極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ボジョレヌーボーなぐい呑み

2012年10月27日 | 日々草々

 

 

 

   アレクサソドロス大王の伝記を読むと、アレクサソドロスの
   父親である厳しいフィリッポスは、その若き後継者たる戦士に
   一層の磨きをかけるべく、アリストテレスを教育係として
   招聘したということである。後年になってアレクサソドロスは
   ペルシャ遠征の折に、ビロード貼りの箱に入れた
   『イリアス』を一冊携えていった。彼はその本を深く愛した
   のである。彼は戦闘と酒をも、また同じく愛した。
   私はアレクサソドロスの生涯について読み進んで、彼が
   夜通しワインを痛飲したのちに(こいつは最悪の飲酒だ
   二日酔いが誠におぞましい)、ペルシャ帝国の都ペルセポリスを
   (それはアレクサソドロスの時代にあってさえ古都というべきものだった)
   焼き払うことになる最初の松明を投じた、という箇所まで来た。
   それを跡形なきまでに破壊したのだ。もちろんそのあと、
   夜が明けて-おそらくまだ火が燃えさかっているうちからだろう-彼は
   そのことを深く後悔した。しかしそれも翌日の夜に
   感じることになった後悔の念に比べればなんでもないこと。ちょっとした
   口論の雲行きがおかしくなり、傲れる
   アレクサンドロスは、度を越した生のワイソに贋を赤らませ、
        すっくと立ち、                    
   傍らにあった槍を手に取って、朋友のクレイトスにずぶりと突き立てた。
   グラニコスの戦いで彼の命を救ってくれたその男の胸に。





   
   三日間、アレクサンドロスは後悔の淵に沈んだ。啜り泣き、食べることを

   拒否した。「肉体的欲求に関わる一切を拒んだ」もうワインは永遠に
   口にはしないとさえ誓いを立てた。
   (酒についてのそのような約束や、それに伴う悲嘆の声を私は何度も耳にしたことがある)
   いうまでもなく、アレクサソドロスがそのような哀しみに浸りきって
   いるうちは、兵士たちの生活はすっかりお休みになっていたわけだ。
   でもその三日目が終わろうとする頃には、猛烈な暑さが         ,
   その友人の死体に当然の効果を及ぼしていった。
   このまま放置しておくことはできませんと部下たちは言った。はっと我に戻り、
   野営天幕を出ると、彼はホメロスの書を取り出してひもとき、そのページを
   繰った。そしてようやく命令を与えた。そこに記述されている
   パトロクロスのための葬儀を、一字一句そのままに踏襲すべしと。
   彼はクレイトスのために可能なかぎり盛大な葬式を出してやりたかったのだ。
   そして薪に火がつけられ、通夜のワインの碗が彼のもとにまわされたときに
   何が起こったかって? そんなことあえて言うまでも
   ないでしょう。彼は思い切り飲んだくれ、酔いつぶれて
   しまったのだ。部下たちは彼を担いでテントまで運び、そして
   持ちあげてベッドに放り込まねばならなかった。


                                                       レイモンド・カーヴァー “Wine
                                                                村上春樹 訳 『ワイン』

 

  Pasta al burro e parmibiano 

【イタリア版食いしん坊万歳:パスタ、バターとおろしチーズ和え】

スパゲッティ(マニケ)400g、塩 大さじ1、バター 大さじ8、パルメザンチーズ 大さじ8
乾燥パセリ 大さじ4(4人分)を準備1、分量のお湯を沸騰させ塩を加えてスパゲッティを茹
でる。
ボールにバターとパルメザンチーズ、パセリを入れておく。スパゲッティが茹で上がった
らお湯を切り、熱々のうちに2のボールに入れてよく混ぜ合わせたら出来上がり(
無塩バターは
最後に味を見て塩気が足りなければ足す)。

 

今宵はボジョレヌーボーを飲んでいないが、明日はグランドゴルフの試合が終わったら買って帰り、DVD
で映画観ながらつくったパスタといっしょに楽しもう。そういえば、お墓の参りのとき、何故かぐい呑みがな
くなっていたので、宗安寺前の林酒店でぐい呑みを新調したが、ひとつが千円もしたので訪ねると、湖東
焼の一志郎窯でつくられた手書きの彦にゃんのロゴ入りだというので、なんとなく納得して買ってきたのだ。
酒での失敗は数限りなくあることを思い出しレイモンド・カーヴァーの詩を詠んでみた。なんだかゴタゴタし
た一日だが母親の調子もまずまずだったし、こんな日もありかなということで腑に落とす。

 
  

 

 

 

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