」を払拭するには至っていない。

 その一方で、名古屋人に負けず劣らず、なぜか敬遠されている土地がある。それは古都・京都。'15年に発売された『京都ぎらい』(著者・井上章一氏)はベストセラーに。

 洛中に住む京都人だけが持つ「いやらしさ」「腹黒さ」を改めて感じ、やはり京都人とは仲良くなれそうにないと思った人も少なくない。

 そんな「クセモノ」の両雄・京都人と名古屋人だが、近ごろお互いへの敵意をなぜか強めているという。

 京都人が「名古屋なんて東京までの通過点。意識したこともありまへん」と鼻で笑うと、名古屋人は「これから開通するリニアは、名古屋は通るけどよ、京都は飛ばされとる」と皮肉たっぷりにやり返す。

 そんな両者だが、じつは意外にも共通点が多い、似た者同士でもあるのだ。近親憎悪と言うべきか。

 平安朝より日本の中枢として栄えていた京都。信長はもとより家康のゆかりも深い名古屋。任天堂など地元企業を多数構える京都に、名古屋は言わずもがなのトヨタの城下町。おばんざいにあんかけスパと地元グルメもきわめて個性的ときた。

 そのためお互いに郷土愛が強く、よそ者を受けつけずプライドが高い。

 そもそも名古屋が嫌われていることを世間が認識したきっかけは、タモリにある。

 '80年代に「東京と大阪に挟まれて独特のコンプレックスがある」「エビフライをエビフリャーと呼ぶ」「ミャーミャーうるさい」とラジオやテレビで散々、面白おかしくからかったことで、世の名古屋ぎらいに火がついた。

 名古屋の女性はド派手で、ブランド好きというイメージも定着している。「名古屋巻き」と呼ばれ一世を風靡した巻き髪の女性は、もうほとんどいないとはいえ、

 「名古屋の人は、なんかダサいわ。名古屋城の金のシャチホコも金閣寺と比べたら下品やしなあ」(京都人)

 さらに名古屋人は、しばしば見栄っ張りと揶揄される。「日本一」「日本初」という言葉が大好き。日本一の100m道路、日本一大きいマネキン人形「ナナちゃん」などなど。

 世界最大の駅ビルとして名古屋駅のJRセントラルタワーズがギネスに登録されたときは名古屋中が歓喜した。'16年に認定が取り消されたが、名古屋人はいまだに世界一だと主張する。


本音を言わない京都人

 「名古屋人の見栄っ張りは裏を返せば、自信のなさの表れでもある」と解説するのは、『名古屋あるある』の共著者で、名古屋出身のエッセイスト・川合登志和氏だ。

 「名古屋人は『見栄っ張り』『目立ちたがり屋』と批判されますが、東京、大阪と同等に日本三大都市の一つとしてちゃんと扱ってほしいという承認欲求が強いのです。

 でも、自信がないから見栄を張ってしまう。名古屋人は京都などの関西人に比べてアピールがへたくそなんです。それが他府県からすると、上から目線ととられてしまっているのかもしれません」

 京都人は「何をそんなに必死になってはるんやろぅ」と気の毒そうに憐れむが、名古屋人は返す刀で「京都のいやらしさに比べればどえりゃあマシだ」とあしらう。

 名古屋が「見栄」なら、京都は「いけず」だ。名古屋人は、見栄は張ってもウソはつかない。だが、京都人は本音を隠す。名古屋から京都に出張に行ったサラリーマンの話。

 「京都の料亭で、『えらいきれいなネクタイしてはるなあ』と褒められたと思っていたら、真意は『派手なネクタイして、全然似合っていない』という嫌味だった。なんでそんなわかりづらい牽制をするのかねえ」

 京都人は本音と建て前を使いこなす。いけずは、角が立たないようにする京都人なりの気遣いらしいのだが、他府県の人間からは理解されにくい。

 さらに京都人の「選民意識」は名古屋の比ではない。他所から見れば、京都に住んでいる=京都人と思うかもしれないが、洛中(中心地である碁盤の目の中)と洛外では大きく意識が違う。

 本当の京都人は洛中出身の人間だけで、それ以外は「京都ではない」と考える、さらにややこしい京都人が存在する。

 『京都ぎらい』の著者で、京都市にある国際日本文化研究センター教授の井上章一氏が苦笑いする。

 「私が育った嵯峨(右京区)は同じ京都市内ですが、洛外に当たるため、洛中の人からは京都と認められていません。

 洛外の人が東京などで『京都人です』と言うと、洛中の人からは『それは詐欺みたいなもんや』と揶揄されるので、あえて京都府出身と強調しています」

 「三河(愛知県東部)の岡崎出身者が名古屋人を名乗ったら怒るやろ。それと同じどす。名古屋人のケチ臭さに比べたら可愛いもんでっしゃろ」(洛中生まれの京都人)


