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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

54冊目:「八日目の蝉」

2011-08-03 23:01:39 | 
総評:★★★☆☆ 子育てする女性にいいかも
面白い度:★★★★☆ なかなか面白かった
読みやすい度:★★★☆☆ 最初はちょっととっつきにくいかも
ためになる度:★★★☆☆ それなり?に
また読みたい度:★★☆☆☆ 一回でいいかも


実家に帰ったらこの小説があったので、借りて読んでみた。
ドラマ化、そして最近映画化された小説。

特にどういう小説か、とか先入観なく読んだ。
最初は色々なことが断片的で、何でこんなことをしちゃってるの?と思いながら、あまり全体像が見えず進んでいた。

中盤を過ぎたあたりから場面がガラッと変わり、そこから徐々に事件に至った経緯や事件の状況が明らかになる。
最初は読みにくかったが、後から結構引き込まれました。


実の子ではない赤ちゃんを誘拐し、その子を一生懸命育てる。
自分の子ではないのに、良くそこまで健気に子供の事を思ってできるなぁと思う。
逃亡しながらの子育てで、自分の身分を証明することも出来ず、とても不安定な生活を送ることになる母親(←とここでは呼ぶ)

それでも子供と一緒にいたい。自分の幸せなどどうなってもいい。
ただ子供と一緒に暮らしたい。
そんな切な願いを生きる希望としてただひたすら子供と生きていく母親。

その関係性はとても美しいものに映る。
実の子が産まれてもちゃんと育てられず、育児放棄してしまう母親や父親も現実にはいることだろう。
しかしこの母親は実の子ではないにも関わらず、そして頼れる男性がいないにも関わらずたくましく生きていく。


しかし二人の生活もやがて終わりがやって来る。
些細な出来事からその生活は終わりを告げる。でもそれはいずれそうなると分かっていたことだ。

事件が発覚した後は実の本当の母親の家に帰され。少女は成長する。
しかしその生活や、自分の立場を自覚していくには時間が必要だった。
やがて自分の生い立ち、事件を知った少女は、家庭に戻ってから今までの出来事を振り返る。

少女の家庭はどこかひびが割れていた。幸せな家族とは程遠い生活。
そうなったのも幼少期、知らずのうちに育ててくれた母親のせいだと憎むようになる。

やがて少女は自分がその母親と同じ事をしていることに気づく。
憎むのか、自分と似ているのか、そんな葛藤を覚えながらも心は幼少期の母親の事を考える。
そして徐々に記憶に封印した幼少期の生活を思い出す。。。


結構どろどろしているようで、なかなか最後はさわやかな終わり方だったと思う。

子供の大切さ、子供が一緒にいる生活。そんな些細なことに見えるが、とてもかけがえのない生活がそこにあることをこの小説は教えている気がします。
そんなんで、子育てに悩む母親にこそ観て欲しい作品だと思いました。
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