極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

水害と再エネ

2015年09月13日 | 時事書評

 


 

 

    一般論をいくら並べても人はどこにも行けない。

                                        村上 春樹

 




【水害と再エネ: 安全第一・生産第二】

8月11日、吸収電力川内原発1号機が再稼働した。これをきっかけに原発時
代に戻るのではないかという不信が日本列島を覆っているかのようにかにも見
えるが、そのようなことはないとわたし(たち)は確信している。忙殺される
毎日ではあるが、本日から適時関連特集としてブログ掲載していく。

 

 化石燃料への依存増大

 既述のとおり、日本の一次エネルギーにおける海外からの化石燃料依存度
は、震災直前(10年)の81.8%から12年には92.2%となり、化石燃
料の輸入増加は、エネルギー分野にとどまらず、我が国の経済上の問題となっ
ている。原子力発電の停止分の発電電力量を火力発電の焚き増しにより代替
していると仮定すると、海外に流出する燃料費は、13年度で約3.6兆円と
試算される。原油、LNG、石炭などの鉱物性燃料の輸入額は近年上昇し、
13年の輸入額は約27兆円となり、震災前(10年)と比べ、額にして約10
兆円、率にして約6割の増加になる。

 世界の温室効果ガス排出量の増大

 温室効果ガスについてみると、京都
議定書の基準年の90年には世界全体
エネルギー起源二酸化炭素排出量は203
億トンだが、11年には3百億
ン(約1.5倍)に増加した。この間 中
国、インドでは それぞれ3.5倍、
3.0倍に二酸化炭素排出量が増加
今後も新興国を中心とするエネルギ
需要の増加により、世界全体のエネ
ルギー起源二酸化炭素排出量は増えて
く傾向にある。


 我が国では、温室効果ガス排出量削
減のための様々な取組が行われていが
今後、地球温暖化問題を本質的な解決へと導くためには、世界全体の温室効
果ガス排出量を大幅に削減することが急務となっている。
 

原子力発電再開により、火力発電向け燃料コストが削減される→収益が改善
すれば、電気料金値下げへの環境が整う。従って、原発再稼働によって収益
が好転した場合、いつ料金値下げするかどうかは電力会社の判断となる。

政府は、現行の料金を認可する際、玄海3号機が12年1月、同4号が13
年12月、川内1・2号機が13年7月からそれぞれ再稼働されることを仮
定した(上表クリック)。
その認可原価(13~15年度平均)は1兆46
63億円で、改定前収入に対する不足額1209億円。この不足額が値上げ
分であり、それは川内1号機、川内2号機、玄海3号機、玄海4号機が認可
時の予定通りに再稼働した場合の話。
今の時点で川内1号機が2年以上遅れ
てやっと再稼働したわけだが、他の3基のうち川内2号機は来月再稼働の見
通しではある一方で、玄海3・4号機の再稼働見通しは全く立っていない。
川内1号機が再稼働したからと言って九電がすぐに料金値下げできない理油
はこうした点にある(下図クリック)。

さらに、改定前の料金水準にまで料金値下げするには、この4基の正常化が
実現してから相当期間が経ってからということになる。原発事故への不安は
重々理解できるものの、①福島事故は稼働中の事故ではなく、停止中の事故
であったこと、②福島事故時に稼働中の原発は、浜岡4・5号機を除き、そ
の後の定期検査時まで通常稼働していたこと、③原発停止に伴う代替火力発
電向け燃料コストは莫大であること(214年度は3.7兆円、11~14年
度の累計で13兆円)などを総合的に踏まえ、原子力新規制基準への適合へ
の対応については適切な猶予期間を設定しながら、直ちに発電再開をしてい
ことが緊要であるとは(BLOGS「州電力:原発再稼働により5年ぶり
黒字化
~電気料金値下げがすぐにできない理由」 石川和雄 2015.09.05)、
元経産省、現社会保障経済研究所代表で原発推進派の見解である。

 

