新型肺炎対策の外出自粛が続きますが、もともと休みには家でのんびりしている事が多い私にとっては、外出自粛の動きもさほど気にはなりません。今年2020年の1月に再就職した今の職場は国の機関なので、京都府からの休業要請の動きに先んじて4月から職員の勤務シフトを半月在宅勤務へと移行し、月の半分は家に居るという状況になりました。
そのため、家での自由時間が大幅に増えました。普段の通勤とその前後のアイドルタイムに約4時間を費やしていたのが、全て自由時間に転じたからです。
それで、読書量も増え、また映画などを動画配信で見る機会も増えました。一番増えたのは、やっぱりガルパンのDVDの視聴時間でしょうか。毎日何となく見ています。大部分はテレビシリーズですが、観ていると、やっぱり2012年11月からの初視聴の際の感動、興奮、余韻というものが鮮やかによみがえってまいります。
思えば、大洗女子学園が必修選択科目に戦車道を復活させた時点で、倉庫にあった車輌はⅣ号戦車たった1輌でした。それから皆で手分けして捜索して4輌を追加し、5輌でスタートして練習に入ったわけです。いまの堂々たる強豪チームの様子からみると信じられないような陣容でしたが、しかしその5輌で試合に参加し、緒戦を戦い抜いてきたのです。
現時点で最終章の2話に達し、陣容も9輌に増え、試合数は親善試合から数えて9回目、実績は8試合6勝2敗となっています。このうちの2敗は、いずれも聖グロリアーナ女学院が相手でした。いまだに勝てていない唯一のチームですが、そのチームが大洗女子学園チームの最初の対戦相手でもありました。
そのことの意味は大きい筈です。ガルパンのストーリー全体に何らかの重要な働きかけをもつ要素として、今後も何らかの役割を担うものとみられます。既に、無限軌道杯での決勝の相手が聖グロリアーナ女学院ではないか、と推測されたりしている点も、このチームの重要性を物語っていると言えましょう。
そこで、あの親善試合について、初視聴時の感想を振り返りつつ、いまの最終章の2話までを視聴した自身の視点からもアプローチして、一体何であったのかを楽しみながら考えてみたいと思います。
聖グロリアーナ女学院との親善試合、という形の、初の対戦試合に臨む大洗女子学園の戦車道チームは上図の5輌でした。各車輌がめいめいのカラーに輝いてカラフルでしたが、実態は素人の寄せ集めで練度は限りなくゼロに近いものでした。
しかも、西住みほ以外は、戦車道試合の経験が全く無いのでしたから、これで強豪の一角を占める聖グロリアーナ女学院との試合に臨むというのは無茶を通り越して無謀でした。先方に試合を申し込んだ生徒会三役すらも、戦車道という競技の何たるかをまだ真剣に理解していなかったことがうかがえます。
生徒会三役は、転校生の西住みほが戦車道家元の娘であることを知っていたほどに情報収集には長けているようです。ちょっと調べれば、全国大会にエントリーした顔触れからも分かるように、強豪以外にも中堅のチームが多いことが知られますし、大洗女子学園が初戦である点を考慮してそういったチームに試合を持ちかけるという選択肢もあった筈です。
でもそれをしなかったのは、生徒会長角谷杏の判断だったのかもしれません。いきなり強豪校にぶつかってゆくことで、最大限の経験値、教訓を得ようと目論んだのかもくれません。その是非はさておき、結果としては大正解であったことになります。
しかし、いきなり隊長をやらされる羽目になった西住みほとしては、どんな気持ちだったでしょうか。これまで最強豪、黒森峰女学園の副隊長として十連覇に向かおうとしていた彼女でしたから、大洗女子学園とのギャップの大きさはすぐに理解出来た筈です。
並の人ならば、これはダメだ、話にならない、聖グロにも勝てるわけがない、と諦めるのかもしれませんが、西住みほはそうなりませんでした。その姿を見た瞬間、このキャラクターは間違いなく主人公だ、戦車道の家元、というポジションがいかなるものかを、これからどのように示してくれるのだろうか、と非常にワクワクしてテレビ画面にくっついていたのを覚えています。
ですが、試合開始後の場面、例えば上掲のシーンを見ていて、少し不安になりました。
隊列がバラバラなのは仕方が無いのですが、Ⅳ号戦車の上にて一瞬映った武部沙織の緊張感の無さ、M3中戦車リーの側面ハッチから楽しそうに手を振る宇津木優季のほとんどレジャー気分の様子に、本当にこれは戦車を使った試合なのか?戦車で対戦するというのは、こういう状況なのか?と疑問に思ったことを覚えています。
