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「パンツァー・リート」の次は「SHINY DAYS」や「ふゆびより」を聴いて元気を貰います

けいおん!の聖地をゆく19 その6 夢をたしかに

2018年11月15日 | 洛中洛外聖地巡礼記

 10月18日の作業の続きを、約二週間後の10月31日に行いました。いつものように朝9時頃に豊郷小学校に着きました。この日は曇がちの天気でした。

 

 開館直後の酬徳記念館に入りました。いつものように観光案内所の担当者のお二人に挨拶し、少し話をして館内奥に進みました。

 

 けいおんコーナーの二階のキャラクターパネルたち。公式の品にみえますが、ファンの自作によるものだそうです。ほぼそっくりなので、知らない人は京都アニメーションの公式品だと思うでしょうね。

 

 螺旋階段の近くには、別のファンの手描きになるパネルが幾つか並びます。と言うか、来る度に数が増えているような・・・・。

 

 さて、時間が貴重なので、すぐに作業に取り掛かりました。まずは書架展示棚の保護ビニールを外しました。この日までに各方面から預かっていた寄託提供フィギュアは10体以上におよび、上図に写っている駿河屋さんの箱2個に入れて運んできました。

 

 手始めに、展示品のうちのバンプレスト5thあにばーさりーシリーズの秋山澪が白化現象を起こして劣化していたのを、新たな同形品と交換しました。

 この種の白化現象は、フィギュア本体の材質たとえばPVCなどに含まれる可塑剤が表面ににじみ出てきた状態であるとされています。可塑剤は乾燥すると白くなりますが、乾燥していない状態であれば無色のままです。ただし、触るとベトベトします。中古ショップなどで買った中古品のねんどろいと等がベトベトしているケースはそれです。
 可塑剤のにじみ出し自体は、フィギュア製品の宿命ともいうべきもので、完全に防ぐことは不可能です。直射日光の下ではにじみ出しが促進されますし、酬徳記念館けいおんコーナー二階のように西日が強くさしこむ部屋においてはどうしても避けられません。また、長い間密閉された空間に置かれたフィギュアにおいては、表面ににじみ出た可塑剤が残りやすい傾向にあります。

 ですので、展示品の定期的メンテナンスが欠かせません。クリーニングを行って可塑剤を除去するか、風通しのよい場所にて乾燥させるなどの処置が必要です。ただ、フィギュアによっては材質が色々あって、可塑剤が使われていないものもありますので、展示品ごとの材質をチェックする作業が欠かせません。
 なので、フィギュア展示の維持というのは、かなり大変です。寄託提供の基準期間を一年としているのは、フィギュアのクリーニングが一年ごとに行われるのが望ましいとされているためです。

 

 従来より展示されていたフィギュアの大部分は、数年を経ているにもかかわらず、白化現象があまり見られません。可塑剤が使われていないものが多いのでしょうか。

 上図は、パンブレストの一番くじプレミアムのけいおんシリーズの第一弾のシリーズです。従来、平沢唯だけが欠けていたのですが、模型サークル交流仲間のモケジョさんからの寄託提供があり、奈良県大和郡山市よりはるばると運ばれて上図左端におさまりました。
 今回の寄託に際し、そのモケジョさんがこう言いました。
「寄託というのは、「可愛い子には旅をさせろ」っていうアレみたいなもんですよね。寄贈だと完全に手放しちゃう、置き去りにしちゃうんで、可哀想なことやと思うんですけど、寄託なら、いずれは手元に帰ってくるので、しばらく旅に行かせるようなもんやと思います。その旅先があの豊郷小学校ですよ、桜高じゃないですか。こういうのはもう、ファンだった身としては最高に胸熱ですんで、行かせて、帰ってきたら、なんかこう付加価値みたいなのも加わってても今より愛おしくなって、もっと大切に飾れるかも、みたいな。そんな感じです。だから、どうか宜しくお願いします」
 そうして託された品でした。大事に運んで持参したのは言うまでもありません。

 

