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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

113冊目:「クライマーズ・ハイ」

2013-08-26 21:31:44 | 
総評:★★★☆☆ なかなか清々しい話。
面白い度:★★★★☆ 面白いと思う。
読みやすい度:★★★★☆ 結構スイスイ読めた。(映画観たから?)
ためになる度:★★☆☆☆ タメにはあまり。
また読みたい度:★★☆☆☆ なんらかの機会があれば。


ドラマ化、映画化もされた横山秀夫の有名な小説。

前々から見てみたかったのだが、他に読みたい本が結構あり、この前職場の人から映画のDVDを借りて観たのをいいきっかけと思い、読んでみることにした。

とりあえず映画の方を先に観たため、映画の方の印象が強く、映画との違いというのをメインに書く。

映画はそれなりに面白かった。しかし初見では結構難しく、専門的な用語も色々使われていたため、ストーリーを全くしらない自分は、面白いながらも結構ポカーンとしながらあまり全体的なテーマというのをあまり掴みきれず見ていた。
でも映画から伝わってくる雰囲気、臨場感というのは、他の映画と一線を画していたと思う。

そんなんで、映画でおおまかなストーリーを知っていたので、小説を読んでかなりすんなり物語に入ることができた。


物語は大きく2つのパートが進行する。

主人公の悠木が日航ジャンボ機の事故の全権キャップに任命され、新聞記事を作って行くパートと、60歳間近の悠木が親友安西の息子である燐太郎と谷川岳の衝立岩に登るパート。

殺伐とした社内で新聞記事を作って行くパートがメインだが、その合間に燐太郎と二人で昔の出来事を回想しながら衝立岩の登攀に挑むパートは逆にとても清々しい。
その二つのパートの対比がとても印象に残った。


映画との主な違いについては、大きくは安西の扱いにあると思う。
映画では安西は良く分からないキャラクターに映った。日航ジャンボ機の事故が起きた当日、安西は悠木と衝立岩に登る約束をしていた。安西はとても楽しみにしており、事故の前に、安西は先に衝立岩に向かっており、その途中にくも膜下出血で意識不明の重体になってしまう。
映画を初めて観た時は、なんだ、勝手に倒れたぞ、といった印象であり、本当に良くわからないキャラクターだった。

しかし小説では、悠木との過去や安西自身の過去も描かれており、さらに登山パートの燐太郎と悠木を結びつけるような
重要な人物として描かれている。さらにこの小説で一番有名な台詞である「下りるために登るんさ」もとても印象深い。
そんなんで、映画では良くわからなかった人物も小説ではかなり掘り下げられて書かれており、小説で映画の補完ができた感じだった。

あとは、映画ではここまで描かれなかったが、悠木の退職騒動の直接の引き金となった終盤での望月彩子の投書。
この投書の内容も、この小説では重要なテーマとして描かれている。しかし映画では望月という名前の登場人物は全く出てきていない。
そういった点でも映画は、この小説のエッセンスを十分に詰め込んだ内容ではなかったのだと思う。

その他にも、映画では玉置千鶴子が佐山と一緒に圧力隔壁のネタの裏を取るために奔走していたが、小説では裏を取る玉置という男性社員と佐山を慕う依田千鶴子という女性記者に分かれていたり、映画では佐山と一緒に御巣鷹山に登った神沢は死んでしまったが、小説では最終的に共同通信の記者になって出世するなど、結構違う点もあった。


基本は圧力隔壁の裏取りをして、新聞にスクープにするのを諦める所までは大きな流れは一緒だったが、細かい所が違っていたり、何よりも小説の後日談が締めくくりとしてかなり上手くまとまっていたことから、自分は映画より小説の方がいいなと思った。
というか、映画ではこの小説のテーマというものがあまり伝えていないことが分かった。
そういったちょっと歯抜けの部分があったことも、自分が映画を観て??って思った所なんだと思う。


ちなみに最後の後日談の話は見ていて結構感動した。
やっぱり一番は安西と燐太郎が一緒に登る所が清々しくて好きだなと思った。そして最後の燐太郎の台詞も良かった。
最後に、「下りるために登るんさ」この台詞の意味は読み終わってもあまり分かりませんでした(笑)

そんなんで、結構スイスイ読めた面白い小説だったと思う。以上☆
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