極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

電力疾走!全力疾走!

2015年09月22日 | 時事書評

 

 

 

 

 

   小説家にとって「落ち着くべき場所にすんなり落ち着く」というのは、
        率直に言わせていただければ、「創造力が減退する」のとほとんど同
        義なのです。小説家はある種の魚と同じです。水中で常に前に向かっ
       
て移動していなければ、死んでしまいます。

                                                                                   村上 春樹

 



 ● 折々の読書 『職業としての小説家』4

  子供の頃何かの本で、富士山を見物に出かけた二人の男についての話を注んだことがあります。
 二人ともそれまで富士山というものを目にしたこともありません。順の良い方の男は富士山を置
 のいくつかの角度から見ただけで、「ああ、富士山というのはこういうものなんだ。なるほど、
 こういうところが素晴らしいんだ」と納得してそのまま帰って行きます。とても効率かいい。話
 が早い、ところかあまり頭の良くない方の男は、そんなに簡単には富士山を理解できませんから、
 一人であとに残って、実際に自分の足で頂上まで登ってみます。そうするには時間もかかるし、
 手間もかかります。体力を消耗して、へとへとになります。そしてモの末にようやく「モうか、
 これが富士山というものなのか」と思います。理解するというか、いちおう暗に落ちます。

  小説家という種族は(少なくともその大半は)どちらかといえば後者の、つまり、こう言って
 はなんですが、頭のあまり良くない男の側に属しています。実際に自分の足を使って頂上まで登
 ってみなければ、富士山がどんなものか理解できないタイプです。というか、それどころか、何
 度登ってみてもまだよくわからない、あるいは登れぼ登るほどますますわからなくなっていく、
 というのが小説家のネイチャーなのかもしれません。モうなるとこれはもう「効率以前』の問題
 ですね。どう転んでも、頭の切れる人にはできモうにないことです。
 
  だから小説家は、異業種の才人かある日ふらりとやってきて小説を吉き、それが評論家や世間
 の人々の注目を浴び、ベストセラーになったとしても、さして驚きはしません。脅威を感じたり
 することもまずありません。ましてや腹を立てたりもしません(と思います)。なぜならそのよ
 うな人々か、小説を長期問におたって書き続けるのは稀なケースであることを、小説家は承知し
 ているからです。才人には才人のペースがあり、知識人には知識人のペースがあり、学者には学
 者のベースがあります。そしてそういう人たちのペースはおおかたの場合、長いスパソをとって
 みれば、小説の執筆には向いていないみたいです。

  もちろん職業的小説家の中にだって才人と呼ぱれる人はいます。頭の切れる人もいます。ただ
 世間的に頭が切れるというだけではなく、小説的にも頭の切れる人です。しかし伎の見たところ、
 そのような頭の切れだけでやっていける年月は――わかりやすく「小説家としての賞味期限」と
 言っていいかもしれませんが――せいぜい十年くらいのものではないでしょうか。それを過ぎれ
 ば、頭の切れに代わる、より大ぷりで永続的な資質か必要とされてきます。言い換えるなら、あ
 る時点で「剃刀の切れ味」を「鉈の切れ味」に転換することか求められるのです。

  そして更には「鉈の切れ味」を「斧の切れ味」へと転換していくことが求められています。そ
 のようないくつかの転換ボイントをうまく乗り越えられた人は、作家として一段階大柄になり、
 おそらく時代を超えて生ぎ残っていきます。乗り越えられなかった人は多かれ少なかれ、途中で
 姿を消して――あるいは存在感を薄めて――いくことになります。あるいは頭の切れる人か落ち
 着くべき場所にすんなりと落ち着いていきます。

  そして小説家にとって「落ち着くべき場所にすんなり落ち着く」というのは、率直に言わせて
 いただければ、「想像力が減退する」のとほとんど同義なのです。小説家はある種の魚と同じで
 す。水中で常に前に向かって移動していなければ、死んでしまいます。 

  というわけで僕は、長い年月飽きもせずに(というか)小説を書き続けている作家たちに対し
 て――つまり僕の同僚たちに対して、ということになりますが――  一様に敬意を抱いています。
 当然のことなから、彼らの両く作品のひとつひとつについては個人的な好き嫌いはあります。で
 もそれはそれとして、二十年、三十年にもわたって職業的小説 家として活躍し続け、あるいは生
 き延び、それぞれに一定数の読者を獲得している人たちには、小説家としての、何かしら優れた
 強い核のようなものが備わっているはずだと考えるからです。小説を書かずにはいられない内的
 なドライブ。長期間にわたる孤独な作業を支える強靭な忍耐力。それは小説家という職業人とし
 ての資質、資格、と言ってしまっていいかもしれません。

