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ガルパンの聖地 ・ 大洗を行く31 その17 「梅原屋のティーガーⅡです!!」

2019年05月02日 | 大洗巡礼記

 梅原屋さんに再び入り、お店の方やNさんと語らいつつ、Nさん制作の展示プラモデル群の詳細取材の残り分の撮影を進めました。上図は、梅原屋ガルパンプラモデル展示の目玉とされている、黒森峰女学園チームのティーガーⅡの分割インテリア表示モデルで、御覧のように車体から砲塔が切り離されています。

 

 そして砲塔は、透明ブラ材で組まれたディスプレイスタンドに載せられ、内部空間は精密に作り込まれ、カラフルに塗り分けてあります。あちこちにユーモア溢れるネタが仕込んであります。

 

 Nさんによると、お題は「抜き打ちオーバーホール」だそうです。抜き打ち、を示す表現の詳細を聞き忘れましたが、オーバーホール状態であることは車体が複数のパーツに分解されていることで分かります。これによってフルインテリアキットであるモンモデル製品の魅力と見どころを目一杯に楽しんで頂きましょう、というNさん一流の哲学が織り込まれた造形美の結晶です。

 

  ティーガーⅡといえば、逸見エリカの搭乗車であることはガルパンファンの基礎常識です。逸見エリカが信奉し慕う隊長西住まほのポスターが砲塔内壁にズラリと貼られていても、何ら違和感はありません。むしろ、こうでなければエリカ車ではないな、という納得感のほうが大きいです。

 

 細部に至るまで忠実に再現された状況は、さすがにモンモデルの真骨頂、と思わせるものですが、さらにボイジャーのエッチングパーツも駆使してより細密再現がはかられています。ボービントン戦車博物館のベテラン学芸員も一度はこれを見ておくべきではないか、と思ってしまうほどの教科書的精密模型の粋です。

 

 そしてNさんならばでの、仕込まれたガルパンネタが笑いを誘います。あちこちに格言や台詞が貼られていますが、これを再現すること自体が、サイズからして大変な作業です。視線を低くして見上げないと捉えられない範囲に、こっそりと笑いの要素を仕込んでおく。これによってフルインテリアの奥行き感にもより深みが加わります。このあたりが見事です。

 

 車体内部は御覧の通り、細かい塗り分けによって、実物の状況よりもカラフルに仕上げてあります。インテリアは全て現代のメカ風にした、とのことですが、確かに現在の新製品のメカのような色彩感と清潔感でまとめられており、それがよりティーガーⅡの内部状況を分かりやすくアピールしています。

 

 本来、ガルパンの戦車には泥などの汚れや油汚れなどは一切見られませんから、ガルパンプラモデルにおいても汚し表現をかけないのが普通です。むしろこういうピカピカでカラフルな表現が王道です。
 汚しが無けりゃ戦車に見えない、などというAFVモデラー陣の強迫観念的な思い込みによる上から目線の決まり文句も、世界のNさんの緻密な仕事と尽きない情熱の前には、あっけないほどに脆く崩れて僅かな説得力すら持ち得ません。

 ここには、既にガルパンプラモデルの基本的な表現法が既に確立されているのです。私自身もガルパンプラモデルの製作においては汚し表現は対象外としています。アニメとリアルの境界線を明確にしておく、という意味合いもありますが、それ以上にフィクションとノンフィクションの二つの世界観をしっかりと識別すべきだという要旨を可視化しておきたい、という切実な思いを常に抱いているからです。

 

 しかし、改めて見ていて、モンモデルのフルインテリアキットというのは凄いもんだな、と感心しました。ライフィールドモデルやタコムの製品群に関しても言える事ですが、最近のフルインテリアキットの出来というのは、従来の模型感覚よりもはるかに進んだ感性と技術によって昇華されているという感があります。本物よりも本物らしくなっている、という評価を聞くことがありますが、あながち誇張でもないな、と思います。

 なので、製作の時点では相当な根気と持久力とテクニックと作業量が要求されるなあ、と製作経験の無い私でも分かります。ゾッとするぐらいに感じられます。

 

 例えば、このエンジンフードも、一体成型かと思いきや、グリルやハッチ、フレームが別パーツになっているため、今回のような分割式ディスプレーに作ると、車体から外すことになって接着面積も最低限となり、脆くてバラバラになりやすいです。それで裏にブラ材で支持補強材を追加して各パーツを繋ぎ止めてありますが、こうして外から見るとグリル部分内に支持補強材が見えないようにも配慮されています。
 なので、車体にはめ込めば、内部のエンジンも見えるようになっています。

 

 見ていて、この中の重要かつ欠かせない一部のインテリアパーツが見当たらないことに気付きました。戦車のプラモデルをフルインテリアキットで作った経験のある方なら、分かる筈です。

 

 

 そう、御覧のようにエンジンと前輪駆動機関部および操縦装置の一連のパーツが外されて別に展示してあります。片側の砲弾収納ボックス列も同様に並べてあり、砲弾は実際同様に取り外しが可能なようです。

 

 あの巨体を動かすにはやや能力不足だった、とされるマイバッハのHL230P30、4ストロークV型12気筒水冷ガソリンエンジンです。タミヤから出ている同エンジンの整備セットの品よりも精密に出来ており、これを見るだけでも最近のインテリアキットの品質が格段に向上していることがうかがえます。

 

 そして前輪駆動機関部および操縦装置です。Nさんの仕込みネタ「猪突突進」が笑いを誘いますが、逸見エリカって猪突突進タイプだったかな、とも思いました。むしろ冷徹で現実的な判断に基づいて、どちらかといえば身を固めつつ攻勢に重きを置く、という印象があります。
 本当に猪突突進タイプだったら、黒森峰の副隊長を務めるのは難しいですよ・・・。

 なので、猪突突進というフレーズは、むしろ製作者のNさんの心象そのものじゃないか、と感じました。これだけの素晴らしく精密かつ深みに満ちた面白く楽しいガルパンプラモデルを幾つも作ってしまうこと自体、モデラーとしては猪突突進以外の何者でもないではないか、と思うのです。  (続く)

 


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2 コメント

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Re.  (ホシノ)
2019-05-03 18:55:43
なるほど、常住不断ですか!
猪突突進ではなくて常住不断ですか!

4号フルインテリア、マーク4フルインテリアですか。相変わらずインテリアメインでのオリジナル世界観の構築に進まれている由、何よりです。
また見学に行かせていただきます。楽しみです。
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常住不断 (梅原屋のN)
2019-05-03 08:41:28
何回にも渡り、詳細に紹介していただきありがとうございます。
「抜き打ち」としたのは、やっぱりあの内装の写真の状況です、事情を知らない人がアレを見たらストーカーとしか思えないことでしょう。また、エリカの猪突猛進っぷりは、TV版最終話のポルシェタイガーに乗り上げてでもまほの元に辿り着こうとする姿を思い浮かべていました。
私の製作スタンスは「常住不断」で、出来上がったらすぐ作業環境をリセットして次に取り掛かることです。ホシノさんがお見えになった海楽フェスのあの日にCV-33を完成させ、翌日には4号フルインテリアに取り掛かりました。過去最多の工数にも関わらず平成中に完成し、今はマーク4フルインテリアに取り掛かっています。休みを入れないことでテンションを保っている状況ですかね。
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