goo blog サービス終了のお知らせ 

極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

インテリジェント・ペイブメント・パネル

2014年06月10日 | デジタル革命渦論

 

【ビバ!デジタル革命!】 

    Solar powered Fridge-Freezer & Warmer!


折りたたみ可能なソーラーパワーで世界初のポータブル冷凍冷蔵庫·加熱器として使える。そして、
内蔵リチウム電池を充電しておくため一日中実行可能だという。防災用具としても、アウトドアー
のシーンと使い方は購入者の工夫でひろがる!

 

キーホルダーに付けられるバッテリー「GOkey」。USBメモリ内蔵でBluetoothでの位置検索もでき
るという優れもので、この製品はネットで資金調達を募ることで商品化に結びつけるクラウドファ
ンディングサイト、Indiegogoで資金調達中の未発売品。スマホの充電が切れてしまったときキーホ
ルダーからサクッと外して……充電。家のカギをどこに置いたか忘れたっても大丈夫。GOkey
Bluetoothが内蔵されているので、専用アプリからカギの位置を探せるとか、GBから32GBまでの
メモリを内蔵。音楽や、ビデオ、写真などを持ち運ぶのにも便利。また、充電・同期ケーブルにな
る。
普通のケーブルとしても使えるというからこれは便利かも。

 

 

 

ソーラー舗装時代』で掲載したSolar roadways Inc.”が結構話題になっているようだが、新規
考案に関する情報は今夜の段階では確認できなかった。このソーラー・ロードウェイ有限会社は、
米国はアイダホ州はサンドポイントに拠点を置く、スマート高速道路を舗装する会社である。こ
の企業技術特色は、透明な舗装パネルに太陽電池、発光ダイオード、発熱体、情報通信とセンサ
などの電子機器およびプログラムミング施した太陽電池アレイ技術にあるが、 設立は2006年に
なる。

●沿革

2006年、スコット&ジュリー・ブラサウにより設立、スコット・ブラサウが社長兼最高経営者であ
    る。
2009年、ソーラー舗装駐車場の開発(第1フレーズ)に、運輸省(DOT)の中小企業イノベーショ
    ン研究(SBIR)より助成金10万ドルを受ける。
2011年、ソーラー舗装駐車場を開発(第2フレーズ)に、SBIRより助成金75万ドル受ける。太陽光
    発電技術より道路舗装分野に特化技術に指定され、ソーラー舗装による除雪・解凍用に六
    角形のガラスに覆われたソーラーパネル(12×36フィートつまり3.7×11.メートル)の大
    きさで、発光ダイオードの表示灯内挿し構築。尚、パネル強度は25万ポンド(11万キログ
    ラム)である。
2014年4月、 ソーラー・ロードウェイ社は、資金を調達するのためのIndiegogoのクラウド・ファン
      ディングを開始。

 



 

・2014年6月の時点では、パネルの具体的なコストと消費電力の出力がソーラー舗装ではしめされて
 いない。このようにライフコストは未決定である。
2014年7月に試作品の設置費用を公表する予定
・2010年では、12フィート12フィートのパネルでマイル当たり440万ドル(約4億4千万)かかること
 していた。 2010年時点の小売電力価格で計算すると、約20年で原価償却できるとの見通しであっ
 た。
・ソーラー舗装の対象規模は、道路、駐車場、車道、遊び場、自転車道、歩道を含め、の31,250.86
 平方マイル(≒80,939.4 平方キロメートル、日本の国土面積が 377,900平方キロメートルだから
  日本の国土の面積の1/5に匹敵)と推定。

それにしても、インテリジェント舗装パネルが六角形(ヘキサゴン)とは偶然の一致なのかと思わず苦笑して
しまった(この案件は特許出願していなかったが、それなら量産システムで新規提案してみるのもいいか)。

 

   

  その日シェエラザードは彼のベッドの上で、長いあいだ仰向けに身を横たえていた。今度は
 前のときほど胸ほどきどきしなかったし、呼吸も普通にすることができた。隣に彼が静かに眠
 っており、その添い寝をしているような気持ちにもなれた。ちょっと手を伸ばせば、そのたく
 ましい腕に指を触れられそうだった。でももちろん実際には彼は隣にはいない。彼女は白昼夢
 の雲に包まれているだけだ

  それからシェエラザードはどうしても彼の匂いを嗅ぎたくなった。ベッドから起き上がり、
 洋服ダンスの抽斗を開けて彼のシャツを調べてみた。どのシャツもしっかり洗濯され、日に干
 され、ロールケーキのようにきれいに丸く折りたたまれていた。汚れは取り除かれ、匂いは消
 されている。前と同じだ。




