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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

110冊目:「日本中枢の崩壊」

2013-07-16 00:13:02 | 
総評:★★★☆☆ 国の崩壊を感じた。
面白い度:★★☆☆☆ 面白いわけではない。
読みやすい度:★★☆☆☆ 難しい内容もある。
ためになる度:★★★★☆ 色々ためにはなった。
また読みたい度:★★★☆☆ 気になった部分は読み返したい。


元経産省の官僚である古賀茂明さんが、退官する前に書き残した一冊。

古賀さんは2~3年くらい前に初めて知った。
あるテレビ番組に出ていて、官僚に対して警鐘を鳴らしているコメントをしていた。そこでの発言がとても的確で、質問に対する応対などもとても感じが良かったので、一瞬にしてファンになってしまった。

そんな古賀さんが官僚の闇や困った慣習を公然と批判したのがこの本である。
元官僚がここまでいうんだ!くらいの爽快感がある。
おそらく古賀さんは官僚という組織に縛られず、本当に日本を良くしようと思ってこういうことを言っているのだと思う。
そして官僚時代にそういうことを行ったからこそ、今退官しているのでもあるが。

でもこの人は本当に信用していい人だと思うし、こういった人が日本にもっといてほしいと思う。


この本を読んでみて、本当に官僚って困った組織だと思う。
天下り、減らない給料、逆にどんどん年功序列で上がっていき、天下り先では今までのキャリアに見合った給料が保障される。
天下り先で何をしているの分からず、本当に使える人かも分からず、こんな人たちが公然と税金から高い給料をもらっている。

明らかに税金の無駄遣いだと思う。
こういった天下りや年功序列を排し、本当に必要な組織だけにし、実力に見合った給料を与えるようにすれば、税金も大きく余剰が生まれると思うし、そもそも消費税増税なんてものはいらなくなると思う。

というかこういうことなんて、今の民間企業であり得るはずがない。
国として借金、赤字を垂れ流している現状では、民間企業だったら普通に倒産しているはずだし、そうでなくても大幅なリストラなどで財務整理をしているはずである。

そんな状況がまかり通っている日本では、この先滅びるのも時間の問題ではないかと思う。
そもそも日本を支える官僚の構造が本当にあるべき姿に即していない時点で、すでに日本の中枢が崩壊しているのだ。というのがこの本。

本当に日本の将来が不安になったし、革命的なことでも起こらない限り、今の日本が蘇るすべはないのではと思う。

そんな危機感を植え付けられた本でした。
古賀さんは官僚という職を追われるように辞めて行ったが、本当にこれからも頑張ってほしいと思う。
こういう正しい人が報われないなんて本当に間違った世の中だと思う。


最後に興味深かった箇所について抜粋する。

・国税庁はその気になれば、普通に暮らしている人を脱税で摘発し、刑事被告人として告訴できるのだ。あるいはそこまで行かなくても、国税庁の査察が入るということになれば、相当な恐怖感を抱かせることができるのだ。
 ましてやカネの流れが不透明な政治家は国税庁が怖い。だから国税庁を管轄する財務省には刃向かえない。
 国税庁は、マスコミを牽制するためのツールとしても大いに力を発揮する。霞が関に対して批判的なフリーのジャーナリストを黙らすのは、その気になれば簡単だ。国税庁が査察に入れば、いくらでも埃は出てくる。

・法務省のキャリア組には、自分たちの天下り先を増やそうなどというよこしまな考えはない。法務省で刑法の改正などを担当するのは、司法試験に合格した検事が中心で、法務省を退官しても弁護士になる道があるので、天下り先を作る必要などないからだ。
 自立できる道があるかどうかで、行いは変わってくる。普通の役所のキャリアが省益のために働くのは、結局、最後は役所の世話にならないと生きていけないからだ。

・霞が関の官僚組織は日本最高の頭脳集団で、彼らに任せておけばなんとかしてくれるという幻想を抱いている国民が、まだいる。もはや、こんな幻想は百害あって一利なしである。公務員制度改革や経済再生を進めるに当たっては、公務員は公正中立で優秀だという前提を捨ててかかるべきである。

・日本経済の長期的な先行きを見ても、明るい材料はほとんどない。経済成長を促す三大要素は、人とカネと生産性である。人口が増えている国では、その分消費が伸びていくし、労働人口も増加していく。

・リスクを取らず、いまある生活を防衛することだけを考えている日本人が多くなった。日本人に縮み志向の思考回路が定着しつつあるのは、リスク恐怖症に陥っているからだ。あたかも、リスク回避という官僚の習慣がウィルスとなって霞が関にばら撒かれ、日本人全体に感染したかのような感がある。
 だが、リスクを恐れてチャレンジしなければ、明日は拓けない。逆に言えば、リスクを怖がらなければ活路は開ける。


そんな感じの、色々考えさせられた本でした。
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