極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

最新リチウムイオン電池事情

2014年01月30日 | デジタル革命渦論

 

 

 

 

【次世代リチウムイオン電池の高性能化】 

●粒径制御により高容量化を実現 

最近、大型のリチウムイオン二次電池が車載用や定置型電源用として注目を集めている。
これらの用途では、電池の入出力特性、エネルギー密度の向上とともに、安全性確保や
長寿命化、低コスト化が重要であり、負極に酸化物系材料を使用したリチウムイオン二
次電池が期待されている。しかし、現行の負極材料であるチタン酸リチウム(Li4Ti5O12
は酸化物重量当たりの充放電容量が、175 mAh/gと低いため、チタン酸リチウムと同程度
の電圧で、200 mAh/gを超える高容量の酸化物負極材料が望まれている。産総研は、これ
までに低温合成プロセスの一つであるソフト化学合成法を適用したチタン酸化物の合成
とその構造・物性評価研究に取り組んできたが、現行材料と同程度の電圧で200 mAh/gを
超える高容量の新規チタン酸化物負極材料である チタン酸化物 H2Ti12O25(以下「HTO」
という)
を開発(2010年10月25日産総研プレス発表 下図参照)。その後、HTOのさらな
る高容量化や入出力特性の改良に取り組んできた.

 

今回の技術は、原料の骨格構造の特徴を保持しつつ化学組成を変化させる、ソフト化学
合成法
を用いた。原料であるNa2Ti3O7
粉体の粒子形態が最終生成物であるHTOの粒子形
態に強く反映されることを利用している。まず、従来の製造プロセスに容易に組み込め
る粒径制御技術である粉砕技術を用いてNa2Ti3O7 粉体(平均粒径約2μm)の粒径制御を
行った。粒径制御したNa2Ti3O7粉体を熱処理して骨格構造を安定化させ(平均粒径約0.2
μm)、60 ℃で酸処理を行ってHTOの前段階の物質であるH2Ti3O7とした。その後、200~
300 ℃程度に加熱することで、粒径制御したHTOを作製できる。下図に粒径制御したHTO
の充放電サイクル特性を示す。室温で、1サイクル目の充電容量は 307 mAh/g、放電容
量は 249 mAh/gであり、充放電効率は81%であったものの、5サイクル目で充電容量244
mAh/g、放電容量243 mAh/gと、充放電効率がほぼ100 %の可逆性の高い充放電特性が確
認され、それ以降のサイクルでは安定な充放電を示した。

この粒径制御したHTOの充放電容量は、結晶構造解析から導出されたHTOの理論容量(274
mAh/g)の約90%であり、また、化学的に挿入・脱離可能なリチウム量から見積もった容
量(256 mAh/g)にほぼ等しいことから、粒径制御を行うことでHTOの潜在能力を引き出せ
たものと考えられる。
また、実用に近い電極組成(活物質83%、導電助剤10%、結着剤
7%)の電極を試作して25 ℃で評価したところ、1時間率(1C)相当の220mA/gの電流
密度で200 mAh/gを超える充放電容量が維持されていた(下図2)。さらに、図3に示す
ように粒径制御によってレート特性の改善も見られ、例えば、充電レートが1Cの場合に
は、粒径制御なしでは 164 mAh/gであったものが、粒径制御によって 210 mAh/gと 200
mAh/gを超えていた。これらのことより、今回開発した粒径制御技術によりHTOの充放電
容量とレート特性を改善できた。
 

 

【補足説明】

リチウム二次電池は、サイクル特性に優れていることから、近年急速に普及している。リチウム
二次電池の電極活物質、特に負極活物質としては、エネルギー密度が高く、レート特性に優れ
たリチウム・チタン複合酸化物が普及しており、一方、放電電位が高く、安全性に優れたチタン
酸化合物も注目されている。例えば、LiTi12で表されるスピネル型、LiTiで表される
ラムズデライト型等のチタン酸リチウムや、HxLiy-xTizO(0<x≦y、0.8≦y≦2.7、1.3≦
z≦2.2)で表されるチタン酸水素リチウムを、電極活物質に用いる技術が知られている。ある
いは、HTi1225で表されるチタン酸化合物、HxMyTi1.73Oz(0.5≦x+y≦1.07、0≦y
/(x+y)≦0.2、3.85≦z≦4.0、MはLi以外のアルカリ金属)、ATi(AはNa、Li、Hか
ら選ばれる少なくとも一種)等で表されるチタン酸アルカリ金属化合物等を用いる技術も知られ
ている。

電極活物質に用いることができる、新規なチタン酸アルカリ金属化合物を提供することを目的と
し研究した結果、一般式として(式1)H-xMxTi1225(0<x≦2、Mはアルカリ金属元素を表
す、但しx=2の場合MはNaを除く)の化学組成をとる新規な化合物を見出し、さらに、このもの
を蓄電デバイスの活物質に用いると、優れた電池特性が得られることを見出してを完成。 即ち、

