彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」
【男子厨房に立ちて環境リスクを考える】
□ 今朝の家庭ごみ排出量 燃えるごみ排出量 4.1 ㎏
【今日の男メシ:カレーアヒージョ】
最近、デスクワーク・ペースが減速(その分時間が早い)。その上に
めっきり疲れやすくなったので、男の更年期障害も関係しているので
は思うようになり、ランチはアリーオーレを基調とした簡単ランチを
電子レンジで調理することに。まず、ハウス食品のこくまれカレー中
辛を使い作る。これは旨いのでマイレシピの1号に入れる(2号以降
はその都度掲載していくことに。
追記:室内トレーニングは朝の内済ませないとわすれるので、作業前
に励行し体調の復調を期す。
■ メニュー:①かかと落とし*スクワット*腕立て伏せ*腹筋➲
屋内ウォーキング:4~6㎞/時間馬×1㎞×インクライン:0~9%
1.ミツバウツギ 2.ショウベンノキ 3.トウカエデ
4.ウリカエデ 5.イタヤカエデ
【樹木×短歌トレッキング:ミツバウツギ】
卯の花も、いまだ咲かねば、霍公鳥、佐保の山辺に、来鳴き響もす
大伴家持 万葉集
【解釈】卯の花もまだ咲いてもいないのに、霍公鳥は佐保の山辺(や
まべ)にやってきて鳴いている 「佐保」は、今の奈良県奈良市の法華
寺町・法蓮町一帯にあたる。ここで、ユキノシタ科ウツギ属の落葉低
木である空木(うつぎ)の花のこと。日本原産。5月頃に白い5弁の花
を沢山咲かせます。幹の中が中空で、空ろな木だから「空木(うつぎ)」
と読む。また、霍公鳥(ホトトギス)は 全長28cm。カッコウとよく
似た形、色彩をもち、日本では夏鳥で、九州以北で繁殖、ホトトギス
は主にウグイスの巣に卵を産込み、ヒナを育ててもらい、ウグイスが
生息している場所に渡来する。林の周辺にある藪のある場所、草原な
どによく見られます。そのさえずりは渡来初期には夜昼かまわず鳴き。
夏の季節の到来を告げる鳥。春のウグイスとならんで、季節の初音と
して人びとにその鳴き声を待たれ、万葉集にもこの声は田植えをしろ
とうながし鳴くという。
諸般の事情あり、登山は7月に延期 とほほ...^^;。
【ポストエネルギー革命序論 449: アフターコロナ時代 269】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
● 技術的特異点のエンドレス・サーフィング
再生可能エネルギー革命 ➢ 2030 Ⅳ
出所:神鋼環境ソリューション
✺ 相模原市がごみから貴金属を回収してSDGsを推進
6月16日、神鋼環境ソリューションは、相模原市と共同で都市鉱山と
言われる廃棄物に含まれる貴金属資源に着目し、調査・研究を行った
結果、当社が建設した流動床式ガス化溶融炉から金と銀を回収したこ
とが話題になっている。流動床式ガス化溶融炉はごみを500~550℃の
高温で流動する砂によってガス化燃焼させる施設です。一般ごみとし
て廃棄された電子機器等に含まれた貴金属は比重が高いため、炉底部
の砂の中で高濃縮された状態で効率的に回収することができる。都市
「鉱山伝説は本当にあったんだ!」。知恵と工夫すれば、貴金属類は
リサイクルすればエンドレスに回収可能。その資源が都市のごみだっ
たという。いいですね、同社のキャッチコピー『今を超える発想で健
やかな環境と暮らしを次世代へ。』は。
出所:相模原市
【関連特許技術】
特開2006-349218 ガス化溶融炉のスラグ塩基度調整方法及びその装置
【要約】下図2のごとく、廃棄物の熱分解ガスG1中の灰分を燃焼溶
融したときに炉壁に付着するスラグSを炉外に排出するスラグ排出口
33aを有するガス化溶融炉3において、第1調整部31bによりス
ラグ排出口33aの上流側の炉壁に付着するスラグSAの塩基度調整
を行うのに加え、第2調整部33bによりスラグ排出口33aの下流
側の炉壁に付着したスラグSBに塩基度調整剤を供給してその塩基度