  それから彼女は、あることをはっと思いついた。うまくいくかもしれない。そして急ぎ足で

 階下に降りていった。浴室の脱衣場に洗濯かごをみつけ、その蓋を開けてみた。そこには彼と
 母親と妹の三人分の洗濯物が入っていた。おそらく一日分の洗濯物だ。シェエラザードはその
 中から男物のシャツを一枚見つけた。BVDの白い丸首のTシャツ。そしてその匂いを嗅いで
 みた。まぎれもない若い男の汗の匂いがした。むっとする体臭-クラスの男子生徒の近くに  

 いるときに、それと同じ匂いを彼女は嗅ぐことがあった。とくに心が楽しくなるような匂いで
 はない。しかし彼のそれはシェエラザードを限りなく幸福な気持ちにさせた。そのわきの下の
 部分に顔をつけ、匂いを吸い込んでいると、自分か彼の身体に包まれ、両腕で強く抱きしめら
 れているような気持ちになった。
 
  シェエラザードはそのシャツを持って二階に上がり、もう一度彼のベッドに横になった。そ  

 してシャツに顔を埋め、その汗の匂いを飽きることなく嗅ぎ続けた。そうしているうちに、腰
 のあたりにだるい感覚を覚えた。乳首が硬くなる感覚もあった。そろそろ生理が始まるのだろ
 うか? いや、そんなことはない。まだ時期的に早すぎる。たぶんこうなるのは性欲のせいだ
 ろう、と彼女は推測した。それをどのように扱えばいいのか、どう処理すればいいのか、彼女
 にはわからなかった。というか、少なくともこんなところでは何もできない。何しろ彼の部屋
 の、彼のベッドの上なのだ。
  
  シェエラザードはとにかく、その汗を吸い込んだシャツを持ち帰ることにした。それはもち
 ろん危険なことだった。母親はおそらくシャツが一枚紛失していることに気がつくだろう。誰
 かがそれを盗んで行ったとは思わないまでも、どこに消えたのだろうと首をひねるはずだ。家
 の中がこれほどきちんと掃除され、片付けられているからには、母親はきっと管理整頓フリー
 ク
みたいな人だろう。何かが無くなっていたら、たぶんその行方を求めて家中を探し回るに違
 いない。厳しく訓練を受けた警察犬のように。そして大事な息子の部屋の中に、シェエラザー
 ドの残したいくつかの痕跡を見出すことだろう。しかしそれがわかっていても、彼女はそのシ
 ャツを手放したくなかった。彼女の頭は彼女の心を説得することができなかった。

  そのかわりに私は何をここに置いていけばいいだろう、とシェエラザードは思った。彼女は
 自分の下着を置いていくことを考えた。ごく当たり前の、比較的新しいシンプルなアンダーパ
 ンツで、朝替えてきたばかりだ。それを押し入れの奥に隠していけばいい。交換する品物とし
 てはそれは実に妥当なものであるように彼女には思えた。しかし実際に脱いでみると、その股
 の部分が温かく湿っていることがわかった。私の性欲のせいだ、と彼女は思った。匂いを嗅い
 でみたが、匂いはなかった。しかしそんな風に性欲で汚れてしまったものを、彼の部屋に残し
 ていくわけにはいかない。そんなことをしたら自分を卑しめてしまうことになる。彼女はそれ
 をもう一度身につけ、何か別のものを置いていくことにした。さて、何を置いていけばいいだ
 ろう? 

  そこまで話してシェエラザードは黙り込んだ。そのまま長いあいだ一言も□にしなかった。
 目を閉じ、静かに鼻で呼吸をしていた。羽原も同じように黙ってそこに横になり、彼女が□を
 開くのを待っていた。
 
 「ねえ、羽原さん」とシェエラザードがやがて目を開けて言った。彼女が羽原の名前を呼んだ
 のはそれが初めてだった。
 
  羽原は彼女の顔を見た。
 
 「ねえ、羽原さん、もう一度私のことを抱けるかな?」と彼女は言った。
 「できると思うけど」と羽原は言った。

  そして二人はもう一度抱き合った。シェエラザードの身体の様子はさっきとはずいぶん違っ
 ていた。柔らかく、奥の方まで深く湿っていた。肌も艶やかで、張りがあった。彼女は今、同
 級生の家に空き巣に入ったときの体験を鮮やかにリアルに回想しているのだ、と羽原は推測し
 た。というか、この女は実際に時間を遡り、十七歳の自分自身に戻ってしまったのだ。前世に
 移動するのと同じように。シェエラザードにはそういうことができる。その優れた話術の力を
 自分自身に及ぼすことができるのだ。優秀な催眠術師が鏡を用いて自らに催眠術をかけられる
 のと同じように。
 
