極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

British Rail Class 395

2014年10月07日 | 時事書評

 



● 世界を変えた 新幹線開発50年  

 

今年は新幹線が誕生50周年になるということで特集番組が放映されていたが、英国へ導入された新幹線
車両の「クラス395電車 (British Rail Class 395)」
が紹介されていた。この車両は、英国のサウスイースタ
ン鉄道の高速列車用電車で、ロンドンから英仏海峡トンネルの入口があるケント県フォークストン間の高
速新線・CTRLの速達化を目的として、2009年12月から最高速度225km/h (140mph) での運行開始されたが、
投げ槍を意味するジャベリンの愛称がある。また、
2012年に開催されたロンドンオリンピックの会場アク
セス用列車オリンピックジャベリン (Olympic Javelin) としても使用さ
れ、英国内の高速新線を使用した
高速列車に使用される電車編成であり、日本の車両メーカー(日立製作所)が初めて製作した欧州の高速
鉄道車両として注目されている。また、2009年12月18日に英国を襲った大寒波で、英仏海峡トンネルを走
っていたユーロスターの車両がトンネル内で故障し、およそ500人の乗客と乗員がトンネル内に閉じ込めら
れる事故が発生したが、このトンネル内に閉じ込められた乗客の救出に、クラス395電車が救援列車として
英仏海峡トンネルを走行させ、乗員乗客全員を16時間ぶりに救出している。さらに、
2010年4月14日には、
この車両メーカーである日立製作所が第39回日本産業技術大賞「内閣総理大臣賞」を受賞している。

この「A-train」の技術を用いたダブルスキン構造(アルミニウム合金製)車体の車両設計にあたり、英国
と欧州の規格(RGS及びTSI)を満たす必要があり、先頭形状について新幹線車両設計時に使用されたトン
ネル微気圧波シミュレーション技術が用いられており、
編成は両端の制御車と中間電動車4両からなる6
両固定編成(最大で2編成を併結した12両編成での運行が可能)で。電気方式は高速線区間の交流電化
(25,000V・架空電車線方式)と在来線の直流電化(750V・第三軌条方式)の双方に対応。パンタグラフ
は両端の制御車に設置され仕様で、また、
保安装置はETCS(ヨーロッパの鉄道における統一システム)、
TVM430(LGVやCTRLで使用されている自動列車制御装置)、Train Protection & Warning System(自動列車停
止装置)、KVB(セント・パンクラス駅構内で使用されている地上信号方式)を搭載。その他、GPSを用い
て列車の位置を演算しホーム上の定位置に列車を止める装置を装備するという。この番組で受注から運用
に至る経緯を知るだけで、如何に新幹線技術とそのシステムが優れ、英国で定着したかが短時間でわかる
ようになっている。



● 3次元プリンターは建築法を一新させる!

 

これは『高次脳情報処理工学』の「Team of 3D-printing "Minibuilder" robots print large-scale structures on site
続編になるかもしれないが、記事で紹介されていた3次元プリンタによる「小型建築ロボットチーム」が
大規模建造物への挑戦のうねりが始まっている。「できこないないよね!」と半信半疑だったわたも、つ
い最近、煉瓦積みのDIYを学ぶ必要に迫られあれこれ下調べしているうちに、ふと、3次元プリンタの
(1)マルチノズル印刷、(2)3次元姿勢制御、(3)マテリアルイノベーション、そして、(4)デ
ジタル技術のこの4つでなりたっているんで、1個1個の煉瓦を積み重ねていけば、後は、耐震構造など
の側面的要素の付加などで対応可能だということに気が付いた。この工法が世界に定着すには素数十年か
かかるとも、建造物大変革をもたらすこと必至と思われる。自由の女神像などは簡単?に建像できてしま
うかもね。^^;。





● 飛翔するドローンロボット



ドローンのモーダル利用もさることながら、高性能で多機能なカメラを搭載させドローンによるメガソー
ラーの保守管理や放牧地や農耕地での監視サービス利用が先行する可能性が出てきている。さらにこのド
ローンにロボット機能を強化し、テレメトリックな従来型から脱皮し、掃除・洗浄、あるいは上写真のよ
うにワイヤー敷設することで走路や住居など建造物建設の支援ロボとして利用するサービスが創業されて
いく可能性も見えてきた。もっとも、下図のルノー社の電動モビルのドローンを搭載し、空中撮影、目的
地の観測捜索が簡単に行え、さらに、釣りや狩り、農産物の収穫などの行楽を倍増させるだろう。





● 発光ダイオードで話題爆発 世界をリードする結晶工学立国


青色発光ダイオード(LED)の開発で、ノーベル物理学賞受賞が決まった米カリフォルニア大サンタバ
ーバラ校の中村修二教授は7日、同大構内で、「やっときたかと思った。とてもうれしい」と、ほっとし
た様子で喜びを語った。現地時間午前2時すぎ、サンタバーバラの自宅で寝ていたところ、スウェーデン
の王立科
学アカデミーからの受賞の連絡の電話で起こされた。すぐに大学の同僚に伝えた。研究所に行き、
大学関係者か
ら手渡されたアップルサイダーで乾杯したという。お祝いのメールがたくさん来ているが、
見られないと気にしていた。
「私に最初に投資してくれた日亜化学工業の創業者、小川信雄氏(故人)に
感謝したい。私の研究の成果が認めら
れたことはうれしい。若い人に研究の成果をつなげていってほしい
」と語ったという(毎日新聞、2014.10.08)。