  小説をひとつ書くのはそれほどむすかしくない。優れた小説をひとつ書くのも、人によっては
 それほどむずかしくない。簡単だとまでは言いませんか、できないことではありません。しかし
 小説をずっと書き続けるというのはずいぶんむずかしい。誰にもでぎることではない。そうする
 には、さっきも中し上げましたように、特別な資格のようなものか必要になってくるからです。
 これはおそらく「才能」とはちょっと別のところにあるものでしょう。

  じゃあ、その資格があるかどうか、それを見分けるにはどうすればいいか? 答えはただひと
 り、実際に水に放り込んでみて、浮かぶか沈むかで見定めるしかありません。乱暴な言い方です
 か、まあ人生というのは本来そういう風にでぎているみたいです。それにだいたい小説なんか害
 かなくても(あるいはむしろ書かないでいる方か)、人生は聡明に有効に生きられます。それで
 も鳶きたい、書かずにはいられない、という人が小説を書きます。そしてまた、小説を書き続け
 ます。そういう人を僕はもちろん一人の作家として、心を開いて歓迎します。

  リングにようこそ。 

                         『第一回 小説家は寛容な人種なのか』

                                                        この項つづく

● リヨンに太陽光発電量リッチなポジティブ・エナジー「ヒカリビル」が完成

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、フランスのリヨンで太陽光発電の発電量がエ
ネルギー消
費量を上回るポジティブ・エナジー・ビルディング「ヒカリビル=写真」を完成した。蓄
電池や蓄熱材、LED照明、
ビルエネルギー管理システムを導入して省エネを徹底した。ビルを実証
運転し、スマートコミュニティー実証事
業の成果として海外に訴求する。東芝などに委託し、日本の
エネルギー関連技術を搭載して建設した。同国で
は公共施設をポジティブ・エナジー・ビルディング
にすることを目標に掲げており、実証成果は実際のビジネス
に展開できる。

今回のスマートコミュニティ実証はリヨン都市共同体(グランリヨン)が進めている都市再開発事業
とタイアップしたもので、20年までに20%の省エネ、20%の再生可能エネルギーの導入をEU
の政策目標に配慮。TASK1
に続くTASK2ではPVを活用したEV管理システムとカーシェア
リングシステムの導入。TASK3はHEMSによる住民の省エネ行動の促進、TASK4では地域
全体のエネルギーを最適化するCEMSを構築する計画だ。NEDOのTASK1~4までの総事業費は
約50億円。日本からは東芝、東芝ソリューションが参加している。ヒカリビルのオープンは15年
初旬、プロジェクトの終了は16年秋ごろの予定。

 


● 水害の予測に応用可能 76GHz帯のミリ波発振器

日本電波工業は、「センサエキスポジャパン2015」(東京ビッグサイト)で76GHz帯のミリ波発
振器を展示。このミリ波発振器は、ガンダイオードとバラクタダイオードを同一平面に収納したプレ
ーナー構造。寸法は13×14×3ミリメートルと小型だが、20ミリワット(10デシベル以上)の高
出力を実現。位相雑音も百デシベル搬送波(1MHz時)と低くなっている。雨や雪など天候が悪か
ったとしても、検知できるのがミリ波の特長。

なお、同社は、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC:Monolithic Microwave Integrated Circuits)と
比べ、半導体素子の開発費用が少なく、発振器としても、部品構成の簡素化が可能ろなり、高い周波
数を選択しているのでアンテナが小型化でき、センサ全体をコンパクト設計可能といった利点がある。


自然災害発生予測に応用が可能

76GHz帯ミリ波発振器を用いたセンサとして、検波器やドップラーセンサFMCW(Frequency Modulated
Continuous Wave
センサが紹介されている。FMCWセンサは、物体の距離と速度を検知できるため、河
川や海などの水位が検知可能。このため、河川の氾濫や津波などの自然災害発生の予測に応用でき、現行
の可視レーザ距離計では、水を透過してしまい距離を誤認識する場合があるが、ミリ波は水を透過しないため
誤認識をすることがない。ミリ波発振器は既にサンプル出荷を開始。1個からの少量受注対応も考え
ているとか。同社は、警備や見守りなどに応用ができ、多種多様な展開が可能だと意気込んでいる。

 特許4772255
【符号の説明】

1  MSL共振回路、2  ガンダイオード、3  基板、4  接地導体、5  整合線、6  出力線、7  SL、8  内側導
体、9  外側導体、10  SLスタッブ、11  ワイヤ、12  キャパシタ、13  バラクタダイオード、14  CPW、15
 MSLスタッブ、16  バンプ.

● ルームランニング記 Ⅲ: ローイングマシーンで疾走 

 

 


時間を惜しんで、いまは、ローイングマシーンに切り替えがんばっている家内ビジネスマンです。

 

 

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