
厳しい冬も峠を越し、日一日と暖かくなり、3月も半分を過ぎちゃいました。
梅の花はとっくに咲き、山を見渡せば、山桜の咲いてるのも見かけるようになりました。
だけど、私はこの時期、単純に春の訪れを喜べないのです。
綺麗に咲いている花達を見たり、新しいスタートとなる4月が近づくに連れ、期待や希望とはうらはらに、自分も生まれ変わらなくちゃという焦燥感や不安感が日増しに募ってくるからです。
それに、3月と言えば、卒業シーズンでもあり、遠い昔、好きだった人との別れが蘇ってきたり・・・
4月になったら、みんなと同じように、明るい希望に満ちたスタートが切れるだろうか?
私って、不器用だし、結構、人見知りも激しいし、すごく、不安・・・
とくに、女の子にとって、高校時代というのは少女から大人の女性への転換期でもあり、人生の中で、もっとも不安定な時期に当たります。
そんな私の気持ちをものの見事に代弁してくれてるのが、今回、ご紹介する大島弓子さんの「バナナブレッドのプディング」という漫画です。
この漫画の主人公、女子高生の三浦衣良は、姉の結婚を機に、精神に変調をきたしてしまいます。
衣良は姉をすごく慕っていて、いつも姉のあとを追っかける女の子でした。
それを知った親友の御茶屋さえ子は、恋する楽しさを味わっているうちに、どうにかなるのではと衣良にボーイフレンドを作るのを勧めるのですが、どんなタイプの男性が好みなのかを聞いて、びっくりしてしまいます。
それもそのはず、衣良は世間に後ろめたさを感じている男色家の男性と答えるのですから。
大人の女性になるには、恋を知らないといけません。
だけど、男色家の男性だったら、恋愛関係は築けないのでは?
でも、大人になるという事は、人様のお役に立つ事でもありますよね?
衣良が、世間に後ろめたさを感じている男色家の男性と答えたのは、人前でも堂々と男性同士で愛し合え、公園でキスまで出来るよう、助力を惜しまないためだったのです。
それが、衣良が考えた姉からの自立であり、大人の女性になる第一段階だったのです。
衣良の方法は、とても風変わりに思えるかもしれませんが、私にもわからなくはないです。
一途に思いつめて、周りが見えなくなったりとか、ほかの人にはちっぽけな事が、私には、とても大切だったりとか。
いつまでも、誰かが敷いたレールを言われたまま歩くのではなく、いつかは自分の意志で踏み出さなきゃならない。
そんな事を思いながら、不安な気持ちを抱きつつ過ごしていた高校時代を、この漫画は蘇らせてくれます。
そして、そう思っていた少女が多かったのでしょう。
この漫画は、萩尾望都さんの「トーマの心臓」とともに、少女漫画の最高傑作と言われているそうですから。
最後に、私が、3年前に「バナナブレッドのプディング」を書いた時にコメント下さった、ある女性の感想を記します。(Yちゃんさん、勝手に紹介してごめんなさい。)
奈々さん、 ありがとう。なんだか涙が出てきた。
「バナナブレッドのプディング」を大事に読んでくれている人がいることは、私にとっては自分を大切にしてもらっていると同じことなんです。
私は自分の心の闇をだましだまし、どうにかうまく生きてきていますが、「バナナブレッドのプディング」を読んでこそ、なのです。
連載開始の1ページ目で「きょうはあしたの前日だからこわい」という衣良の言葉を読んで、勝手に自分の分身と感じてしまい、それ以来、別名を三浦衣良にしてしまったくらいでした。
連載は5回しかなかったのですが、毎号心待ちにして、どうか衣良にハッピーエンドをと願っていました。
その毎回の1ヶ月が長くてね。
最後に沙良の夢の中で、自分のおなかの中の赤ちゃんへの「まあ生まれてきてごらんなさい」「最高に素晴らしいことが待ってるから」
という呼びかけを読んで、自分にこれまで起こったすべての悪いことに対して許容できるような気がしたと思います。
本当にすべてを許容できるようになるのは、まだまだ先で死ぬまでかかえてしまうかもしれませんが。
この作品の謎解きや解釈は、読んだことがないのですが、御茶屋峠さんという名前はね、私は険しい山道の途中にある峠の茶屋で、ひとやすみできる場所だと思っていました。
作者の意図とは違ったかもしれませんが、感じ方は人それぞれで、いいですよね?
この漫画が、少女漫画の最高傑作と言われる所以は、彼女の文章にあるように、少女から大人の女性になる転換期に誰もが抱える不安な気持ちと、解決への導きを現しているところにあるように思います。
4月を間近に控えたこの時期、不安な気持ちに揺れる少女達にぜひオススメしたい一冊です。
Yちゃんさん、もう、読んでは下さってないですよね?
あのあと、随分ご迷惑、そして、ご心配をお掛けしましたけど、あの時、コメント下さって、私はとっても嬉しかったです。
その節はありがとうございました。
4月生まれだからなのかしら?
北海道は、まだまだ雪が沢山で、お花が咲くのは4月に入ってからですが、それでも陽ざしが春を感じることが出来て嬉しくなります。
春になると不安な気持よりも、何か新しいことに出会いそうな、また新しいことを始めたくなります。
皆がそんな気持ちになるのではないかと勝手に思っていましたが、違うんですね。
人それぞれ違うんですね。
こんなに違うタイプの奈々さんとこうしてブログで繋がっている事が嬉しいです。
いつもありがとう。
ちはるさんが春が来ると嬉しいのは雪国の北海道に住んでる事が大きいような気がします。
その点、こちらは寒いだけで、雪かきとか、車の移動に困る事は全然、ありませんから。
あと少しの辛抱ですね。
旅のお話も楽しみにしてますね。