を調整するように構成することで、 常に安定したスラグ処理を行う
ことができるガス化溶融炉のスラグ塩基度調整方法及びその装置を提
供する。
図2
✺ 黒の革命渦:加速するグラフェンバッテリー
グラフェンをバッテリーやその他のエネルギー貯蔵デバイス(スーパ
ーキャパシターなど)に応用する学術的な研究開発が加速し、数年に
わたる商業利用を経て、グラフェンはローテク用途のアプリケーショ
ンで多用されてきた。最大の市場の1つは、衣類とテキスタイル分野。
現在、グラフェンはバッテリー技術やエネルギー貯蔵技術で多くの商
業的関心を集め、バイオセンサーや携帯電話機の冷却フィン(ラジエ
ータ)などに加え、バッテリーもグラフェンの最もハイテクな商業ア
プリケーションの1つである。
Sep 22, 2021
■ 進むEV向けグラフェンバッテリ
少数ではあるが注目に値する製品が市場に出てきている。米国カリフ
ォルニア州のバッテリーメーカLyten社は 米国宇宙軍向けのグラフェ
ンバッテリを開発するため米国政府と協力していることを公表。
このバッテリの特徴は、リチウム硫黄(Li-S)バッテリで、硫黄電極
は、硫黄イオンが電極から離れて反応し、長鎖分子を形成する過程で
電極やバッテリーの性能を低下させるポリサルファイドシャトル課題
(電極界面の不安定さによる劣化)があった。同社は、これを、グラ
フェン層(3D形状)を用い、電極の表面反応を抑制することに成功。
これにより、正極から放出されるのは長鎖のLi2S8やLi2S6分子ではなく、
Li2S分子となり、長寿命・耐久性を高めた(ペロブスカイト/シリコン
タンデム太陽電池も同様の課題がある)。
【関連論文】
Title: Electrolyte Measures to Prevent Polysulfide Shuttle in Lithium-Sulfur
Batteries、 Sulfur Batteries - Di Donato - - Batteries & Supercaps, 26 April
2022, https://doi.org/10.1002/batt.202200097
巨大!新興グラフェンポリマハイブリッド電池市場 via YouTube
また、グラフェンバッテリの分野では、マサチューセッツ工科大学(
MIT)の新興企業PolyJouleが、最新の開発を行っている。このバッテ
リは、標準的な2電極方式の電気化学セルをベースに、導電性ポリマ
ーとカーボン-グラフェンのハイブリッド材料を組み合わせ----10秒
以内に最大1MWの電力を急速に放電し、電圧の断続を防ぎ、特に断続
的な再生可能エネルギー源による電力網への応用が期待されており、
5分以内に充電でき、必要なときに電力を確保できる。他のバッテリ
と異なり、熱を持たず、熱対策が不要であることから、電力網だけで
なく、産業用のエネルギーストレージやデータセンタの無停電電源装
置(UPS)への応用も期待されている。
尚、関連特許の掲載は割愛する。
✺ 高性能有機半導体の開発に新たな指針
東京大学と筑波大学は,分子軌道混成を強く反映したバンド構造によ
り高移動度を発現する有機半導体を開発。パイ電子系分子からなる有
機半導体は,室温付近で塗布法により成膜できることや,軽量性,フ
レキシビリティに優れ,近未来のハイエンドデバイスへの応用が所望
されており、「高移動度有機半導体}の理論計算・デバイス評価によ
るキャリア輸送能の理解から分子設計の高度化が求められている(上
図参照)。
【要点】
1.有機半導体のキャリア輸送は、通常、フロンティア軌道間の相互
作用だけで理解されてきた。
2.今回、フロンティア軌道に隣接する他の分子軌道が有効に混成す
ることで,高いキャリア輸送能を示す有機半導体の開発に成功。
3.分子軌道混成に基づく分子設計やキャリア輸送能の理解により、
今後の高性能有機半導体および有機エレクトロニクスデバイスの研
究開発が加速されると予想される。
