●発光ダイオード照明大国へ
3・11東日本大震災・福島第一原発事故以降大きく変わったデジタルデバイスといえば、太陽
光発電ともう1つ発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)照明の普及拡大がある。その特
徴は、周知の通り蛍光灯や白熱灯など他の多くの光源と異なり、不要な紫外線や赤外線を含まな
い光が簡単に得られ、紫外線に敏感な文化財や芸術作品や、熱照射を嫌う物の照明に用いられる。
入力電流変化に対する光出力の応答が早く通信などにも利用されるほか、照明に用いた場合は点
灯と同時に最大光量が得られ長寿命であるが、製造コストが高いということであった。
ところで、LEDパッケージの世界市場の8割は日本を含めたアジアで生産されているが、白色LED
照明(5ミリメートルランプ・800ルーメンス、CO2排出量:267kg)1個(点灯回路含),7千円
に対し蛍光ランプ(電球型、810ルーメンス、CO2排出量:290kg)7個、6,300円となるが、量産
効果を考えると現状の定格寿命4万時間は変わらないとして単価を3千円以下に持っていく品質
展開(=コスト展開)させトップランナーを獲得しておく必要があると考える。次に技術的な課
題を考えると、現行のLED発光装置では、LEDパッケージ基板としてセラミック基板、シリ
コン基板又は金属基板を用いているが、従来のセラミック基板又はシリコン基板を用いた構成に
は、セラミックやシリコンの熱伝導が銅などの金属よりも悪いためうまく放熱できないこと、高
価なこと、加工が困難であり、下図のメタルコア印刷回路基板は、メタルコアと、その上に絶縁
層を介し、銅箔を回路加工した印刷回路により構成され、絶縁層には、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォンからなる百ナノメートル程度の厚さの耐熱
性熱可塑性樹脂が用いられ、メタルコア印刷回路基板の窪みの底面に発光ダイオードを載置固定
し各端子をそれぞれ印刷回路に接続し、窪みに透明アクリル樹脂を充填して構成されるが、放電
性問題がある。
これらの課題を解決するために、下図の基板の表面に形成された反射材として機能する白色絶縁
層とを備えるLED発光装置で、表面が金属で、平均粒径が数~数百ナノメートルのケイ酸粒子
と白色無機顔料を含む白色絶縁層と金属層の積層構造とで形成し、白色無機顔料が、二酸化チタ
ン、酸化マグネシウムと酸化亜鉛などでを組み合わせたもので、耐熱性、放熱性や耐久性に優れ
た電気絶縁層を有し、コスト性、プロセス性に優れたLED発光装置が提案されている。
特開2014-060462
ここで押さえておく技術ポイントは白色系の「蛍光体分散ガラス」。蛍光体との反応性が低く、
透明性や白色度が高いガラスでできている。屈折率も比較的高い特徴をもつものだ。つい最近、
セントラル硝子は高演色で太陽光に近い波長範囲に連続する分布(連続スペクトル)の「白色蛍
光体」を試作開発している。蛍光体から白色の連続スペクトルが得られるため、安定して白色光
が得られる。あわせてUV―LED励起のため、透過する青色光がなく、ブルーライトの問題が
起こりにくく、励起光強度で色味が変化しない。このため、従来のLEDのバックライトは、青色LE
Dにより黄色の蛍光体のセリウムを励起して似的に白色を再現する方法は、透過光と蛍光のバランスで
色が決まるり制御が難しいという問題が解決できるという。このような蛍光体がインクジェットで塗布し生
産しコスト削減すればプリンタブルで大面積化も可能となる。これは面白い。
●高変換効率太陽光発電大国へ
つぎに、太陽光発電の伸張について。産業技術総合研究所は「PVシステムのコストの試算から見
えてくる研究開発の方向性」と題して講演し、変換効率の向上や長期安定性など4つの方向性を
示したことが報じられた(「AIST 太陽光発電研究・成果報告会 2014」 )。それによると「太
陽光発電システムの発電単価は、家庭用電力の市場単価(約20円~/kWh)と伍するまでになっ
た」との認識に立ち、国の掲げた次の発電単価の目標である第2段階のグリッドパリティ「14円
/kWh」、第3段階のグリッドパリティ「7円/kWh」を見据えた研究開発の方向性を分析した。
グリッドパリティとは、電力の市場価格より安くなる発電単価を示す。現状の太陽光の発電単価
は家庭用電力のグリッドパリティを達成しつつあり、業務用電力(14円/kWh)、産業用電力(
7円/kWh)を下回ることが次の目標になっているが、(1)IRR(内部収益率)0%の前提で、
運転維持費を現状の8000円/kWh・年から同6000円に下げ、初期投資可能限度額を10数万円/kW
に抑えると、発電単価14円/kWhが実現できる(上図クリック)。ただし、(2)ただ、稼働年
