恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

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将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

「解散先送り」で「政治空白」は避けられるのか

2008年10月28日 | 国会・政党・選挙
■ 避けるべき「政治空白」

 衆議院解散について「山場」とされてきた10月末を前に、与党内では年内の解散総選挙を「先送りすべき」とする意見が強まっています。
 27日には麻生首相が、年内の総選挙は見送る意向を固め、与党幹部にも伝えたと報じられました。
 この日、日経平均株価がバブル後「最安値」を記録し、翌28日には一時7千円台を割りました。
 「金融恐慌」の影響が比較的小さいと言われている日本経済ですが、既に大変な危機が訪れています。

 その影響は、長く「痛み」を強いられてきた国民生活を直撃します。物価が高騰する中、所得が上がらなければそれは実質上の減収を意味します。とりわけ非正規労働者や年金生活者など低所得の世帯ほど、重くのしかかってくるでしょう。
 このような状況の中で、金融の安定化を図りつつ、国民生活の「底上げ」を図るような経済対策・景気対策によって内需を刺激を目ざすことは重要であり、解散総選挙による「政治空白」を起こしている場合ではないという意見も、「もっとも」だと思います。

■ 経済対策と国民生活の「放置」

 しかし現在「小出し」に報じられ、今月末にようやく出揃うという政府・与党の経済対策は、まだ財源問題にぶち当たっています。
 既に麻生首相が指示している「税制改革」の議論では、その財源確保のための増税がセットになっており、選挙前に「バラマキ」をちらつかせながら、後で「ゴッソリ取り返す」という道筋が見え隠れしています。
 このような背景を持つ経済対策にしても、麻生首相自身が「今国会での成立は困難」との見方を示しています。
 今国会で無理ならば、来年1月からの通常国会で決めることになるでしょう。であれば、その対策が決まるのは、早くても1月末、少しでも揉めるようなら2月以降ということになります。
 つまり、それまでの約3ヵ月間は何も決まらないのです。

 麻生内閣が誕生してから1ヵ月余りが経ちますが、今後その数倍もの期間、ほとんど何もしない状態が続くようなものなのですから、実に悠長な話です。
 その間、国民生活は「放置」されることになります。これこそ「政治空白」ではないでしょうか。

■ 開かれない委員会、審議されない重要課題

 もちろん、今も国会は開かれています。
 しかし、ここでまともに開かれた委員会は、与党内からも「あまり意味がない」と評された第一次補正予算案(成立済み)を審議した衆参の予算委員会と、アフガン戦争のための給油を継続する法案を審議する、衆議院テロ特別委員会と参議院外交防衛委員会だけです。

 ほかに国会で取り上げるべき重要課題は山積しているのに、まともに委員会が開かれていないのです。
 例えば、年金記録改ざん問題や医療制度。雇用問題などについて審議すべき厚生労働委員会も、事故米・汚染米の流出など食料問題を審議すべき農林水産委員会も、北海道洞爺湖サミット後の具体策を検討すべき環境委員会も、道路特定財源の一般財源化などについて議論すべき国土交通委員会も、ほとんど開かれないままなのです。

 「金融危機」の問題についても、所管の財務金融委員会が開かれたのは、新大臣・新副大臣らの「就任のごあいさつ」を兼ねて行われた一度だけという有様です。
 いま国会では、正に「政治空白」が起きているのです。

■ 「政策より政局」の政府・与党
 
 こうした「政治空白」は、地方にいてもよく分かります。
 国会開会中の平日だというのに、現職の衆議院議員が、昼夜を問わず街頭でマイクを握り、行事に顔を出しています。ほとんど地元の選挙区に「張り付き」の状態なのです。
 これはもちろん彼らのせいではありません。彼らが国会に居なくても良いような国会運営をしている現在の衆議院のせいですし、各委員会を閉ざすような政権運営を行っている人々の責任でしょう。
 ご存知の通り、衆議院では与党が圧倒的多数を占めています。当然、委員会を開くかどうかは与党の思惑で決まります。
 その与党が、常任委員会すら開こうとしないのですから、これは与党側の「審議拒否」「ボイコット」と言っても過言ではありません。

 麻生首相は以前、「政策より政局という時代ではない」と語りましたが、政策も法案もまともに議論せず、「政局」にとらわれているのは、むしろ政府・与党の側であり、彼らによって「政治空白」が現在進行中なのです。

■ 麻生政権の継続こそ「政治空白」

 国民のくらしを左右する景気・経済対策の、今後約3ヵ月間に及ぶ「放置」。
 政府・与党が続けている、委員会の「ボイコット」。
 こうした事実をメディアは報じようとしませんが、これは全て現実に起こっていることです。
 衆議院解散を「先送り」したところで、この「政治空白」が続くだけです。

 それならば、麻生首相が行わなければならないのは、これまで安倍・福田・麻生と続いた「民意を反映していない政権」の看板を下ろすために、国民の審判を仰ぐことです。本当の「民意を受けた」政権ができれば、景気・経済対策の実現には3ヵ月もかからないでしょう。 
 もちろん解散総選挙に打って出ても、選挙の結果が出るまでは、日本の首相は麻生氏であることに変わりありません。
 もし、それでも選挙を行うことが「政治空白」だと言うのであれば、それは麻生首相自身が、衆議院での自民党の圧倒的多数の支えがなければ、何も出来ないような人物であることを自白しているようなものだと思います。
 そのような人物が、ただ首相の座に居座り続けることも、また「政治空白」のようなものでしょう。

 このような「政治空白」こそ、避けるべきなのではないでしょうか。


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