ガウスの旅のブログ

学生時代から大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。現在は岬と灯台、歴史的町並み等を巡りながら温泉を楽しんでいます。

旅の豆知識「日本の道100選」

2019年11月11日 | 旅の豆知識
 旅行先で、いろいろな道を通ることも多いと思いますが、なにげなく歩いていたり、車で通ったら、とても印象に残る道があった。そういうことがありませんでしたか。松並木の並ぶ街道だったり、古い町並みの続く小径だったり、田舎ののんびりとした田んぼ道だったり、また、市街地に整備された近代的な道路だったり‥‥‥。
 石の道標や常夜灯、古ぼけた松や杉の大木、道端の道祖神などにほのぼのとしたものを感じたり、市街地の整然とした並木や遊歩道に心を癒されたり、そういう様々な道を通ってみると、旅人の思いを彷彿とさせることができる時があります。
 そのような中で、1986年(昭和61)に8月10日を「道の日」に制定したのを記念して、1986年度および1987年度に、建設省(現在の国土交通省)が「日本の道100選」として104本の道路が選定しました。それらの道には、顕彰プレートがどこかに設置されていますので、旅先で見つけて記念撮影するのもよいと思います。

〇「日本の道100選」とは?

 建設省(現在の国土交通省)が1986年(昭和61)に8月10日を道の日に制定したのを記念して、1986年度および1987年度に選定した104本の道路です。日本の特色ある優れた道路を選定・顕彰することによって、道路の意義・重要性に対する国民の関心と道路愛護の精神を高めることを目的に、2年に分けて選定されました。選定にあたっては、各年度、各都道府県がそれぞれ3本の道路を推薦し、その中から「道の日」実行委員会および有識者からなる「日本の道100選」選定委員会によって行われています。1986年度は、①歴史を語る、ぜひ永く守っていきたい道路(歴史性) 、②地域の内外から親しまれ愛されている道路(親愛性)を基準に53本の道路が選定され、1987年度には、①優れた環境のもとで美しい景観を持つ道路(美観性)、 ②周辺環境と調和し、機能と活力にあふれた道路(機動性)を基準に51本の道が選定され、合わせて104本となりました。各年度ともに、各都道府県から一本は選定されるように配慮されています。選定された道路は、各年の「道の日」に建設大臣から顕彰されるとともに、日本を代表するグラフィックデザイナー・亀倉雄策がデザインした顕彰プレートが選定道路の存在する都道府県に対して交付され、その道に設置されています。

☆「日本の道100選」のお勧め

(1)武家屋敷通り(秋田県仙北市)

 東北地方の北部にあり、みちのくの小京都と呼ばれる角館の武家屋敷街にある道です。江戸時代に秋田藩の支藩がおかれたところで、武家屋敷が残り、城下町の風情が色濃く残っていて、1976年(昭和51)に、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。武家屋敷通り沿いには、古い武家屋敷が並び、黒板塀や茅葺き屋根などに情緒があり、石黒家(市指定史跡)、青柳家(県指定史跡)、松本家(県指定有形文化財)、岩橋家(県指定史跡)、河原田家(市指定史跡)、小田野家(市指定史跡)などが並んでいます。春には、古木のしだれ桜が満開となり、すばらしい桜のトンネルが出現し、とても情緒があるのです。

(2)日光街道・例幣使街道・会津西街道の日光杉並木(栃木県日光市)

 五街道の一つ日光街道と例幣使街道、会津西街道の旧日光神領内(栃木県日光市周辺)にあたる部分、総延長35.41kmにおよぶ杉並木のことです。樹齢300年にもおよぶ杉の巨木が街道の両側にびっしりと並び、昼間でも暗くなるような独特の空間を創出しました。江戸時代前期の徳川家康・秀忠・家光の3代に仕えた松平正綱が、日光東照宮創建とその遷宮記念に植樹したのが最初とされています。その後、3代将軍家光による日光東照宮大改修前後の1625年(寛永2)頃から約20年間に、熊野山の杉苗を植樹して日光東照宮に寄進しました。それを記念して、松平正綱の嫡男・正信が建立した杉並木寄進碑が4ヶ所に建てられています。これらは、1922年(大正11)に「日光杉並木街道 附 並木寄進碑」として国の史跡・天然記念物になり、さらに、1952年(昭和27)には、国の特別史跡、1954年(昭和29)には、特別天然記念物に指定されました。また、1996年(平成8)に「歴史の道百選」にも選定されています。尚、日光街道の最後のところで、日光山内への入口となる、大谷川に架かるのが神橋で、国の重要文化財に指定されています。

(3)天城路(静岡県河津町ほか)