原発の再稼動について、各種世論調査の結果は、反対が賛成の2倍前後に
している。また、高浜、伊方、大飯な
ど、複数の原発で稼働反対の訴訟が起
こっている。国民が反対する最大の理由は、(1)福島第一の事故がまだ収
束しないこと。原
発は必要、と考える人の中にも、「福島が収束しないうち
はダメという声は少
なくない。(2)核のゴミの最終処分場の目処が立たな
いことだである。
現在、建設が具体化しているのは、フィンランドとスウェ
ーデンの2国だけ。フィンランドの「オンカロ」では、放射性廃棄物を10万年
間貯蔵するが、それだけの長期間安定した地盤は日本にはほとんない。

30年には、発電に占める原発の比率はゼロにしたいところだが、二酸化炭素

削減から難しい。政府は、20~22%と想定しているる(3・111以前は
30%前後)。原発比率低下を補うのが自然エネルギーであり、その大部分を
占めるのが太陽光。

日本の太陽光発電は、14年の1年
l間に9百万キロワット超の新設があり、
14年
末現在の累計設置容量は2千3百万キロワット達し、年間の総発電量
換算して230億キロワット時、14年度の日本の総発電量9千百億キロ
ワット時の2.5%に相当
。また、今年は動向について、日本太陽エネルー
協会は8月31日、第一
四半期(4~6月)の太陽電池モジュールの国内出荷
量が、前年同期比14%
マイナスの161万2139キロワットたと発表。
買い取り価格の低下(27円)などの影響で、全体で、は多少減速するが、これか
らも伸びるとしている(地域密着の震電力に期待」村沢義久立命館教授 環
境ビジネス2015年秋季号)。



その理由の一つがソー
ラーシェアリング(営農型太陽光発電)。農地の上に太
陽光パネル展開し、発
電と農業を同時にやろうというアイデア。日射量を確
保するために、パネル間
隔を空けて設置する。日本には450万ヘクタール
農地があり、その3分の1の面積
に、通常の3分の1の密度でパネルを設
するだけで、総発電量の3分の1を賄
うことができる。

「高い」と言われてきた発電コストもす
でに1キロワット時当たり16円程度
まで下がっ
ている。逆に家庭用の電力料金は30円程度まで上がっているか
ら、その半額になる。米国のテキサス州とネバダ州のメガソーラー発電コスト
は30円は15%の4.8円以下を記録している。

一方、「安い」と言われる原発のコスト(最近の政府の見直しでは10円程度)
は、テロ対策や、避難所の建設、最終処分場建設にかかる費用などを考えると、
実際には30円を超えると、30年の発電量に対する太陽光の比率について、
政府は7.4%と想定して
いるが、10%以上を達成できると村沢義久立命
館教授は考えている。


● 地産地消はバッテリーが鍵

また、太陽光発電の最大の弱点が、発電が不安定で、蓄電池との併用が重要。
晴れた昼間に余剰電力を蓄え
、夜間や悪天候時には蓄電池からの放電で賄お
う。
群馬県上野村では、福祉施設「いこいの里」に災害時の電力確保に71
キロワット
の太陽光発電システムと85キロワット時の蓄電システムを設置
した。ま
た、家庭用蓄電池を装備した住宅も現れ始めている。問題は、まだ
コストが高いこと。日本
の太陽光発電のコストは16円程度だが、蓄電池を
併設すると、すぐに2
倍以上になる。従って、大幅なコスト提言が必須だと
村沢氏は指摘し以下のように論理展開する。

そこに、すごい製品が現れた。アメリカの電気自動車メーカー、テスラから
発表された、家庭用蓄電池システム「パワーウオール」。壁掛けタイプで、
容量10キロワット時のものが、3500ドル(約42万円)。国産品の4分
の1という安さだ。今後、パネル、パワコン共々さらなる価格低下が期待で
いるので、蓄電池込みでも 家庭用電力料金より安くなるだろう。そうなれ
電力の地産地消が実現する。

 

 ● 風力、バイオ、水素には疑問

太陽光の次に期待する自然エネルギーは小水力だ。風力は、日本では風況の
悪さと環境問題などの点で難しい。政府も一時は太陽光以上に期待していた
が、現在では、大幅に下方修正している。また、最近、木質を中心としてバ
イオマス発電が注目されているが、20年間にわたる燃料の安定調達と、熱
の安定販売に難がある。また、資源量としても、太陽光より一桁小さなレベ
ルだ。それから、水素関係にもあまり期待はできない。トヨタは14年12
月、燃料電池車「MIRAI(ミライ)」を発表した。「究極のエコカー」とし
て期待する声もあが、水素供給インフラの整備が追いついていないかない。