数を20年から30年に延長すると初期投資可能限度額が20万円/kWを超えても発電単価14円/kWh
を達成できる。さらに、(3)さらに発電単価7円/kWhを達成するには、運転維持費、系統接続
費用、土地造成費用を大幅に圧縮する必要があるなとを説明し、(1)変換効率をさらに高めて
設置工事費を低減(2)長期安定性の向上(3)低コスト化(4)施工を容易にできる構造・形
状の4点の課題を挙げている。
同上報告会では、太陽光発電産業が1兆円に達したというとも言うが、1兆円の10%の1千億円/
年を2020年までに25%超高効率変換×20年完全耐久性に政府が支援していけば2020年には、日本は
手前味噌だが『オールソーラーシステム社会』が6年後には「太陽発電立国」として実現している
ことになるが、現状の再生可能エネルギーの現状を下図で確認しておこう。
世界中で消費されるエネルギーの量は石油換算量で86億7700万トンに相当し、そこから作り出され
るエネルギー量は3億6,300万テラジュールというとてつもない量になるという。このエネルギー量
を別のものに換算すると、ハリケーン2795個分、マグニチュード9.0クラスの地震877回分のエネル
ギーに相当しますが、ハリケーンは年間平均で20.7個、そしてこのクラスの地震は過去1000年で数
回しか発生していない。現在のエネルギーの大部分は、再生可能ではないエネルギーから作り出さ
れ、再生可能エネルギーが占める割合は、右下の円に囲まれている16.1%。このエネルギー生産に
かかるコストは(上グラフ)、全世界のGDP(国内総生産)の合計額のうち、約1%に相当する1兆
6,600億ポンド(約263兆円:因みに、日本のGDP8%)が再生可能ではないエネルギー源に費やされ
る。
しかし、このエネルギー源には限りがあって、2112年ごろには枯渇すると言われ、エネルギーを作
り出す過程で、地球はダメージを受ける。1980年からの約30年間に失われた北極の氷は439万平方
キロメートル、さらにその減少率は10年ごとに11.5%上昇しています。南極では2002年以降、毎年1
00立方キロメートルの量の氷が溶け出していて、海水面は年平均3.16ミリメートル上昇。温室効果
ガスである二酸化炭素の濃度は、1950年には最高でも300ppmだったのが、2014年には400ppmにまで
上昇。現在でも急上昇を続けている。 それでは、そのエネルギー源を再生可能なものに置き換える
には、太陽光発電パネルだと、スペインの国土に相当する49万6805平方キロメートルの面積が必要
といわれているが、これが現状の倍の25%変換効率になれば、約25平方キロメートルとなり、LED
照明などの量子スケールデバイスなどの省エネと合わせて限りなく実現可能な数字に漸近する。
さて、その具体的な事例として同報告会で、高効率多接合太陽電池を安く作る技術を開発、CIGS太
陽電池を基に、世界最高の値の変換効率 24.2%を実現したとアナウンスされている。これは、4接
合以上の多接合太陽電池は、格子定数の違いなどから従来の結晶成長技術では高性能の素子を作製
することが難しいが、すべて結晶成長ではなく別々に作製したセルを物理的に貼り合わせる「メカ
ニカルスタック」技術CIGS系太陽電池の上にGaAsとGaInPの2接合太陽電池を積層した素子と、Ga
InP/GaAs/InGaAsP/InGaAsの4接合太陽電池、GaInP/GaAs/CIGSの3接合太陽電池の3種類。ここま
でくれば、基幹エネルギーは太陽電池で担える。後は水の電気分解で水素製造を地産地消でき、室
内用人工光電池で様々な照明、スマートフォンなどの充電として色素増感型や有機薄膜太陽電池な
どが活躍しているシーンがスケッチできる。これは面白い。
世界でいちぱん孤独な男は、やはり彼女の夫に違いない。僕はその席を彼のために残してお
く。僕は彼がどんな人物なのか知らない。年齢はいくつなのか、何をしているのか、していな
いのか、まったく情報を持たない。僕が彼に関して知っているのはただひとつ、声が低いとい
うことだけだ。でも声の低いことは、僕に彼についての具体的な事実を何も教えてはくれない。
彼は水夫なのだろうか? それとも水夫に対抗するものなのだろうか? もし後者であるとす
れば、彼は僕の同胞の一人ということになる。もし前者であるとすれば……それでもやはり僕
は彼に同情する。彼のために何かができればいいのだが、と思う。
でも僕がそのかつての彼女の夫に近づくすべはない。彼の名前も知らないし、住んでいる場
所も知らない。あるいは彼は既に、名前も場所もなくしてしまっているかもしれない。なにし
ろ彼は世界でいちばん孤独な男なのだから。僕は散歩の途中、一角獣の像の前に腰を下ろし(