  そして二人はこれまでになく激しく交わった。長い時間をかけて情熱的に。そして彼女は最
 後にはっきりとしたオーガズムを迎えた。身体が何度も激しく痙撃した。そのときのシェエラ
 ザードは、顔立ちまでがらりと変わってしまったようだった。シェエラザードが十七歳の頃ど
 のような少女であったか、細い隙間から瞬間的に風景を垣間見るように、羽原はその姿かたち
 をおおよそ思い浮かべることができた。彼が今こうして抱いているのは、たまたま三十五歳の
 平凡な主婦の肉体の中に閉じ込められている、問題を抱えた十七歳の少女なのだ。羽原にはそ
 れがよくわかった。彼女はその中で目を閉じ、身体を細かく震わせながら、汗の染み込んだ男
 のシャツの匂いを無心に嗅ぎ続けている。



  セックスを終えたあと、シェエラザードはもうそれ以上話をしなかった。いつものように羽
 原の避妊具を点検することもしなかった。二人は黙ってそこに並んで横になっていた。彼女は
 目をしっかり開けて、天井をまっすぐ見ていた。やつめうなぎが水底から明るい水面を見つめ
 るみたいに。自分が別の世界にいて、あるいは別の時間にいて、やつめうなぎであったら――
 羽原伸行という限定された一人の人間ではなく、ただの名もなきやつめうなぎであったなら
 ――どんなによかっただろうと羽原はそのとき思った。シェエラザードと羽原はどちらもやつ
 めうなぎで、こうして並んで吸盤で石に吸い付き、水の流れにゆらゆらと揺れながら水面を見
 上げ、偉そうに太った鱒が通りかかるのを待っているのだ。
 
 「それで結局、彼のシャツの代わりに何をそこに置いていったの?」と羽原は沈黙を破って尋
 ねた。
 
  彼女はなおもしばらく沈黙の中に浸っていた。それから言った。
 
 「結局何も置いていかなかった。彼の匂いのついたシャツの代わりに置いていけるようなもの
 は、それに匹敵するようなものは、何も持ち合わせていなかったから。だから私はただそのシ
 ャツをこっそり持ち帰っただけ。そして私はその時点で純粋な空き巣狙いになったの」

  その十二日後に、シェエラザードが四度目に彼の家を訪れたとき、ドアの錠前は新しいもの
 に取り替えられていた。それは正午近くの太陽の光線を受け、いかにも堅牢そうに誇らしく金
 色に輝いていた。そして玄関マットの下にはもう鍵は隠されていない。洗濯かごの中の息子の
 下着が一枚紛失していることが、おそらく母親の疑念をかきたてたのだろう。そして母親は鋭
 い目であちこち細かく調べてまわり、家の中で何かしら奇妙なことが持ち上がっていることに
 気がついたのだ。ひょっとして誰かが留守中にこの家に上がり込んでいたのかもしれない。そ
 してすぐに玄関の錠前が取り替えられる。母親の下す判断はどこまでも的確であり、その行動
 はきわめて迅速だった。

  もちろんシェエラザードは、錠前が新しくなったことを知って落胆はしたけれど、同時にほ
 っともした。誰かが後ろにまわり、自分の肩から重い荷を下ろしてくれたような気持ちだった。

 これでもうあの家には空き巣に入らなくてもいいんだと彼女は思った。もし錠前が取り替えら
 れなかったら、きっといつまでもそこに侵入し続けていただろうし、また彼女の行動は回を追
 って過激なものになっていったに違いない。そして遅かれ早かれ破局を迎えていたはずだ。彼
 女が二階にいるときに、何かの用事があって家族の誰かが突然帰宅するかもしれない。そんな
 ことになったら逃げ場はない。申し開きの余地もない。いつかはきっとそういうことが起こっ
 ていただろう。そんな壊滅的な事態を回避できたのだ。鷹のような鋭い目を持った彼の母親に
 ――会ったことはまだI度もないけれど――感謝するべきかもしれない。

 

                                村上春樹 著『シェエラザード』(MONKEY Vol.2 

                                         この項つづく

 

 

 

 

  

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする