極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

メタセコイヤと彼岸花

2015年09月23日 | 時事書評

 

 

 

   月の裏側に一人残されていたような恐怖を自分のことのよ
               うに想像しながら、その状況の意味を何年も考え続けた。
 
                                                                                                
                                                                               村上 春樹 

  

朝、いつものように作業をしていると、朝刊の一面をみせ、「高島の桂浜園地」の彼岸花が見事に咲
いている
とみせるので、二言、三言を話し、それじゃこれがおわったら見に行こうと約束し、八時半
過ぎに家をでて、昼
前に帰ってくる。国道335号から湖岸道路の54号にはいるとメタセコイヤと
百日紅の並木道を疾走すると、
めざす今津町桂の一万本もの彼岸花が群生する地に到着。天候もよく
群生地には沢山の人がめいめい写真を撮ったり
し花を鑑賞している。もう少しするとそばの花が咲き
紅白のコントラストが楽しめる。帰りに「あぢかまの里」に立ち寄り栗御飯と古漬け、そして、清酒
「深坂地蔵」を
買い、お昼御飯に頂く。



         塩津山うち越え行けば我が乗れる 馬そ爪づく家恋ふらしも

         ますらをの弓末ふり起し射つる矢を後見む人は語り継ぐがね  


                               笠朝臣金村


この「深坂地蔵」のラベルにかかれている一首は、金村が近江の塩津山で作った歌のひとつされ、塩
津山が
どこを指すかさだかでないが、近江塩津から角鹿(敦賀)へ向かう道の途中であることはほぼ
確かだとされるが、この短歌も現代では符号化した「商品」の価値形態の援用として消費されている。
また、北陸新幹線の岐点となるであろう敦賀から大阪と名古屋の太平洋側の二都市を結ぶことになれ
ば、これほどの誉れはないと、美し国の蒼氓の"げんざいのかさのあそんかなむら"は塩津山(しおつ
やま)――現在の滋賀県長浜市西浅井町塩津浜と福井県敦賀市追分との間の山。琵琶湖北岸から敦賀
へ出る険路――を望みそう思っているのではないかと韻を惹く。

 

深坂峠は、深坂古道は古来、「深坂越え」と言われ標高370メートル深坂峠を越える交通の難所。
しかし「深
坂越え」は、越前の国(敦賀)と近江国(塩津)を結ぶ最短経路であり、難所であるにも
かかわらず利用される。
千年の昔、紫式部が父(藤原為時)に連れられ通った道で、平清盛が息子、
重盛に、琵琶湖-敦賀間の運
河の開削を命じる。近世には、秀吉により高低差の少ない「新道野越え」
が東に開かれると「深坂越え」の道は衰退する。
現在では東の「新道野越え」は国道8号に西の「西
近江路」は国道161号に姿を変える。


       
       知りぬらむ ゆききにならす 塩津山 世にふる道は からきものぞと     

                                   紫式部


深坂古道は古来、「深坂越え」と言われ標高370mの深坂峠を越える交通の難所。「深坂越え」は、

越前の国(敦賀)と近江国(塩津)を結ぶ最短経路であり、難所であるにもかかわらず利用されてい
く。千年の昔、紫式部が父(藤原為時)に連れられて通った道であり、平清盛が息子、重盛に、琵琶
湖-敦賀間の運河の開削を命じたところ。また、秀吉により高低差の少ない「新道野越え」が東に開か
れると難所とされてきた「深坂越え」の道は衰退する。現在では東の「新道野越え」は国道8号に、
西の「西近江路」は国道161号線に姿を変る。峠の手前に、深坂地蔵堂――堀止(ほりどめ)地蔵
とも――があるが、近江・塩津から越
前・敦賀を結ぶ運河を平重盛が塩津側から掘削を開始するが峠
付近にさしかかった時、大きな岩に突き当た
り頓挫する。石工が岩を割ろうとクサビを打ち込むと、
突然石工は腹痛を訴えて倒れこみ、別の石工が試みて
も同じように腹痛がおこり工事は中断。不思議
に思いこの岩を掘り起こすと、立派なお地蔵のお姿を見つけ、
運河計画を中止するが、その場にその
お地蔵様を安置したと言い伝えられていくが、現在は子供の守り神と
して信仰される。

また、運河の起点となる塩津港があった「塩津港遺跡」で8年前、誓約書のルーツである起請文が書
かれた大きな木簡が多数出土するが、ほとんど12世紀後半のも。まさに平清盛が活躍した時代と一
致するが、このことが「清盛の知られざる野望 琵琶湖運河計画が眠る峠」、つまり、日宋貿易が平
清盛の父・忠盛が越前守だった時代に敦賀で行われ、瀬戸内海の海賊と戦い海運航路を確保し、博多
に日本初の人工港をつくり瀬戸内海ルートを使い日宋貿易を活性化、
航路が狭く難所とされた広島県の
音戸(おんど)の瀬戸を開削伝説を生み、この貿易で財を築いた平清盛が、当然のごとく、日本海~琵琶
湖ルートの重要性を教えらたと推測される所以である。