僕のいつもの散歩コースには、この一角獣の像がある公園が含まれている)、冷ややかな噴水
を眺めながら、その男のことをよく考える。そして世界でいちばん孤独であることがどういう
ことなのかを、僕なりに想像する。世界で二番目に孤独であるというのがどういうことなのか
僕は既に知っている。しかし世界でいちばん孤独であるというのがどういうことなのかはまだ
知らない。世界で二番目の孤独と、世界でいちばんの孤独との間には深い溝がある。たぶん。
深いだけではなく、幅もおそろしく広い。端から端までしっかり飛び切ることができず、力尽
きて途中で落ちてしまった鳥たちの死骸が、底で高い山をなしているくらい。
ある日突然、あなたは女のいない男たちになる。その日はほんの僅かな予告もヒントも与え
られず、予感も虫の知らせもなく、ノックも咳払いも抜きで、出し抜けにあなたのもとを訪れ
る。ひとつ角を曲がると、自分が既にそこにあることがあなたにはわかる。でももう後戻りは
できない。いったん角を曲がってしまえば、それがあなたにとっての、たったひとつの世界に
なってしまう。その世界ではあなたは「女のいない男たち」と呼ばれることになる。どこまで
も冷ややかな複数形で。
女のいない男たちになるのがどれくらい切ないことなのか、心痛むことなのか、それは女の
いない男たちにしか理解できない。素敵な西風を失うこと。十四歳を永遠に――十億年はたぶ
ん永遠に近い時間だ――奪われてしまうこと。遠くに水夫たちの物憂くも痛ましい歌を聴くこ
と。アンモナイトとシ―ラカンスと共に暗い海の底に潜むこと。夜中の一時過ぎに誰かの家に
電話をかけること。夜中の一時過ぎに誰かから電話がかかってくること。知と無知との間の任
意の中間地点で見知らぬ相手と待ち合わせること。タイヤの空気圧を測りながら、乾いた路上
に涙をこぽすこと。
とにかくその一角獣の像の前で、僕は彼がいつか立ち直ってくれることを祈る。本当に大切
なことだけを――僕らはそれをたまたま「本質」と呼ぶわけだが――忘れることなく、その他
のおおかたの付属的事実を、彼がうまく忘れてしまえることを祈っている。自分がそれを忘れ
たということさえ忘れてしまってくれればいいのだがと思う。心からそう思う。たいしたもの
じやないか。世界で二番目に孤独な男が、世界でいちぱん孤独な(会ったこともない)男を思
いやり、彼のために祈っているのだから。
村上春樹 著 『女のいない男たち』(書き下ろし/文藝春秋)
この項つづく
●映画『マイレージー、マイライフ』
ひょんなことから、NHKのBSプレミアム『マイレージ、マイライフ』(Up in the Air)の録画を
鑑ることになり夜更かししてしまった。この映画は、2009年の米国映画。ジェイソン・ライトマン
がウォルター・カーンの同名小説を映画化。ライアン・ビンガムはいわゆる「解雇宣告人」で、1
年のうち300日以上を出張のために全米中を飛行機で飛びまわるのに費やすという人生を送っていた
が、彼にはマイレージを千万マイル貯め、飛行機に自分の名前を残し、フィンチ機長と面会する目
がある。「バックパックの中に入りきらない人生の持ち物は背負わない」というモットーを持ち、
肉親とも距離を置き、結婚にも興味を持たず、旅先で知り合ったアレックスとも気軽な関係を続け
ていたが、だがライアンがオマハの本社に戻ったある日、新入社員のナタリーが現地出張を廃止し
てネット上で解雇宣告を行うシステムを提案する。ライアンはそれに反対し、ナタリーと衝突する。
そこで上司のクレイグは、ライアンにナタリーの教育係を命じ、彼女に実際に解雇宣告を経験して
もらうために二人で出張させるというストーリー。最後にはアレックスとナタリーとも分かれると
いう、ほろ苦くも侘びしい(imperfect)結末となるがマイレジーの目標だけは達成するという、ウ
ィットに富んだ大人のストリートなっている。この映画は何度もみても良い作品だ。
泣くな長友!(上写真)高温・多湿という環境は、人一倍消耗することを第一戦の本田圭介の後ろ
姿をみてそう思ったし、決定打がないことも日本チームのフィジカルの劣性さを目の当たりにして
理解できた。その意味では、中南米のチームが1、2、3位」を独占することを予感させるもので
あった。地理的なものは中南米の選手を帰化させることで、フィジカルに対抗するには、身長や体
重、年齢のばらつきを大きくしてチーム編成すれば良いとも思った。彼女はあなたはサッカーに興
味がないからよ。と、車の助手席で言ったが、ワン・クォータは当たっている。しかし、残りのス
リークォータは違っているがそのことは反論しなかった。ここ2日間にいろんなことがあったが、
NHKの放送コンテンツのクォリティーの高さに感心した。「新日本風土記」などもそうだがスマ
ートフォンの『旅なび』が充実すれば、日本列島すべてがテーマパーク化する。これは凄いことだ
と感じた。