そして、授賞理由の一つは、人類の生活向上に貢献したことだった。電気が通らない村でも、LED技術
を使えば
太陽光や手動で明るい光源ができ、省エネ、地球温暖化防止に貢献できる。常々アメリカンドリ
ームを口にし、「ジ
ャパニーズドリームは存在しない」と言いきっていた。2000年から研究の場を米
国に移し、米国籍を取った。「私は
四国の田舎育ち。田舎の若い人に希望を与えられたのではないかと思
う」と語り、「チャンスは自分で切り開ける」
と強調した。と同社ニュースは報じている。この吉報に接
し、中村修二教授のノーベル賞の可能性をいち早くから教えてもらった同郷でオゾン発生装置などを製造
販売会社社長であったことを思い出していた(関連する新聞記事の切り抜きなど熱心に送っていただいて
いる)。

もっとも、青色発光ダイオードの開発は、国内の科学技術政策担当者や大学関係者からは「戦後最大の成
功モデル」と評されているという。それは単に照明、携帯電話やテレビのバックライト、信号機といった
応用分野の広さだけが理由ではない。大学の基礎研究で生まれた技術シーズを国内の企業に移転し、産業
化に結びつけた「お手本」のような事例だからだと。そして、総額56億円。中央官庁が産業育成などを議
論する場で度々登場するこの数字は、青色LEDの基礎研究に関わる赤崎氏の特許から、同氏がかつて所属し
た名古屋大を含む国が得た実施料収入を示している。調査が行われた2006年時点で、国有特許の実施料収
入の実に約9割を青色LEDが占めていた計算になる。その恩恵にあずかる名古屋大もまた、国内大学の特許
収入ランキングで長くダントツの首位に立ってきたという、ものだ、ここで1つ注意が必要なのは、赤崎
勇名城大学教授の特許に絡んで国に入った実施料収入の大半は、豊田合成による製品化によって得られた
資金であり、LED素子メーカーの最大手の日亜化学工業は、中村氏の開発した基礎技術をもとに、実用化を
進めており、国に特許収入は入っていないという(日経ビジネス「ノーベル賞受賞、青色LEDの産官学モデ
ルがうまくいった理由」 2014.10.07)。

このニュースでは、この成功例は今後も上手く行かないだろうとこのように警告している――青色発光ダ
イオードを開発した頃とは違
い、企業や大学も長期的なテーマに取り組める余裕はなくなってきている。
東京工業大学の細野秀雄教授が生み出した酸化物半導体「IGZO」など、「第2の青色LED」として期待さ
れる次の種は確実に存在する。環境激変のなかで、基礎研究と産業を結ぶ仕組みを機能させ続けることが、
必要になる――と指摘しているがこれはたいへん重要な指摘だ。

● 高効率な熱電変換材料開発

前述した2つの事例の先端的な結晶工学の技術開発(青色発光ダイオードなど)だけではなく、様々な機
能性人造化合物が世界に先駆け――このブログでも「現代の錬金術」と喩えてきたように極東のこの地で
誕生して来ているのだが、その最新事例として、
産業技術総合研究所(産総研)と広島大学は今月6日、天
然硫化銅鉱物の一種コルーサイトと同じ結晶構造の人工鉱物「Cu26V2M6S32(M=Ge、Sn)」を合成し、400℃
付近で高い熱電変換性能を示したことを公表(
詳細は、アメリカ物理学会誌「Applied Physics Letters」に
掲載――最下図をダブルクリック)。これは
コルーサイトCu26V2M6S32は、Cu(銅)とS(硫黄)を主成分とし
立方晶(等軸晶)系の結晶構造を持つが、天然のCu26V2M6S32はMとして毒性元素のAs(ヒ素)を含んでいる。
また、Mの中に含まれるAs、Sb(アンチモン)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)の割合がさまざまで、熱電特
性が一定ではないと考えられている。そこで今回、AsとSbを含まないM=GeとM=Snを人工的に合成し熱電特
性の評価を行った。
 

 

これは、構成元素を千℃以上の高温において直接反応させ、この粉砕試料を加圧しながら高温で焼結させ、
高密度試料を得て、物性測定を行った結果、これらの試料がp型の金属的な電気伝導性を示し、400℃(673K)
で、高い無次元熱電変換性能指数ZT=0.7(Ge)、0.6(Sn)を示す。この値は熱電変換効率に換算すると6~7%
程度に相当し、
また、コルーサイトでは、構成元素の一部を価電子数の異なる元素で置換すればホールキ
ャリア密度を容易に調節できるので、今後、既存材料を上回る高いZTが得られるものと期待され、同物質
が、低毒性で地殻中の埋蔵量が豊富なCu、Sn、Sを主成分としており、レアメタルレスの熱電変換材料のた
め、環境負荷の低い高効率熱電発電の実現に大きく寄与することが期待される。

 

 
このように、半導体化合物や新規人造化合物、結晶物あるいは非結晶物(アモルファス)など無機物を始
め、鉄・非鉄金属材料を使った超磁性体・超剛性体、あるいは炭素繊維や最近話題となってい蜘蛛糸繊維
なとの有機材料開発などなど、世界のあらゆる分野のマテリアルイノベーション技術がこの極東の地で生
まれ世界に発信・贈与・貢献し、これからもトップランナーであり続けていくことは間違いない。
 

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