(1)一般式として(式1)H-xMxTi1225(0<x≦2、Mはアルカリ金属元素を表す、但しx=
 2の場合MはNaを除く)の化学組成をとる化合物、
(2)一般式として(式1)H-xMxTi1225(0<x≦2、Mはアルカリ金属元素を表す、但しx=
 2の場合MはNaを除く)の化学組成をとり、結晶構造の特徴として、一次元のトンネル構造を
 有する化合物、
(3)一般式として(式1)H-xMxTi1225(0<x≦2、Mはアルカリ金属元素を表す、但しx=
 2の場合MはNaを除く)の化学組成をとり、結晶構造の特徴として、一次元のトンネル構造を
 有し、単斜晶系に属し、且つX線回折パターンのピーク波形がHTi1225と相似であり、各
 々のピークの位置がHTi1225より高角側あるいは低角側にシフトしている化合物、
(4)一般式として(式1)H-xMxTi1225(0<x≦2、Mはアルカリ金属元素を表す、但しx=
 2の場合MはNaを除く)の化学組成をとる化合物から作製された蓄電デバイス用電極活物質、
(5)正極、負極、セパレーター及び電解質を含む蓄電デバイスにおいて、前記の正極または負
 極が上記(4)項に記載の電極活物質を含有する蓄電デバイス、である。

 

※  特開2014-000284 コンバージョン反応により充放電を行うリチウム二次電池用活物質、該活
   
物質を用いたリチウム二次電池

 


以上、高性能リチウムイオン電池ついては試作と実用の中間レベル段階で切磋琢磨されてい
くだろうが、空気-リチウム電池ののように固型の飛躍的性能向上が今後あり得るだろうとい
う感想をもっている。

 

   

【フード・ファントム・メナス(13)】 

 ミカン

 ●国産ミカンの安全性は桁違いに高い

  国産ミカンの生産量は減っているが、輸人かんきつ類の2倍以上、生産されてい
 る。
東京都の残留農薬検査では、殺虫剤のDMTP(メチダチオン)が、四つのミ
 カンから検出されている。最
大値は0.11ppmだが、四つとも果肉からは検出されてい
 ない。
  他に殺虫剤のフェンバレレートが0.12ppm検出されているが、これは安全
 性が比較的高いピレスロイド系農薬なので気にしなくていい。

  横浜市の検査によると、殺菌剤のクレソキシムメチルが0.02ppm検出され
 て
いる。収穫前に使われた農薬だと、検出されてもこのレベルが普通であり、果肉
 から
は検出されないレベルになっているのである。
  他の自治体の検査では、百種類を超える農薬を検査してもミカンからは一つも
 出されていないケースもあった。

  輸入かんきつ類には、複数の防カビ剤が含まれ、合計濃度が5ppmぐらいにな
 る。
  国産ミカンは、低いレベルの農薬がときどき検出されるだけだから、安全性は桁
 違
いに高い。特にいいのは有機JASマークの付いた自然農法のミカンである。だ
 から、
輸入オレンジよりもミカンを食べ、オレンジジュースよりもミカンの手搾り
 ジュース
にするのがいい。

 バナナ

 ●値下げコーナーにある斑点バナナの方が安全


  果物で輸入量が最も多いのがバナナだ。傷みやすいので、私が子どものころは数
 日で黒い斑点が出ていた。
 それが、1980年代には3週間たっても腐らなくなった。90年ごろに、フィリ
 ピンやコスタリカで取材し、農薬のプールに浸けたり、農薬をスプレーしている映
 像を公表すると、フィリピンバナナの価格が半日で2割下落した。
  当時の日本は、ポストハーベスト農薬は非合法だったので、検出されると問題に
 なった。それで使用が激減し、腐りやすいバナナが増えた。しばらくすると、殺菌
 剤のベノミルに発ガン性が確認され、アメリカでポストハーベスト農薬としての使
 用が禁止された。
  ところが、そのころに日本は残留農薬の規制を緩和して、外国産農産物のポスト
 ハーベスト農薬を、事実上ほぼ全面的に解禁してしまった。
  今、バナナには殺菌剤のイプロジオンが使われるようになっている。東京都の検
 査で、フィリピン産の最大値は0.52ppmである。
  殺菌剤が少ないのは、値下げコーナーにある斑点が出たバナナだ。ポストハーベ
 スト農薬の残留量が多い皮は全体が茶色になっていく。ときには皮が傷まないまま、
 実から傷んでいくこともある。




 パイナップル

 ●軒並み殺菌剤が検出されている

  パイナップルは外側が硬いが、硬くても熟成が進むと腐る。そのため、熟成を遅
 らせる作用と殺菌作用を持つ薬剤がポストハーベスト農薬として使用されている。
  1992年に取材したときは、浅いつぼの中に、農薬のトリアジメホンベノミ
 ルを入れ、作業員は後ろにあるパイナップルの房を持って、つぼに一瞬だけ浸け、
 前に投げていた。その作業員はマスクをして大きな手袋を付けていたが、他の仕事
 をしている作業員は誰もマスクを付けず手袋だけなので、作業の危険性は認識され
 ていたわけである。
  トリアジメホンもベノミルも、アメリカで発ガン性が確認されたので、ポストハ
 ーベスト農薬としては使われなくなった。
  東京都の検査では、パイナップルから殺菌剤のプロクロラズトリフルミゾー
 が軒並み検出されている。二つとも、ベノミル耐性菌に有効で、植物の成長を阻害
 する。
  効果を持つので、前の二農薬に代わって使われているわけである。
  プロクロラズの最大値は0.64ppm、トリフルミゾールの最大値は0.30
 ppmで、両薬剤とも、果肉へ浸透したことが確認されている。