 ノーベル文学賞作家川端康成の名作『伊豆の踊子』の文中で踊子が越えていった道です。現在でも主要なルートが保存され、当時と同じトンネルが残り、通り抜けることが出来、文学の世界を彷彿とさせる道となっています。このトンネルは、1904年(明治37)、工期13年を費やして竣工した全長445.5m、幅4.1m、有効高3.15mの石造りのトンネルでした。天城峠付近の標高約710m地点に穿たれていて、2001年(平成13)4月20日、国の重要文化財に指定されています。1970年(昭和45)に、下を走る国道414号線の新天城トンネルが開通するまでは、天城越えの主要交通路だったのです。今も、未舗装の曲がりくねった旧道が残され、旅の旅情をかき立ててくれます。

(4)三方五湖周遊道路(福井県若狭町)

 三方五湖は、若狭湾とつながっている海水湖の久々子湖、日向湖、そして汽水湖の菅湖、水月湖、三方湖の5つの総称で、それぞれ水質や水深が違っています。そのために四季折々に湖面が五色の彩りを持ち、その変化を味わうことができ、別名五色の湖と呼ばれています。三方五湖周遊道路(レインボーライン)はそれらを巡っていて、展望台などの上から眺めるとその美しさを堪能できます。また、遊覧船で湖面から見たるのもすばらしいものです。

(5)塩見縄手 - 塩見家栄進の記念道(島根県松江市)

 塩見縄手は、松江城北側の中濠沿いで、茶室「明々庵」から「小泉八雲旧居」までの約500mの通りのことです。この辺り、江戸時代には二百石から六百石ほどの松江藩中級武士たちの家中屋敷が並んでいました。なかでも、この武家屋敷街の中ほどに一時居住していた塩見小兵衛が、のちに異例の栄進をして藩の中老にまでなったため、それをたたえてこの通りの名前になったとのことです。ちなみに、「縄手」とは細く延びる一本道のことだそうです。この塩見縄手地区は、1973年(昭和48)に松江市伝統美観保存地区に指定されてもいます。松江城下でも最も雰囲気のあるところで、中濠沿いの老松ともよくマッチして、江戸時代の風情が感じられます。

(6)天草パールライン(熊本県上天草市ほか)

 熊本県宇土半島先端の三角から、天草諸島の大矢野島、永浦島、池島、前島を経て天草上島までを結ぶ5つの橋(天門橋、大矢野橋、中の橋、前島橋、松島橋)を通る道のことです。日本道路公団によって建設され、昭和時代後期の1966年(昭和41)に開通し、パールラインと呼ばれていました。国道266号の一部をなし、現在の宇城市から上天草市にかけての約12kmの連絡道路となっていますが、開通当初は有料道路で、30年で償還する予定だったものの、わずか9年で通行無料になります。1935年(昭和10)に、天草架橋構想が熊本県議会に提案されて以降、27年にして、1962年(昭和37)に、日本道路公団によって起工されたものでした。各橋はそれぞれ周囲の自然環境と技術上の条件を考慮して選ばれた構造形式を採用し、当時の日本橋梁技術の粋を集めたものです。そして、3年の工期を経て完成し、熊本県民の悲願がかなうことになりました。周辺は、雲仙天草国立公園の指定を受ける風光明媚なところで、この完成によって、長崎、雲仙と阿蘇、別府とを結ぶ国際観光ルートとして注目され、多くの観光客を呼び込むことになります。

