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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道194

2009-02-24 18:59:46 | E,霧の狐道
 主治医の狸小路は、妙にニコニコして俺の顔を見た。

“ タヌキだ、こいつは絶対タヌキに違いない!”

俺は確信した。

“ この場を何とか脱出しなければ・・・・。”

俺は慌てて言った。

「 えっと、あの、手術は怖いですからダメです。
 僕は生命力が強い方ですから、サロンパスを貼って置けば治ると思います、ハ
 ハ・・・。
 それに、ホント貧乏で、手術するお金が無いんです。
 毎日、タマゴ掛けご飯とパンの耳で飢えを凌いでいます。
 もう、ホント、入院するだけで精一杯です。」

タヌキは上目遣いで俺を見た。
タヌキの眼の端が笑っている。

“ ヤバイなァ・・・。”

どうも、まだ、手術を諦めていないようだ。
 タヌキは身を乗り出して笑い顔で俺を脅迫する。

「 そうですかァ、却って治るのに時間が掛かりますよォ~。」

タヌキのドアップになった笑い顔を見て俺はたじろいだ。
眼だけが笑っていないところがとても恐ろしい。
俺は仰け反りながらも何とか防戦した。

「 死んだ爺さんに、手術だけは避けろと言われていますから・・。
 これ遺言みたいなもんでして・・・・。」
「 う~ん、そうですかァ・・・・。
 ま、ご両親の意見も聞いて見ましょうか・・・。」




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