今回,中央に窒素が導入されたピラジン縮環N字型パイ電子系分子C10
Ph-BNTPを開発し,結晶構造解析,理論計算およびデバイス評価を包括
的に行なうことで,フロンティア軌道である最高被占軌道(HOMO)だ
けでなく,それに続く第二HOMO(SHOMO)や第三HOMO(THOMO)の混成
により高移動度を示すことを明らかにした。今回明らかとなったHOMO
/SHOMO/THOMOの分子軌道混成は,
(1)HOMO/SHOMO、HOMO/THOMO間の分子軌道エネルギーが近いこと
(2)HOMOとSHOMO、THOMOの軌道形状が似ていることに起因するもの
であり,C10-DNBDTやC10Ph-BNTPの場合,特にHOMO/THOMOの軌道形
状が似ていることが分子軌道混成に大きく寄与。
✺ 二酸化炭素を炭素源にして炭化ケイ素を合成
*カーボンリサイクル技術事業化を検証
■ 廃棄処分されていたシリコンスラッジを活用
東北大学は、5月、産業廃棄物(シリコンスラッジ)とCO2(二酸化炭
素)を反応させて、SiC(炭化ケイ素)を合成する技術を開発し、カー
ボンリサイクル技術として事業化に向けた検証。SiCは近年、ワイドギ
ャップ半導体材料で注目されている。SiCを作製する技術はこれまで、
主にアチソン法が用いられてきたががこの方法は、SiC 1トン当たりに
用いる電力量が14MWh以上となり、SiCの重量に対し4倍のCO2を排出す
るなど、環境負荷が極めて大きく課題となっていた。福島潤助教らの
研究グループは、ICや太陽光発電パネルの製造に用いるシリコンウエ
ハーの切削くずを活用できる点だ。ウエハーを切り出す時に発生する
シリコンスラッジは、これまで産業廃棄物として処分されていた。開
発したのは、このシリコンスラッジとCO2を反応させて、SiCを 合成す
るカーボンリサイクル技術。
図 開発したSiC製造方法の概念➲出所:東北大学
【ウイルス解体新書 123】
序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第3章 パンデミック戦略「後手の先」
ホニグスバウム,マーク【著】
NHK出版(2021/05発売)
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第10章 疾病 X ---- 新型コロナウイルス感染症
「それはやって来て去っていった。
大勢の若者の命を奪うハリケーンだった」
『タイムズ』紙、1921年
コウモリと多種多様なウイルス
ダサックと同僚たちは、15年にわたって洞窟を探検してコウモリか
らぬぐい液を採取し、中国だけでも500種類の未知のコロナウイルスを
同定した。さらに恐るべきことに、これらの新種のコロナウイルスの
現在の発見速度から推測して、ダサックは1万3000種類の未発見のコ
ロナウイルスが存在すると考えている。ダサックと同僚たちは、1940
年から2004年のあいだに起きた335件の新興感染症事件を固定し、その
発生率のピークが1980年代にエイズのパンデミックが起きた時期と一
致すると明らかにした。彼らの調査結果を見る限り、これらの事件の
発生率は前世紀なかばから増加してきたことは疑う余地がない。
※コウモリは、南極大陸を除く地球上すべての大陸に分布する。
* * *
コロナウイルスや、コウモリなど他の野生動物から突如として出現
する他の未知の病原体によって次のパンデミックが起きる、と注意を
喚起するのはダサックのみではない。2015年のTEDトークで、ビル・
ゲイツはこう述べている。「今後数十年で1000万人以上を死亡させる
疾患があるとすれば、その病原体はきわめて感染力の強いウイルスで
ある可能性が高い」。このトークは瞬く間に話題になった。西アフリ
カで起きたエボラのアウトブレイクは自然に潜む脅威の片鱗を見せつ
けた。エボラの感染が都市の中心部にまで広がらなかったのは、怯む
ことなくエボラの感染経路を追跡した保健職員の努力と、症状が急速