☆日本の道100選一覧

1.札幌大通(北海道札幌市) - 札幌の道路公園(1987年度選定)
2.大三坂通(北海道函館市) - 函館のエキゾチックな坂道(1987年度選定)
3.赤松並木(北海道七飯町) - 赤松並木の道(1986年度選定)
4.二十間道路(北海道新ひだか町) - 二十間道路桜並木(1986年度選定)
5.こみせ(青森県黒石市) - 「こみせ」の町並み(1987年度選定)
6.官庁街通り(青森県十和田市) - 桜と赤松並木のコミュニケーションロード(1986年度選定)
7.一関市道金沢線・岩が崎線(岩手県一関市) - 芭蕉行脚の道(1986年度選定)
8.寺町通り(岩手県盛岡市) - 現代と調和する歴史的道(1987年度選定)
9.定禅寺通り(宮城県仙台市) - 杜の都のケヤキ並木(1987年度選定)
10.仙台西道路(宮城県仙台市) - 都市近郊型幹線道路(1987年度選定)
11.七ヶ宿街道(宮城県白石市) - 奥羽一三藩参勤交代の道(1986年度選定)
12.広小路(秋田県秋田市) - やすらぎのシンボル道路(1987年度選定)
13.武家屋敷通り(秋田県仙北市) - みちのくの小京都(1986年度選定)
14.ひな市通り(山形県河北町) - ひな市でしのぶ往時の賑わい(1986年度選定)
15.月山花笠ライン(山形県西川町ほか) - 山形を代表する景勝道路(1987年度選定)
16.磐梯吾妻スカイライン(福島県福島市) - 吾妻八景を望む道(1987年度選定)
17.旧奥州街道(福島県二本松市) - 霞ケ城と菊人形の道(1986年度選定)
18.学園東大通り(茨城県つくば市) - 筑波研究学園都市の大動脈(1986年年度選定)
19.つくば道(茨城県つくば市) - 筑波山への信仰の道(1987年度選定)
20.いろは坂(栃木県日光市) - 四十八のカーブ(1987年度選定)
21.日光街道・例幣使街道・会津西街道(栃木県日光市) - 日光杉並木(1986年年度選定)
22.旧中山道(群馬県安中市) - 「江戸」の情調、碓氷峠(1986年度選定)
23.ハナミズキ通り(群馬県大泉町) - 工業都市の自然と緑の散歩道(1987年度選定)
24.日光街道(埼玉県草加市) - 松並木の遊歩道(1987年度選定)
25.国道140号(埼玉県秩父市) - 秩父往還道(1986年度選定)
26.房総フラワーライン(千葉県館山市) - 四季の草花とマラソンの道(1986年度選定)
27.常盤平さくら通り(千葉県松戸市) - 桜花のトンネル通り(1987年度選定)
28.内堀通り(東京都千代田区) - 城郭と高層ビルの道(1986年度選定)
29.中央通り(東京都中央区) - 明治近代化のシンボル・銀座の道(1986年度選定)
30.新宿副都心街路(東京都新宿区) - 首都東京の新しい顔(1987年度選定)
31.湾岸道路(東京都江東区ほか) - 「未来」を走る虹の道(1987年度選定)
32.山下公園通り・山手本通り(神奈川県横浜市) - 港町ヨコハマのエキゾチックな道(1987年度選定)
33.若宮大路(神奈川県鎌倉市) - 鎌倉幕府の遺跡(1986年度選定)
34.甲州街道(山梨県北杜市) - 宿場街・台ヶ原宿のたたずまい(1986年度選定)
35.富士スバルライン・河口湖大橋(山梨県富士河口湖町ほか) - 雄大な富士の道(1987年度選定)
36.並木通り(長野県飯田市) - リンゴの実が輝く道(1986年度選定)
37.北国街道(長野県東御市) - 歴史かおる街・海野宿(1986年度選定)
38.白馬山麓線(長野県白馬村) - 「白馬連峰」の山岳美を望む道(1987年度選定)
39.国道148号(新潟県糸魚川市) - 豪雪・雪崩地帯を貫く道(1987年度選定)
40.天険親不知線(新潟県糸魚川市) - 親不知・子不知の道(1986年度選定)
41.八尾町道諏訪町本通り線[注釈 1](富山県富山市) - 雪流しの道(1986年度選定)
42.国道304号(富山県南砺市) - 五箇山トンネル(1987年度選定)
43.百間堀通り・百万石通り(石川県金沢市) - 兼六園を取り巻く道(1986年度選定)
44.能登有料道路[注釈 2](石川県穴水町・金沢市ほか) - 日本海を望む風光明媚な快適路(1987年度選定)
45.板取街道(岐阜県関市)(別名:アジサイロード) - フラワーロード(1986年度選定)
46.木曽三川パークウェイ(岐阜県海津市) - 木曽三川を渡る三橋(1987年度選定)
47.富士山スカイライン(静岡県富士宮市ほか) - 大自然を貫く道(1987年度選定)
48.天城路(静岡県河津町ほか) - 自然と文学の道(1986年度選定)
49.久屋大通(愛知県名古屋市) - 名古屋のシンボルロード(1986年度選定)
50.渥美サイクリングロード(愛知県田原市ほか) - 史跡と伝説の中のサイクリングロード(1987年度選定)
51.旧東海道(三重県亀山市) - 東海道の宿場町・関宿(昭和61年度選定)
52.国道260号賢島?長島線(三重県賢島 - 長島)(三重県志摩市・英虞湾周回 - 紀北町) - 「真珠の海」を一望する道(1987年度選定)