※塩津~敦賀間運河計画年表 http://www.koti.jp/marco/unga_hyou.htm

 
 



【中古太陽発電市場が本格化】

固定価格買取制度も4年目に入り、建設工事が終わって売電を開始した太陽光発電所が増えてきた。
資源エネルギー庁の発表によると14年1月現在で13.6ギガワット超の太陽光発電所が運転を開
始――9月22日現在の全国の太陽光発電所一覧地図:2418箇所で5,736メガワット――し
ている。原発13基分に相当する出力となる。1メガワットあたりの建設費用を3億円と
すると、3
億円×13ギガワット=3.9兆円分の運転開始した太陽光発電所が存在することになる。
短期間に
これだけの投資を誘発した投資促進制度は非常に稀で、固定価格買取制度の威力を見せ付けるものと
なっている。従来は開発途上の太陽光発電所の3点セット(①設備認定、②電力会社への接続申込の
地位、③土地利用権)をメガワットあたり数千万円で取引するいわゆる「権利売買」取引が行われてい
たが、これからはそれに加えて完成しえている太陽光発電所を売買するセカンダリー取引が活発にな
る予想されている(「中古太陽発電市場が本格化」江口直明 環境ビジネス 2015年秋季号)。

太陽光発電所を買い取る海外ファンドも日本に上陸し、太陽光発電所を買い始めている。また、東京
証券取引所の太陽光発電所等の再生可能エネルギー向けインフラリート(インフラ施設を対象とした
不動産投資信託(リート))制度も始まり、今後
設立されるインフラリート投資法人も有力な買い手
となりうる。さらに完成した太陽光発電所に投資
するファンドも日本で立ち上げる動きがあり、買主
の顔ぶれが出そろいつつある。15年3月31日で終了した太陽
光発電設備の即時償却メリットを享
した税効果目的投資家は、継続保有するインセンティブはなく、今後維持管理費がかかる太陽光発
電所を売却に動
くかもしれない。また、海外投資家は開発型投資家が多く、完成後は売却することを
前提に開発を進めている。これらの海外投資家の太陽光発電所の資金調達のためのファイナンスが今
佳境を迎えているので、海外投資家が完成した太陽光発電所を売りに出すケースも間もなくやってこ
よう。まさに機は熟しつつあると言える。 

発電所情報の開示

太陽光発電所の売買をスムーズに進めるためには、売主側でも十分な準備が必要となる。買主が売買
の可否を判断するのに必要な情報は売主側から積極的に開示し、買主のデューディリジェンス(法務
査、技術監査――不動産取引等において対象不動産の適正な市場価値やリスクを明確にするために
実施する詳細かつ多面的な調査
――を容易にする努力が必要となる。不動産売買の際に行われている
重要事項説明書の
ような書面を作成し情報を開示するのが望ましい。売主の開示情報が整っていれば
買主の法務デュ
ーディリジェンスの期間は短くなり、その費用も安くなるので、迅速に売買契約書の
交渉へ手続きを進める
ことができる。売主側として、法務監査に時間がかかり売却の機会を逸すると
いう不都合を避けるこ
とができる。開示資料不足と時間不足で法務監査が十分にできなければ、積み
残した事項については
リスク原因として買主は発電所の購入値段に織り込まざるを得ず、価格の低下
要因になる。



売主が太陽光発電所を購入又は開発する際に弁護士やその他の専門家にデューディリジェンスレポー
トを作成させていた場合には、通常下記のような事項について予め調査がされていることが多い.そ
の場合には、このデューディリジェンスレポートを買主に開示すれ
ば、買主の
デューディリジェンスを容易にすることができる。売主の担当弁護士等は、依頼人以外の者が担当弁
護士等の作成したデュディリジェンスレポ-トに依拠することを望まない場合もある。その場合には
「ノン・リライアンスベース/非依拠ベース」で開示を許諾してもらうように当担当弁護士等に依頼
するこ
とになる。開示資料では例えば次のような記載が必要になろう。合同会社の持分を売却するこ
とを前
提とする。

1.基本情報

①太陽光発電所設備名称、完工した発電所の実際の発電出力MW数、買取価格(40/36円)
②設備所在地、発電事業者名、設備ID番号、設備認定通知言上の発電出力、設備認定日(設備認定通知
 書/変更届の写しを添付)
③売主名(合同会社の持分保有者)(会社や一般社団法人の場合は商業登記簿謄本を添付)
④発電事業を行う合同会社名(商業登記簿謄本及び定款を添付)

【発電事業を行う合同会社名と設備認定通知の発電車業者名が異なる場合は、設備認定通知の発電事
業者から現在の発電事業を行う合同会社に設備認定の名義変更が行われたことを示す軽微変更届出写
し及び権利譲渡に関する契約書の写しを添付】

⑤実質売主名(売主がSPC)の場合(商業登記簿謄本を添付)
⑥売電先会社名
⑦土地所有方式/土地賃貸方式
⑧プロジェフトストラクチャー図(当事指名を含む参考例有)

2.設備認定・接続契約

①設備認定について報告書徴収があった場合の報告書、回答書
②速系接続検討結束
③系低速系承諾通知書年月日
④速系工事期間と工事負担金支払領収 書
⑤特定契約・接続契約(売電契約書)/電力受給に関する契約要綱の写し