に進行するため、患者が動き回ることなくベッドに寝たきりになると
いうエボラの特徴があったからだ。もし次に出現する病原体が1918年
のスペイン風邪のウイルスのように空気感染するタイプで症状がすぐ
出ない場合には、感染者は自分が感染していることに気づかずに飛行
機に乗るかもしれない。「次回は」とゲイツはトークを結んだ。「私
たちは幸運に見放されるかもしれない」
WHOと「疾病X」
出現するウイルスや再出現するウイルスの脅威を忘れ去っていない
機関もある。2003年のSARSのエピデミック以来、WHOは四回に
わたって国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言してき
ている。2009年の豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)のパンデ
ミック、2014年のポリオとエボラのアウトブレイク、そして2016年の
ジカ熱のアウトブレイクである。今後は未知の病原体の出現にうろた
えることなく対処するという強固な決意の下、WHOは2018年に「研
究開発ブループリント」の刷新を決定した。このブループリントは、現
状では適切なワクチンもしくは治療法、あるいはそのどちらも存在し
ないため、WHOが付加的な研究資金を必要とする病原体候補の優先
順位リストである。2015年の時点で、リストにはクリミア・コンゴ出
血熱、エボラ出血熱とマールブルグ病、MERSとSARS、ラッサ
熱、ニパウイルス感染症、リフトバレー熱が挙がっていた。WHOが
第七位としたのが「新種の疾患に対する研究開発の備え」だったが、
この疾患のカテゴリーは今後を想定した空欄であって、当時はほとん
ど誰も気にも留めなかった。しかし2018年、WHOはジカ熱をリストに
加えるだけでなく、完全に未知の病原体が与える桁違いの脅威につい
ても世界に知らしめるべきだと考えた。彼らが「新たな疾患」のカテ
ゴリー名称として提案したのが「疾病X」だった。
ダサックはこの瞬間を鮮明に覚えている。「それは会議の締めくく
りのことで、私たちはリストを最終的に採択するところでした。そこ
で、リスクの数学的な解析をする担当者が立ち上がって、こう言った
のです。『みなさんがこの未知の病原体というカテゴリーにと賛同く
ださることはわかっています。私たちは疾病Xと呼ぶつもりです』。
私は思いました。WHOの用語なのに何てクールなんだろうって」
数週間後に ニューヨークに戻るとき、ダサックは新聞記事に疾病
Xへの言及があるのを見つけて、こう思ったのを覚えている。「本当
にすばらしい。やっと我々も自分たちの仕事を一般人にわかってもら
えるようになった」
エコヘルス・アライアンスのダサックや同僚たちにとって、疾病X
が話題になることは追加の研究資金を獲得する機会が得られることを
意味した。MERSコロナウイルスやSARSコロナウイルスのよう
な既知のコロナウイルスだけでなく、未知のコロナウイルス、さらに
動物界に潜むパンデミックを引き起こしかねない他のウイルスの研究
ができるのだ。二年前、イタリアのコモ湖の畔にあるロックフェラー
財団のベラージオ会議センタで開催された疾病生態学のサミットで、
ダサックなどの感染症専門家は、世界はだんだん脆弱になり、ますま
す新種のウイルスの脅威にさらされていると述べた。さらにエピデミ
ックかパンデミックを起こす可能性のある推定160万種類の未知のウ
イルスのわずか0.1%しか同定されていないと指摘し、グローバル・
バイローム・フロジェクト(GVP)宣仏足皆付設ゴの立ち上げを提
案した。
個人レベルのゲノム解析の時代を拓いたヒトゲノム計画に範を取っ
たGVPは、将来新種のウイルスが出現する前にワクチン、治療薬、
その他の医学的措置の備えをしておくための開発資金の獲得に役立つ
だろう。米国国際開発庁によるPREDICTプログラム----2009年
に立ち上げた新興」感染症予測のための投資学研究プログラム。2020