名古屋人の気質は「侍」

 たしかに名古屋人を語る上で外せないのが、その「セコさ」だ。

 名古屋では、店先にある「開店祝い」の花を抜いて持ち帰るのが常識。

 「名古屋のビジネスには『三段値引き』という習慣があります。見積もりで値切り、納品で値切り、おまけをつけさせる。しかも振り込み手数料まで相手側に負担させます。かつて東海銀行のATMには、手数料を相手負担にするボタンがあったほど」(前出・川合氏)

 名古屋人はとにかくおカネに厳しい。総務省の家計調査によると1世帯の貯蓄額は約2170万円で全国トップクラス。

 京都市出身で名古屋に4年間在住していた「イエローハット」代表取締役社長の堀江康生氏は、自身の経験を振り返る。

 「名古屋は『割り勘』が当たり前でした。複数で喫茶店へ行って、そのうちの一人が先に出る時は、テーブルの上に自分のコーヒー代を置いて『そいじゃね』と去っていく。

 京都ではおカネのことはあまり細かく言わないので最初は戸惑いました。でも考えてみれば割り勘なら変な気遣いもいりませんからね」

 合理的と言えば合理的だが、単なるケチとも言えなくはない。それについて河村たかし名古屋市長はこう反論する。

 「やっぱり織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という三英傑を生み出した土地でしょう。

 だから名古屋人は『侍』なんですよ。大阪は商人の街だけえ、人付き合いが盛んで、京都は貴族だもんで華やか。侍はしゃべらんでしょう。家でじっとしている。だから名古屋人は質素で倹約家。セコいのとは全然違う。質実剛健ちゅうわけですよ」

 そんな侍の名古屋人でもおカネをかけるシーンがある。冠婚葬祭だ。

 「名古屋の結婚式は日本一、引き出物が大きくて重たいと言われます。引き出物は名古屋の食器『ノリタケ』が定番。名古屋人はふだんはケチですが、冠婚葬祭など親戚が集まるときにはカネを遣います。

 他県に出ず地元に残るため、親戚のつながりも強くなる。その分、世間体や身内の評価を非常に気にするのです」(前出・川合氏)

 また、あんかけスパのみならず名古屋の食文化はあまりに独創的だ。「一安二量三味」。安いことが一番大切で次に量、最後に味というこだわりである。

 「名古屋メシ」に代表されるのが、味噌カツ、味噌煮込みうどん、ひつまぶし、天むす、トンテキ、台湾ラーメン……。喫茶店のモーニングも有名で、コーヒーにトーストやゆで卵が無料でつく豪華っぷり。しかも午後3時まで頼むことができる。

 「そやけど、天むすもトンテキも三重県が発祥やし、モーニングも豊橋や広島から始まってる。名古屋メシいうても結局はパクリやろ」(京都人)

 そんな大人げないツッコミに名古屋人は「何を言うとるんだか。名古屋が全国的に広めてやったんだがや」とまったく聞く耳を持たない。それどころか、

 「あんな薄い味でガマンして、たわけみてぇや(バカじゃないの)」とカウンターを浴びせる。

 薄味を好む京都人とは正反対に、名古屋人はとにかく濃い味が好きなのだ。京都市出身の前出・堀江氏は「最初は味の濃さに慣れるまで大変だった」と苦笑する。

 「でもそれだけ赤味噌が好きなのに、正月の雑煮はおすましって、わけわかりませんわ」(京都人)

 お互いに「お前のほうが嫌われてる」とぶつかる京都人と名古屋人だが、全国的に見れば、どっちもめんどうくさく、ややこしい人たちであることは間違いない。


「関西」と一括りにするな

 それでいて東京には屈折した憧れを持っている。

 「'21年度に東京から文化庁が移ることが決定し、先がけて京都に地方文化創生本部ができたのですが『京都は地方ではない』と京都側が反発し、地方から地域に変更させました。

 洛中人のなかには、東京に行くことをいまだに『東下り』と言う人もいます。いまの京都は経済や文化でも東京に圧倒されていますが、それを認めたくないのでしょう」(前出・井上氏)

 東京は好きじゃないけど、ある種認める存在。ただ、大阪に見下されるのだけは我慢がならないと、京都人も名古屋人も口を揃える。

 「名古屋には東京のような華やかさはにゃーけど、トヨタ自動車があるんだわ。自分たち名古屋が日本を支えとる。だから大阪にたわけ(バカ)にされるのはどえらい心外だがね。

 近ごろ、就職で大阪から名古屋に来る人が増えとるが、名古屋に馴染む気がまったくにゃー大阪人を見ると、いい気分はせんがね」(名古屋人)

 京都も共同戦線を張る。

 「京都人は関西と一括りにされるのを嫌います。特に関西弁、大阪弁という言い方には敏感です。弁とは地方の言葉という意味なので『京都ことば』と言いなさいと洛中の人から教えられたものです」(前出・井上氏)

 いまやトヨタの名古屋、インバウンドで稼ぐ京都は、オリンピック頼みの東京や都構想もままならぬ大阪と比べても遜色ない日本の中心都市のはず。とはいえ、その気質はそれぞれにいつまでもややこしい。

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