3.土地情報

3.1 発電所用地

①発電所建設時のデューディリジェンスの有無、DDレポート開示の可否
②発電所用地の詳細図
発電用地の筆数と地積合計面積
発電用地の不動産物件目録(参考例 有)
⑤発電用地の公図をつなぎ合わせて一つの地図としたもの
⑥不動産登記簿騰本の写し
⑦発電用地利用権の種類(所有/地上権/登記付賃借権)
⑧土地利用契約書名、当事者名、調印 年月日、年間地代合計額(賃貸方式の場合)/固定資産税合計
 額(所有方
式の場合)、利用権の期間
⑨測量図、筆界確認
許認可取得の有無と許可書の写し(農地転用許可、林地開発許可、条例による環境影響評価等)
用途地域
⑫都市計画道路の有無

3.2送電線用地


上記3.1の①から⑩と同様 但し③は
地積合計面積は不要、⑦は送電線用地の利用権として、空中地
上権、地役
権、道路占用許可等

4.契約書

①エ事請負契約書出力保証の有無と内容
②発電所の試運転情報/エンジニアリンブレポート/TUV等の認証の有無
③運転維持管理契約書出力保証の有 無と内容
④パネル供給契約書出力保証の有無と内容
⑤保険検証証券保険の概要、パネルメーカ―倒産保険の有無
⑥融資契約売買時全額返済の可否、担保の有無
⑦その他(開発契約、仲介契約等もしあれば)

5.その他報

6.技術情報

これらは法務監査のための資料開示ではなく、技術監査のための資料開示となる。発電所の設計図書、
地盤デー
タ、配線図、発電実績、発電効率、試運転の記録、系統の出力抑制事由の有無、瑕疵修補の
記録、スペアーパーツ
状況等技術監査に必要な情報は技術監査専門家から開示要求されることになる。
開示要求に迅速に対応できるよ
うに、予め開示資料を整えておくことが望まれる。




太陽光発電所のデューディリジェンス

買主の法務デューディリジェンスは、関示された発電所情報を基にして、不明点をさらに調べる追加
的審査となる。法務監査は書面の確認、売主のインタビュー関係行政機関や契約相手方へのヒヤリング
の手順を踏み、関係行政機関に買主の弁護士がいきなり連絡を取ると、関連行政機関の担当者には寝耳
に水となり、十分な協力が得られないこともある。売主から予め関連行政機関に買主側法律事務所の
名前を告げて、ヒヤリングの要請があることを伝えて、協力のお願いをしておくことが望ましい。デ
ューディリジェンスは、数週間を要し、最終的にデューディリジェンスレポートを作成。このデュー
ディリジェンス
レポートは買主が将来この当該太陽光発電所を売却する際にも開示資料の役割を果た
す。

太陽光発電所合同会社の持分売買契約

買主がデューディリジェンス結果に満足すると、次に太陽光発電所合同会社の持分売買契約の交渉と
調印へ進む。発電所事業の売買には、(1)会社譲渡方式と(2)資産譲渡方式の2種類があるが、
通常は発電所施設、関連契約、許認可を有している発電所合同会社の持分を譲渡することにより、個
々の資産譲渡、契約上の地位の移転、許認可の移転を避けて、一括して会社ごと発電所事業を譲渡する。
但し持分譲渡方式では買手側で営業権の認識ができず、税務上の理由から資産譲渡方式を買主が求め
る場合もあり、譲渡のストラクチャリングにあたっては税理士への相談が不可欠となる。譲渡を実行
してから、税務上の理由から一旦譲渡を解除は空振りとなる。契約の相手方は資産を有する当事者と
するか、契約の相手方は特別目的会社でやむを得ないとしても、資産を有する親会社、または関連会
社から契約の履行について保証を得ておく。 

売買契約の記載事項としては、契約日から売買実行日までの間に売主が行うべき事項及び売買を妨げ
てはいけない事項を列挙する。また、売主及び買主がそれぞれ売買実行日までに充足しなければならな
い売買実行前ジェンスの結果、発電所に不具合が見つかった場合には、売買実行日までにその部分を修
補することが条件になったりする。

売買契約の重要な項目として売主の表明保証がある。売主自身に関する事項、発電所に関する事項、

許認可に関する事項等について売主は表明保証を行い、万が一表明保証が誤っていた場合には損害賠
償義務を負うことを約束する。デューディリジェンスで十分調査ができなかった事項については、売
に表明保証してもらうことにより、調査に代替する場合もある。売買契約上の履行義務の重大な違
反や重大な表明保証違反があった場合、売買契約は解除され、損害賠償を請求することになる。売買
契約には損害
賠償の免責額及び損害賠償の上限額を記載することがある。 

以上のように、固定価格買取制のプレミアム期間終了を控え、中古(セカンダリー)太陽光発電所の
売買にかかわる法務デューディリジェンスについて、ベーカー&マッケンジー法律事務所の江口直明
弁護士の日本市場の動向について学ぶ。                                         

  

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