年3月、トランプ政権が終了さた----は、2010年以降、30か国において
900種を超える新種のウイルスを発見してきた。ブリーフィング文書に
よれば、GVPの目的は、このPREDICTの成功の上に「自然発
生するすべてのウイルス」の網羅的なデータベースを構築することに
よって「知識の穴を埋める」ことにある。文書はさらにこう続ける。
「ウイルスのリスクが囁かれるなか、世界は次のウイルスが、いつ、
どこで、どの動物種から出現するかを依然として予測できない。十分
な備えをするには、敵が姿を現す前にその正体を知る必要がある」
アウトブレイクを未然に防ぐ
ダサックがGVPの資金を募っていたころ、感染症流行対策イノベ
ーション連合(CEPI)は新たなワクチン開発プラットフォーム構
築のために資金集めをしていた。ノルウェーのオスロを拠点とする非
営利団体CEPIは、2017年にスイスのダヴォスにあるスキーリゾー
トで開催された世界経済フォ-ラムで、ノルウェー政府とインド政府
の主導で設立された。連合の使命は「エピデミックの先回りをする」
ことにある。アウトブレイクが発生する前に新たなワクチンに投資す
ることで、ここ30年ほど新興感染症研究を特微づけてきた研究資金の
増減の波を断ち切ろうというのだ。CEPIは10億ドルの財源を確保
する五か年計画を立てていたが、ビル&メリンダ・ゲイツ財団とウェ
ルカム・トラスト、さらに欧州連合(EU)と数か国の政府の支援を
得て、2018年までに7億6000万ドルを集めた。この財源の大半は、主
要な3つの感染症(ラッサ熱、ニパウイルス感染症、MER)のワク
チン開発に注ぎ込まれる。
だが2018年末、CEPIは未知あるいは既知を問わず、いかなる感
染症にも、突発的な感染症にも対応できる斬新なワクチン開発プラッ
トフオームの確立を訴え始めた。その年のはじめ、世界銀行とWHO
がパンデミックに対する世界の備えについて年次報告を発表していた。
報告は厳しいものだった。WHOは、2011年から18年のあいだに、172
か国で1483件のアウトブレイクが発生したことを突き止めた。このア
ウトブレイクの発生頻度にもとづき、WHOの懸念は増すばかりだっ
た。「拡大が速く、きわめて致死性の高い呼吸器病原体のパンデミッ
クによって5000万人から8000万人が死亡し、世界経済が5ぇ近く落ち
込む恐れがきわめて高い」とWHOは警告した。「パンデミックに対
して、私たちはあまりに長くパニックと無為無策を繰り返してきた…
もう行動を起こすには遅すぎるほどだ」
「コロナウイルス関連肺炎症候群」のシミュレーション
どれほど事態が切迫しているかは、2008年10月19日にニューヨーク
で行われた最新のシミュレーションが教えてくれる。ジョンズ・ホプ
キンズ・センター・フオー・ヘルス・セキュリティが、ビル&メリン
ダ・ゲイツ財団および世界経済フオーラムとともにこのシミュレーシ
ョンを計画した。シミュレーションモデルは、「コロナウイルス関連
肺炎症候群(CAPS)」という仮想のウイルスによるパンデミック
だった。まず、新種のコロナウイルスがコウモリからブラジルのある
農場にいるブタに感染してパンデミックが始まる。次に、ブタがブラ
ジルの農家の人にウイルスをうつし、ヒトからヒトヘの感染の連鎖が
起きる。やがて感染は南アメリカのサンパウロなどメガ都市の低所得
者層に急速に拡大する。ウイルスはさらに南アメリカから空路でポル
トガル、アメリカ、中国に到達し、地球規模の感染の連鎖が起きて感
染者が毎週のように倍増する。このウイルスに対する免疫を持つ人は
誰一人いないので、モデル予測によればパンデミックが収束するのは
世界総人口の80%が感染したときのみだ。シミュレーションでは、こ
れには18か月かかり、世界全体で6500万名が死亡する。
『パンデミックの世紀』
この項つづく
河出書房新社(2021/09発売)
サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