15年末までに百ヵ所、という目標を立てているが、電気自動車用充電拠点
1万6千ヵ所(急速6千+普通1万)に上るので比較にならない。エコカー
争の勝者はバッテリー使用の電気自動車であると考えている。

● 電力自由化を控えて

日本の電力自由化は3段階に分けて行われる。第1段階は「広域的運営推進機
関の設立」で、今年4月より「電力広域的運営推進機関」が業務を開始している。
第2段階は「電気の小売業への参入の全面自由化」で2016年4月に施行される
予定。第3段階として、法的分離による発送電の分離および電気の小売料金
の全面自由化で、20年4月の実施を目指している。自由化を控えて新電力の
入が加速している。8月12日現在、登録されている新電力は734社。全国
展開を目指すものもあるが、太陽光中心の分散電力を支える、地域密着型の新
電力であると述べている。 

ところで、記録的な豪雨で鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市の高杉徹市
長は本日、甚大な被害が出た同市三坂町・上三坂地区の住民に堤防の決壊前
に避難指示を出さなかったことについてミスだったと認め、「そこが決壊す
るとは思っていなかった。大変申し訳なかった」と謝罪している(時事通信)。
また、未確認情報だが、決壊箇所では太陽光ハネル設置工事でトラブルがあ
ったやに流されている(下写真クリック)



出典:2015年09月10日15:33 | カテゴリ:国内ニュース |「保守情報」

ネットでは「(常総市)5月定例会の議事録が公開 都市計画税/鬼怒川沿
いの太陽光発電所」ここら辺から広がったようだが、デマなのか真実なのか
判明はクエスチョン(要観察)。

太陽光発電協会(JPEA)は9月11日、太陽光発電設備が水害によって被害
を受けた場合の対処について、注意を促した。
台風18号の影響による豪雨
で、関東や東北において、大規模な水害が発生している状況を受けたもの。
まず、太陽光発電システムが水没したり、浸水した時の注意として、パワー
コンディショナー(PCS)や太陽光パネルと送電ケーブルとの接続部に、接近
したり接触した場合、感電する恐れがあり、近づいたり触れたりしないこと
を強調している。

漂流物などにより、太陽光パネル、集電箱、PCSが破損したり、接続している
送電ケーブルが切れたりしている場合、水没・浸水時に近づくと感電する恐
れがあるため、近づかないように注意を促している。
被害に対処する際の連
絡先として、出力50キロワット未満の太陽光発電システムの場合は販売施
工事業者に、出力50kW以上の場合は選任されている電気主任技術者に連絡し
対策をとるように求めている。

水害の被害を受けた太陽光パネルは、絶縁不良となっている可能性がある。
接触すると感電する恐れがあるという。 復旧作業などで、やむを得ず取り
扱う場合には、素手は避けるようにし、感電対策(ゴム手袋、ゴム長靴の使
用など)によって感電リスクを低減することを求めている。複数枚の太陽光
パネルが、接続されたまま飛ばされたり、流されたりした場合には、接続活
線状態であれば、日射を受けると発電し、高い電圧・電流が発生する可能性
がある。その周辺にロープを張るなど、関係者以外が不用意に立ち入らない
ような対策が必要になる。

浸水したPCSは、直流回路が短絡状態になる可能性がある。太陽光パネルが活
線状態の場合には、PCSに短絡電流が流れることでショート、発熱する可能性
がある。PCSがショートしている状態が見える場合には、販売施工事業者に連
絡し、対応してほしいという。取り扱いにあたっては、安全のため感電対策
を取るとともに、PCSの遮断器を解列することを推めて勧めている。

以上、原発にしろ再生エネルギーにしろ、安全をおろそかにしもうけ主義に
走ると思わぬところで、しっぺ返しを被ることになる。そのとき、施工主や
施工業者はいうに及ばずそれを許可した組織あるいは資本投下した組織や個
人に責任が及ぶことを肝に銘じておかなければならない。わけても、今回、
川内原発を再稼働させた九電経営者などの組織犯罪は、未来永劫忘れ去られ
ることはない。「安全第一・生産第二」である。

                            この項つづく  

 

 

 

 

 

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