 マンゴー

 ●ポストハーベスト農薬を使用してる

  フィリピン・ミンダナオ島で、バナナやパイナップルを取材中、毎日、マンゴー
 を何個も食べていた。日本の白桃と同じくらい美昧しかったが、置いておくとすぐ
 に傷み始めた。
  ところが、日本ではなかなか傷まない。これはポストハーベスト農薬を使ってい
 るからである。
  東京都の検査では、アゾキシストロビンがフィリピン産から0.27ppm、タ
 イ産からは0.15ppm検出された。低い値に見えるが、マンゴーはつるっとし
 た球形でしみ込みにくいから、収穫後にスプレーしても、このくらいの値にしかな
 らない。アゾキシストロビンは、日本では一九九八年に農薬として登録されている
 が、オレンジ、グレープフルーツ、レモンの食品添加物として使用を認めるように
 業者から申請が出た。現在は、審議が進み、認可寸前の状況になっている。

 
 ライチ

 ●検出される農薬の多さにかけてはトップクラス

  中国や台湾から輸入されているライチは、検出される農薬の数の多さにかけては、
 果物の中でトップクラスだ。

  中国毒ギョーザ事件では、毒性の強い殺虫剤メタミドホスが原因だが、それより
 前
にライチからメタミドホスが検出されて、輸入をストップされたことがあった。
  東京都の検査では、日本が輸入かんきつ類に、食品添加物として認可しようとし
 て
いるアゾキシストロビンが、中国産ライチから最大1.2pm検出された。これ
 は、
濃度が高いので、ポストハーベストスト農薬である。
  イマザリルが2.2ppm、イプロジオンが1.1ppm検出されているが、こ
 れらも、ポストハーベスト農薬だ。
  この他、キャプタンが0.13ppm、シペルメトリンが0.18ppm、プロ
 ピコナゾール
0.1ppm、プロクロラズ0.1ppm、トリアジメホン0.28
 ppmが検出された。収穫前に使用されたのか、収穫後のものかはわからないが、
 ライチは残留農薬の多い果物である。



※ ショックですね!ライチは好物だったのにね?!


 
 チェリー・サクランボ

 ●アメリカンチェリーは農薬の検出量が国産の数倍

  5
~6月の果物といえば国産サクランボとアメリカンチェリーである。しかし、
 両方とも農薬がたっぷり含まれている。ただし、検査すると、アメリカンチェリー
 の方が、検出量が数倍多かった。
  アメリカで20年前にチェリーの処理場を取材したときは、何度も「水洗いして
 いる」と言われた。だが、処理場内を撮影したビデオ映像をよく見ると、スプレー
 したり、浸けたりしており、2~2種類の殺菌剤が使用されていた。当時使われて
 いた農薬は、今は検出されなくなっている。おそらく耐性菌が増えて使なくなった
 のだろう。代わりに、ミクロブタニルテブコナゾールというトリアゾール系殺菌
 剤が検出されるようになっている。
  成長を止めて腐るのを遅らせる除草剤の2・4-Dも、ときどき検出されている。
 2・4-Dは、発ガン性が確認されているのに禁止されず、いまだに使われている。
  チェリーは何度も水洗いされるのだが、それでもまだ殺虫剤が残留していて、カ
 ルバリル、シペルメトリン、フェンプロパトリンが検出されている。 


 果実の放射能

 ●ベリー類はこれから長期間、油断できない 

  果物の放射能がどうなっているか、2012年の検査データを基に見ておこう。
  福島県では、放射性セシウムが1Kg当たり30ベクレルも検出されたモモがある
 が全体を見ると3~10ベクレルが多い。
  山梨県のモモは、検出限界が2ベクレル程度で、すべて不検出だった。2013
 年からは安心して食べられるだろう。
  サクランボは、福島県産から38ベクレル検出された。山形県ではすべて「不検
 出」だが、検出限界が10ベクレル程度なので細かな実態はわからない。
  ウメは、福島県産が210ベクレルだった。栃木県で85ベクレル、群馬県で
 13ベクレル検出された。2013年以降も様子を見る必要があるだろう。
  2009九年にフランス産ブルーベリージャムから500ベクレル検出されてい
 る。チェルノブイリ原発事故から23年たってもこれほど検出されるのだから、福
 島県のブルーベリーは、しばらく復活できそうにない。

  2012年にウクライナでベリー類を測定すると25ベクレルで、「珍しいほど
 低い値」と言われた。2011年の年次報告書には、36~5200ベクレルとあ
 り、高い値は野生のベリー類だった。そこは埼玉県と同じ空間線量の地域なので、
 関東のベリー類も不安は続く。

                                小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.106-114



 

コメント
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