商品コード 9784309228303 NDC分類 345.1 Cコード C0022
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第18章 データ----税務当局の新たな味方
これは国際的な取り組みである
データの共有と分析は国際的な取り組みになりつつある。各国の税
務当局はすでにデータやその他諸々の共有を開始している。共通報告
基準〔CRS〕の制度が設けられたおかけで、世界四七カ国の銀行預
金残高、利息、配当、キャピタルゲイン、所得の詳細を、それらの政
府のあいだで共有することが可能になった。国境を超えた共同作業の
もう一つのあらわれは、スイスの金融機関、クレディ・スイスが最近
イギリス、フランス、オランダから同時に調査されたことである。
それでも、税制度そのものの質の均一化は行なわれないままである。
「法令は細かく分かれていて、バラバラ----無茶苦茶よ」と、メリッ
サがため息をついた。「うちのクライアントの大半がそれに苦労して
いる----いくつもの異なる法令を順守するなんて、いったいどう対処
すればいいのか」クリスはこう話した。「ほとんどの人は、確実性を
もっと高めることを強く欲している。ところが、OECDから、国別
調査報告書とか、そういう重要資料が発表されるたび、各国がそれぞ
れに異なる解釈をするものだから、結局は57通りもの解釈が生まれる
ことになる。そのどれもが同じことをいっていない」
クリスもメリッサも、今後は分裂がもっと進むだろうと考えている。
競争がその原因だ。彼らによれば、それによって法人税が引き下げら
れることはほぼ確実である。
それに関しては、いわゆるタックス・ヘイブンの役割について考察
するべきだが、タックス・ヘイブンの定義は政治体制によってさまざ
まだ。一人が競争力の高い税率だと主張しても、別の一人はそれを租
税回避と呼ぶのである。しかし、各国がそれぞれに異なる税率をもっ
て海外から企業を、また投資を呼びこむことに賛成しつづけるならば、
競争は続き、法人税は引き下げられる。税制改革を訴える活動家のな
かには、世界各国が力を合わせてタックス・ヘイブンの取り締まりに
乗りだし、通商禁止などのペナルティを科すよう求める人びともいる。
だが、世界の経済大国が足並みを揃えて積極的な手段を取るのは、と
うてい無理であるように思われる。フランスがスイスとの通商を停止
? イギリスがアイルランドと? アメリカが自国の州、デラウェア
と? 国際貿易の50%以上がタックス・ヘイブンを経由していること
は、ニコラス・シャクソンの著書『宝の島』に記されている。ガブリ
エル・ズックマンの著書『失われた国家の富』によれば、約7兆6000
億ドルにのぼる個人資産がオフショア・タックス・ヘイブンに置いて
あるという。これは世界の世帯資産の約8%に相当する。これでは、ど
こもかしこも通商停止ということになりそうである。
タックス・ヘイブンは国際社会で重要な役割を果たしている、と強
く主張する人びともいる。より過酷な重税を課そうとする政府に歯止
めをかけ、私有財産をほとんど尊垂しない独裁主義国家からの脱出手
段を個人に与えるというのである。政治的合意がどうあれ、私有財産
は公有財産ではない、と。
「結局、課税は二種類に分かれるのではないかと思う」とメリッサ。
「一つは有形のものに対する課税。国内に存在していなければならず,
税率は20%か30%。それから、無形のものに対する課税。世界のど
こにでも移動可能で、アイルランドなら12.5%、イギリスなら10%。
さらに、旧世界の物理的な取引に対する課税と、新世界の非物理的な
取引に対する課税との中間に、二股陰謀税制を設ける」
アイルランドをタックス・ヘイブンと見なす人びともいる。法人税
がて12.5%だからである。3万8500ポンドを超える所得に40%の所得税
がかかる現地の労働者にしてみれば、そうとはいえないかもしれない。.
