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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道192

2009-02-19 20:08:30 | E,霧の狐道
 エレベーターは二階に止まり、俺は通路を看護婦の井上さんに連れられて外科の診察室に移動する。
いくつかの診察室の扉を通過し、主治医の診察室に到着した。
井上さんが扉の前で言った。

「 ここよ。」

井上さんが扉を開いて、車椅子を中に押し入れる。
 診察室の中には、机に向こうを向いて座っている小柄で丸っこい男がいた。
机の前にある、ライトが裏から照らされているスクリーンには、レントゲン写真が貼り付けてある。
どうやら、俺の写真らしい。
主治医は、向こうを向いたまま唸った。

「 う~ん。」

 俺は、主治医の様子から不安になりながらも、車椅子から丸椅子に座り直した。
主治医は、レントゲン写真から眼を離し、俺の方に自分の座っている椅子をクルッと回した。

“ ん・・・・。”

俺は、一瞬、信楽のタヌキが座っているのかと思った。
そして、タヌキは俺の顔を見て言った。

「 ハイ、主治医のタヌキコウジです。」
「 えっ、タヌキ?」

俺はタヌキがタヌキと名乗ったのに驚いた。
そして、タヌキは話を続けた。

「 いえ、狸小路です。」
「 えっ、姓がタヌキで、名前がコウジ?」
「 いえ、姓が狸小路です。
 名前はジュンです。
 続けて言うと狸小路 純です。」



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