53.中宮平泉寺参道(福井県勝山市) - 中宮平泉寺参道(1986年度選定)
54.三方五湖周遊道路(福井県若狭町) - 五色の湖をめぐる道(1987年度選定)
55.唐橋(滋賀県大津市) - 歴史をきざむ日本の名橋(1986年度選定)
56.琵琶湖岸道路(滋賀県草津市ほか) - さざなみきらめく湖周の道(1987年度選定)
57.哲学の道(京都府京都市) - 哲学の道(1986年度選定)
58.天の橋立線(京都府宮津市) - 名勝天橋立の道(1987年度選定)
59.御堂筋(大阪府大阪市) - 緑と散策の大通り(1987年度選定)
60.フェニックス通り(大阪府堺市) - 不死鳥の道(1986年度選定)
61.寺内町(大阪府富田林市) - 近世の自治都市(1986年度選定)
62.大手前通り(兵庫県姫路市) - 城下町のシンボルロード(1986年度選定)
63.橘通り(兵庫県尼崎市) - 愛される都市の顔(1987年度選定)
64.神戸淡路鳴門自動車道(兵庫県南あわじ市) - 景勝・渦潮を越えて 大鳴門橋(1987年度選定)
65.暗越奈良街道(奈良県奈良市ほか) - 平城京の道(1986年度選定)
66.畝傍御陵前停車場四条線・橿原神宮公苑線(奈良県橿原市) - 畝傍山山麓の市民の集いの場(1987年度選定)
67.高野山道路(和歌山県高野町ほか) - 霊場高野山への道(1987年度選定)
68.那智勝浦町大門坂線(和歌山県那智勝浦町) - 熊野参詣道大門坂の杉並木(1986年度選定)
69.若桜街道・本通り(鳥取県鳥取市) - しゃんしゃん傘踊りの道(1986年度選定)
70.大山道路(鳥取県大山町) - 大山探勝のメインルート(1987年度選定)
71.塩見縄手(島根県松江市) - 塩見家栄進の記念道(1986年度選定)
72.みゆきの道(島根県出雲市) - みゆきの道(1987年度選定)
73.高梁市道本町楢井線・下町薬師院線(岡山県高梁市) - 紺屋川を挟む道(1987年度選定)
74.吉備路自転車道(岡山県岡山市ほか) - 史跡を走るサイクリングロード(1986年度選定)
75.平和大通り(広島県広島市) - 平和への道(1986年度選定)
76.美術館通り(広島県呉市) - 芸術と歴史の道(1987年度選定)
77.パークロード(山口県山口市) - 文化ゾーンを貫く道(1987年年度選定)
78.菊屋横丁(山口県萩市) - 萩藩御用達の商家通り(1986年度選定)
79.吉野川バイパス(徳島県徳島市) - 地域開発の主役道路(1987年度選定)
80.うだつの町並み(徳島県美馬市) - 「うだつ」土蔵造りの町並み(1986年度選定)
81.中央通り(香川県高松市) - 高松市のシンボルゾーン(1986年度選定)
82.ブルーライン(香川県小豆島町) - 小豆島・寒霞渓へ向かう道(1987年度選定)
83.八日市道路(愛媛県内子町) - 旅情をかきたてる「市」の道(1986年度選定)
84.南レク街路(愛媛県宇和島市) - リゾート地へのアクセス道路(1987年度選定)
85.追手筋(高知県高知市) - 「市」と祭りの道(1986年度選定)
86.足摺サニーロード(高知県土佐清水市ほか) - 黒潮の道(1987年度選定)
87.国道197号(高知県檮原町ほか) - 土佐勤王の志士脱藩の道(1986年度選定)
88.東西軸トランジットモール(福岡県福岡市) - 官庁街・オフィス街を走るモール(1987年度選定)
89.槻田あおぞら通り(福岡県北九州市) - 地域住民に守られるコミュニティ道路(1986年度選定)
90.水辺の散歩道(福岡県柳川市) - 水辺の散歩道(1986年度選定)
91.県道虹の松原線(佐賀県唐津市ほか) - 歴史ロマンの虹のトンネル(1987年度選定)
92.県道大木有田線(佐賀県有田町) - 陶磁の道(1986年度選定)
93.オランダ坂(長崎県長崎市) - 異国情緒を伝える石畳(1986年度選定)
94.国道384号(長崎県五島市ほか) - 五島を支える循環道路(1987年度選定)
95.大津街道(熊本県菊陽町ほか) - 歴史を語る杉並木(1986年度選定)
96.天草パールライン(熊本県上天草市ほか) - 明日に架ける天草五橋(1987年度選定)
97.佐伯市道山際線(大分県佐伯市) - 歴史と文学のみち(1986年度選定)
98.北滝ロマン道路(大分県竹田市) - 阿蘇を眺望する高原の道(1987年度選定)
99.日南フェニックスロード(宮崎県宮崎市) - ハネムーン街道(1986年度選定)
100.橘公園通り(宮崎県宮崎市) - フェニックスの並木道(1987年度選定)
101.武家屋敷通り(鹿児島県南九州市) - 一新された武家屋敷通り(1986年度選定)
102.国道223号(鹿児島県霧島市) - 神域霧島の観光道路(1987年度選定)
103.那覇市道金城2号(沖縄県那覇市) - 古都首里の石畳道(1987年度選定)
104.県道黒島港線(沖縄県竹富町黒島) - 南海の島の景観道(1986年度選定)

(出典:『日本の道100選』〈新版〉2002年、ぎょうせい)