そして、その点にもう一つの問題がある。つまり、経済圏のさまざま
な領域に、さまざまな税率で課税することによって、経済に歪みが生
まれているのである。重い所得税と軽い資本税は、近年顕著になって
いる経済格差の拡大と、その結果として生じている政治不安のおもな
要因なのだ。それについては次章で取りあげる。
おそらく、標準化は正規の手続きによらずに進められるのではない
だろうか。多国籍企業は、ほぼ例外なく、会計業務にロボティック・
プロセス・オートメーション(RPA)を採用している。人間とは異
なって一目二四時間稼働しつづけるRPAは、企業が行なうすべての
取引を分析し、支払い、販売、法人税申告などの通常業務を自動化し、
ますます多くの情報を蓄積し、それらをもとに絶えず意志決定を行な
い、判断を下す。その間にも、その性能は機械学習によって迅速に向
上する。企業のすべての地、すべての部門のデータは中央リポジトリ
に送られる。中央リポジトリとは、世界中のスプレッドシートから集
まってくるデータが蓄積される、事実Lの倉庫である。解析作業によ
って、インボイスは会計データ、仕入先からの情報、顧客からの情報
と照合される。そうして効率性を高めるとともに、会計士のいうよう
に「税金対策の機会を見きわめる」。データとデータ解析の質は絶え
ず向七する。これは税務当局のデジタル化である。税制はところによ
って実にさまざまたが、このソフトウェアには同調性が備わっている。
中央に集められたデータは、異なる国や地域の、異なる会計監査の処
理に使うことができる。よその政府が会計監査に関する契約を結んだ
と知ったある政府が、同じ、あるいはよりよい条件の契約を求めるこ
とも考えられる。かくしてわれわれは、「世界共通の税制」に、正規
の手続きを経ることなく近づきつつある。
「いつかはそうなるかもしれない」とクリスはいった。「しかし、
道のりは長い。その前に、細分化がもっと進むだろうっ新たな元首に
なろうとする立候補者、あるいは再選をめざす現職を促すために税制
改革を進めよう。トランプがしたように」と考える。当選、あるいは
再選を果たしたいという思いを優先し、OECDからの指示を後回し
にする」
「やがて、私たちは合意形成の段階にたどりつくでしょう」とメリ
ッサ。「でも、それは分裂の段階を経たあとのことになる」
ITは公正な税制を求めて戦う人びとの武器になる
税法はテクノロジーの進歩から取り残されているのかもしれないが、
メディアに携わる人びとの多くはそうではない。彼らは、新しいテク
ノロジーと自前のプラットフォームの両方を用い、不正を行なってい
ると彼らが考える個人や企業を攻撃し、その所業を暴露する。
多国籍企業が税金逃れのために、故意に税務当局の裏をかこうとし
ているという論調に、クリスもメリッサも賛成していないらしい。法
全額守はいうほど容易ではないことが多い。メリッサはこう話した。
「面白い意見ね。だって、私が一緒に仕事をしている企業の大半は、
正しい税額を支払うことを大前提にしているから、法律で定められて
いるとおり、税金をきちんと支払っている。裏をかく意図があるとは
思えない。世論はビジネスに重要なものだしね。データとテクノロジ
ーは、いま起こっていることの可視性を高め、透明性をもっと大きく
高める。そのことを世間はよくわかっている」
事業者は、法律の許すかぎり納税額を低く抑えたがる----そして、
それを確実に実行する構造をすでに備えている----が、物議をかもす
ことは望まない。いまや、大手会計事務所の多くは「税務係争への対
応」を専門にする部署を設置している。企業の風評リスクに吋応する
ためである。租悦回避叩きが生じた場合、たいてい税務の改革が行な
われることになる。今日では、渦中の企業が法律の文言どおりに税務
を処理していたとしても、たいていは法的コンプライアンスが不十分
であり、メディアから望みもしない注目を集めることになってしまう。
アップル、グーグル、フェイスブック、アマゾン、スターバックス、
ボーダフォンのような国際企業は、その税務処理の手法をめぐってひ
んぱんにニュース種になっているようである。だが、これらだけでは
ない。企業の税関連の不祥事は世界各国で発生している。そして、企