しかし、対戦相手の聖グロリアーナ女学院の戦車部隊の整然とした陣形に、おお、これは、と緊張してゾクゾクしてしまいました。
もともと帝国海軍軍艦のマニアで、仲間からは「駆逐艦の男」のあだ名を頂戴していた私です。軍艦でも飛行機でも、綺麗な隊列を組んで進撃することが相当の練度を必要とすることを知っています。戦車でもそれは同じなんだな、と気がつきました。
そして聖グロリアーナ女学院の戦車部隊が、同じ5輌ながらも鶴翼の陣形つまりパンツァーカイルを崩さずに左へ曲がるシーンでは、これはよく訓練されてるチームだ、と思いました。陣形を保ったまま旋回するというのがどんなに凄いかは、例えば飛行機ですとブルーインパルスを見れば分かるでしょう。そんな熟練の相手と、素人集団が同数で対戦するのか、一体どうなるんだ、とハラハラして見守っていました。
ところが、隊長の西住みほは特に気負ったふうも見せず、さらりと「そこは戦術と腕かな」と呟きます。戦車マニアの秋山優花里が相手チームの装甲の堅さを挙げて難敵であることを的確に指摘していたにもかかわらず、でした。
最初は、戦術に関しては西住みほに戦車道の心得があるのだからそれで指揮をとれば良いだろう、でも腕のほうは素人の寄せ集めで練習試合も一回しかやっていないチームには期待出来ない、どうする気だ、と思ったのでした。
でも、結果から考えると、この「そこは戦術と腕かな」のセリフは、チームに関してではなく、西住みほ自身に対しての言い聞かせだったのだろうと思います。
チームは初戦で経験も無いから長くは持たない、いずれは皆が撃破されて、自分の率いるⅣ号戦車だけになってしまうかもしれないが、もしそうなっても、自身の戦術と腕でなんとか対応していく、という決意だったのだろう、と思います。
対する聖グロリアーナ女学院の戦車部隊に、まったく隙はありませんでした。装甲も堅いのですが、それ以上に砲撃の練度が高そうなのが緊迫感とともに不気味さをじわじわと高めてくるのでした。
隊長のダージリンは、冷静沈着かつ頭脳明晰なる指揮官という初印象でしたから、戦闘中にも紅茶カップを持ったままなのは何でだろう、と不審に思いつつも、その指揮ぶりがどう示されるのかを、息をのんで見守っていたことを思い出します。
戦車が重装甲で知られたチャーチルとマチルダの組み合わせであったのも、緊張感を高めるには充分でした。当時は戦車に疎かった私でも、第二次大戦中のアフリカ戦線でドイツのⅢ号戦車がマチルダに苦戦を強いられたことぐらいは知っていたからです。チャーチルはそのマチルダよりも装甲厚がある、ということも知っていたからです。
かかる状況において、大洗女子学園チームの作戦は、名前こそ西住みほが「こそこそ作戦」と名付けているものの、生徒会広報の河嶋桃が事前協議にて発表した内容が採られていました。
大丈夫か?隊長の西住みほが作戦を考えなくて良かったのか?と疑問に感じましたが、生徒会と転校生との力関係においては仕方のない成り行きなんだろうな、と思うことにしたのでした。
この場面までの河嶋桃は、後に度々見せたポンコツぶりやメンタルの弱さ、というのがまだ明らかになっておらず、冷徹明晰な生徒会の事務役、という初印象のままでした。しかも西住みほがどこか頼りなく見えていた関係で、河嶋桃がチームの立ち上げや戦車捜索や練習試合などを実質的に仕切っていた流れがあって、この初の対戦試合でもやっぱり仕切るんだろうな、と予想していたのでした。
ですが、歴戦の強豪チームに、素人の作戦と仕切りで果たして対応出来るのか?と思いました。やっぱりどこかで隊長西住みほが戦車道家元の本領を発揮するんだろうな、と予想していたのでした。 (続く)
(それに至るには大洗女子が決勝戦まで勝ち抜くことが必須ですが、ある事情によりそれは確定事項らしいので。グロリアーナも同様でしょうが)
>練習試合の相手
制作側の事情はともかく、私的には生徒会長が連絡を取りやすい人物がダージリンではないのかと思いますが....
さすがに黒森峰はアレだろうし、プラウダは受けてくれなさそうだし....って感じで
この関係が劇場版の友軍へと繋がっていくのだろうと考えています。(ま、後付けですけどね)
>「そこは戦術と腕かな」
このセリフは受ける相手が一定の理解度がないとわかってもらえないはずです。
大洗のメンバーでこの時点で理解できるのは優花里のみだったからだと思われます。
生徒会長が連絡を取りやすいのはサンダースのケイのほうだろうと思っていました・・・。