 上図は、セガのエクストラフィギュアのけいおんシリーズです。従来、中野梓だけが欠けていたのですが、模型サークル交流仲間のモケジョさんからの寄託提供があり、滋賀県栗東市より運ばれて上図右端におさまりました。

 今回の寄託に関して、所有主のモケジョさんがこう話していました。
「夏に豊郷へ行ったんですけど、これ(セガのエクストラシリーズ)があずにゃんだけ居ないんですよ。だから見ててめちゃ違和感があったんです。なんで無いのん、って。そしてウチにはそのあずにゃんだけが在るんですよ。高校生の時にお小遣いためて買ったものです。そっちはずっと一人ぼっち。やから、星野さんたちの作業計画聞いて、寄託の話を聞いたときに、すぐにウチのあずにゃんを豊郷へ送ろう、って考えました。それで全員が揃うんやから、私もあずにゃんも幸せになれるのです」

 世界よ、これが真のけいおんファンの想いだ・・・!!

 かつて、ファンの女子高校生層を魅了して「欲しいフィギュア」のナンバーワンに輝いたという、マックスファクトリーのシリーズも、3体目の琴吹紬を追加展示しました。
 模型サークル交流仲間のモケジョさんからの寄託提供品ですが、彼女によれば、高校や短大の時に買えなかったので、就職して初めての給料の一部でやっと買った宝物のフィギュアだそうです。それを京都府舞鶴市の実家の部屋に保護ケース入りで大切に飾ってきたのだそうです。

 その宝物を、今回豊郷へを寄託すると決めて舞鶴から取り寄せ、サークルの会合にて手渡してきたのですが、その際に彼女が「ムギちゃん、やっと桜高へ帰れるんだね」と小さくフィギュアの箱にささやいていたのが、とても印象的でした。
 そのモケジョさんも、アニメ放送当時は平沢唯たちと同級生でした。万感の思いを込めていたことでしょう。

 

 今回追加展示した中では最大のスケールである、1/4サイズの琴吹紬フィギュアです。グッドスマイルカンパニーの製品をフリーイングが販売した、単体の品です。これまでに出されたけいおんスケールフィギュアの中では、等身大の中野梓に次いで二番目の大きさを誇ります。それだけに存在感も確かです。

 これは、模型サークルのアニメ部会のメンバーからの寄託提供品です。彼曰く「交流サークルのモケジョさんたちがドンドン寄託で出しているのを見て、自分も何とかしなければと思い、押し入れに秘蔵していた唯一のけいおんフィギュアを出すことにしたが、そう決めるまでに一ヶ月かかった」だそうです。彼にとっても宝物ですから、一時でも手放すのは大変に勇気が居るわけです。さんざん迷った挙句、「やっぱり一度は桜高に行かせないと駄目だ」と決心したそうです。

 このように、寄託提供品のそれぞれに、所有者の思いがつまっています。ただの展示品ではないのです。かつては熱狂的なけいおんファンだった方々の、様々な気持ちを秘めて、ここ豊郷小学校に集まってきている形です。
 これらの寄託提供品が、従来からの展示品の不足や欠けを次々に埋めて本来の姿と雰囲気をフィギュア群のそれぞれに甦らせてきた瞬間、けいおんファン共通の夢である、「皆が揃っている」状態もまた、確かなものになります。この確かさこそが、かけがえのないものだと思う次第です。

 

 かくして、大型フィギュアの陳列空間内にて右の一画におさまった1/4サイズの琴吹紬でした。

 このように、次々にシリーズやセットの全部が揃ってゆくのを見ていると、かつてけいおんファンだった頃に抱いていた、「一度でいいからけいおんのフィギュアの全てをこの目で見てみたい」という夢が、少しずつ確かになりつつあるのを実感出来ました。
 寄託してくれた方々の言葉や気持ちに改めて感謝するとともに、けいおんにハマってミニフィギュアの収集に奔走していた昔の自分を思い出すこともあり、胸に熱いものが沸きあがってくることもしばしばでした。  (続く)

 


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