以前に「未だに特定出来ないガルパン車輌」と題した記事を綴りましたが、昨晩に模型サークルの先輩N氏より電話があり、他の画像は無いのかと問われました。
N氏は、ミリタリートラックに関しては、彼の右に出る者はいない、とサークル内でも一目置かれている方で、プラウダ高校チームのBM-13「カチューシャ」に関しても重要な御教示をいただいております。
「星野さんは、あのトラックを日本軍の九七式自動貨車じゃねえかと思ってるそうやね」
「ええ、推定出来る候補として紹介しましたけど・・・、もしかして、違うのですか?」
「うん、違うと思う。他に画像があれば、もっと絞れるんやがね」
「分かりました、では今から送りますんで」
これが、N氏に送った画像です。これを改めて見て、ああこれは日本軍の九七式自動貨車じゃないな、と気付きました。すぐに再び携帯電話が鳴り、N氏の弾んだ声が響いてきました。
「フィアットの626や」
「さすがですねえ、すぐに分かるんですねえ」
「こいつはイタリアの標準的な中型トラックなんでな。イタリア軍はもちろん、ドイツ軍も使ってたし、バージョンも派生型も多い。戦後も生産されてて、大体10000台は出てる筈。これがパッと分からねえようじゃ、ミリタリートラックマニアの名がすたるでな」
「恐れ入ります・・・」
「しかもこれは軍用のMNLタイプじゃないかな。両サイドにウインカーみたいなのがついてるやろ。これが特徴の一つやね」
「MNLってのは、バージョンの略称か何かですか?」
「うん、Mは軍用って意味。Nはエンジンの種類でこれはディーゼル。Lってのは、ホイールベースが長いタイプや。つまり荷台が長いのな」
「エンジンがディーゼル、ってことは、他にもあったんですか?」
「うん、ガソリンエンジンとガスジェネレーターエンジンのタイプもあったよ。まあ、イタリア車は割合に先駆的な発想や思想があるんで、例えばキャブなんかは、ああいう形のは当時はけっこう斬新やったしな」
ということで、「未だに特定出来ないガルパン車輌」はイタリアのフィアット626であることが判明しました。イタリアの標準的な中型トラック、ということならば、1/35スケールのプラモデルでも出ているんじゃないかな、と思いましたが、N氏は、「そのサイズのプラモは無いな」と即答しました。
「626は、当たり前過ぎてあんまり模型的には魅力が無いのかもしれん。確か、レジンが1/35でヴィクトリアモデルという所から出てるぐらいかな。あと、1/72もあったかな。ダメヤの1/144も確かあったな・・・」
「すると、1/35のは、現状では入手困難、ということですかね・・・」
「そう思っておいたほうがええかもしれん。自分もあんまり626のキットは見かけたことが無い。最後に見たのは10年ぐらい前かな」
それを聞いて、ため息をつかざるを得ませんでした。どうしてガルパンの戦車以外の車輌というのは、キットも稀なケースが少なくないんでしょうか・・・。
ところで、このフィアット626は、劇中では大洗女子学園チームが試合後の移動用に使用したようです。しかし、校章が無いので、大洗女子学園チームの所有車輌ではない可能性が高いです。たぶん、戦車道連盟の保有車で、試合会場で運用されているのでしょう・・・。