業のみにとどまらない。富裕層の個人や一族の税金対策がマスコミに
追及されている。少し例を挙げれば、サッカー選手のリオネル・メッ
シ、クリスティアーノ・ロナウド、歌手のシャキーラ、ジャスティン・
ティンバーレイク、マドンナ、俳優のキーラ・ナイトレイ、アミター
ブ・バッチャン、さらにはイギリス女王エリザベスニ世やチャールズ
皇太子も、やはり望みもしない詮索を受けている。
2015年にはスイスリークス事件が発生した。大規模な脱税計画に関
与した疑いのある銀行口座10万口座とオフショア会社2万社が閉鎖さ
れた。そして、2016年にパナマ文書の流出が起こった。
実名を伏せてショー・ドウを名乗る情報提供者が、約150万件の情報
の掲載された文書を『南ドイツ新聞』の記者にリークしたのだ。その
機密文書には、オフショア会社21万4488社分の、1970年代以降のくわ
しい財務情報と法務情報が記されていた。アマゾンのウェブサイトで
「税金」というキーワードを検索してみてほしい。税制の過去、現在、
未来という重要なテーマについて書かれた本は、あるとしてもわずか
だ。ところが、オフショアロ座利用という極悪非道について書かれた
ものはごまんとある。悪事をあばく映画、テレビ番組、ラジオ番組は
数多くつくられている。ブログもたくさんある。こういう事例を調査
する人びとはたいへん粘り強い。おそらく、きわめて強力な動機に突
き動かされているからだろう。その動機とは、不正撲滅のために力を
尽くしているという意識であり、善と悪の闘いにおいて、道徳的に優
位に立っているという意識である。租税回避叩きは、すでに白熱して
いる政治およびイデオロギーの戦争の武器にされている。この動機は、
政府収入が不十分であるために公的サービスの予算が削減されれば、
いっそう強力になる。租税回避叩きの風潮はますます広がっており、
これから数年以内に大きなテーマになってくるだろう。2016年、『イ
ンターナショナル・タックス・レヅユー』誌のグローバル・タックス
50----租税の世界において大きな影響力を発揮した個人、組織、出来
事のランキング----で国際調査報道ジャーナリスト連合が2位に選ば
れた(一位は欧州委員会で競争政策担当委員を務めるマルグレーテ・
ベステアー。数ある多国籍企業のなかでも、とくにアップルの税務の
問題に切りこんだ)。2017年、企業の租税回避を厳しく追及する調査
ジャーナリストたちがフィフス・エステートというグループを結成し、
手を携えて活勤しはしめた。このグループはグローバル・タックス50
の4位に入っている。
この項つづく
風蕭々と碧い時代
Imagine Jhon Lennon
⦿ Album: 『ヘル・フリーゼズ・オーヴァー』(Hell Freezes Over)
"I Can't Tell You Why" 『言いだせなくて 』
Originally from The Long Run, 1979 Lead Vocal: Don Henley
Writers: Henley, Frey, Timothy B. SchmitSchmit
Look at us baby, up all night
Tearing our love apart
Aren't we the same two people who live
Through years in the dark? Ah
Every time I try to walk away
Something makes me turn around and stay
And I can't tell you why
Look at us baby, up all night
Tearing our love apart
Aren't we the same two people who live
Through years in the dark? Ah
Every time I try to walk away
Something makes me turn around and stay
And I can't tell you why.....
● 今夜の寸評:人命を盾にすることはやめよ!
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