俺はその子供に言った。
「 山本さんは、昨日の夜、俺がその女の子を連れて来たと言ったけど。」
「 ふふ、どうもそうらしいな。」
「 どうしたもんかと・・、考えてるんだけど・・・。」
「 うん、まあ、それは、ええわ。」
「 まあ、それは、ええわって、かなりヤバイような気もしてるんだけど・・・。」
「 アハハ、かなりヤバイやろな。」
「 そうか、やっぱりかなりヤバイのか・・・。
弱ったなァ。」
「 まあ、まだ、はっきりしてないけどな。
で、おまえ、名前は何ちゅうんや?」
「 神谷貴志だよ。」
「 わいは、山藤龍平。
龍平と呼んでもええで。」
「 じゃ、俺も貴志でいいよ。」
「 うん、じゃ、貴志、また来るわな。
わい、ちょっとベッドの様子を見に来ただけやから。
また、後で来るわ。」
「 うん、そう・・・。」
「 ホンジャ、な。」
「 じゃ、また後で・・。」
龍平は軽く空きベッドを一瞥して病室を出て行った。
俺は部屋を去って行く龍平を見て思った。
“ なんだか、とても元気そうなヤツだけど・・。
でも、人は見掛けによらないとも言うからな・・。
あいつも、入院患者だろうな・・。”
それでも、今の俺には同年齢の子供がいるだけでも心強く感じる。
入れ替わりに、体操を終えた田中爺が部屋に戻って来た。
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