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奈々の これが私の生きる道!

映画や読書のお話、日々のあれこれを気ままに綴っています

青春ドラマの傑作「俺たちの旅」

2014-03-07 01:27:30 | 映画・テレビ


私の子供の頃、青春ドラマがいくつも作られていました。

 でも、だんだん下火になって、いつの間にかなくってしまいました。

 その理由を、ある人は「金八先生」のせいだと激しく断罪しました。




 俺達が、子供の頃は、金八先生みたいな先生を望んだりしなかった。

 俺達が、子供の頃は先生によくいたずらをしたものだった。
 だけど、それは悪気とか、甘えとかではなく、そうやって先生を鍛え、自分達の手で、

先生を一人前にしてあげようという気持ちがあっての事だっだんだ。

 金八先生みたいな、いい先生がいなければ、言うことを聞かないなんて、人のせいにす

るのも程々にしろ!


 そういうのをな、軟弱って言うんだ!

 甘ったれるのもいい加減にしろ!

だいたいだな、教師は勉強さえ教えればいいのであって、人格的なものまで求めるようになったからストレスを感じて、猥褻事件を起こす教師が増えたんだ。

しいて言えば、「金八先生」は、タイトルが示すように教師や教師を目指す者の為に作られたのであって、そられの者には有益かも知れないが、子供たちにとっては自主独立を始めとする人格形成を損なう以外の何ものでもない。

どうだ、わかったか?

 私が、20年以上前に読んだある雑誌の青春ドラマの特集記事には、そういうふうに書

いてありました。

 そこで、私はいろいろ考えてみました。

 「金八先生」は、子供はか弱くて、愚かな存在だから、大人がちゃんと指導しなればな

らないみたいな作りになっている気がしないでもないですよね?

 でも、昔は11歳くらいになると、元服と言って、早くも大人の仲間入りをしていたそ

うです。

 生徒の先生に対するいたずらでは、夏目漱石の「坊っちゃん」で、お蕎麦やお団子をた

くさん食べたのを冷やかされたり、布団の中にイナゴを入れられたり、風呂で泳いでいた

のを見られ、「泳ぐべからず」と書かれたりと、散々な目に遭っているのは有名なお話で

す。  
 
 つまり、坊っちゃんは正義感あふれる熱血漢みたいな人物に書かれていますが、教え子の立場からすると、教育熱心でもなければ、子供思いの優しい先生でもないのです。

 金八先生を良しとする人にはとんでもない先生に写るかもしれませんが、それまでの日本人は何の疑問も感じず、むしろ拍手喝采で、坊っちゃん先生を褒め称えていたのです。


 そういう日本男児の麗しい伝統ある気風と誇りを奪った「金八先生」は断罪されても仕

方ないかも?


 若人よ、大いに青春を謳歌しようではありませんか!


 それで、私が考える青春ドラマの傑作と言うか、集大成とも言える作品が「俺たちの旅

」なのです。


 このドラマは最初、大学の同級生であるカースケ(中村雅俊)、オメダ(田中健)と、

社会人のグズ六(秋野太作)の三人がメインとなって、ストーリーが展開していきます。

 カースケとオメダは大学4年生で、ともにバスケットをしていましたが、カースケは就

職活動はほとんどせずにアルバイトに精を出す毎日で、自由奔放とも言える生活を送って

いました。
 一方、オメダは父親不在の生い立ちと、生真面目な性格から、堅実なサラリーマンにな

るのを夢見ていました。
 
 つまり、それまでの夢や憧れだけに生きていた学生気分と別れを告げ、社会人として生

きなければならない現実を目前に控えていたのです。


 大人になるとは、誰にも頼らずに、自分の力でお金を稼ぐ事でもあるのです。

 そのためには、多少の妥協もしなければ、食ってはいけない時だって出てきます。

 だけど、人はお金やパンだけで生きているのではありません。

 どうやって、妥協点を見出せばよいのでしょう?

 そこで、このドラマは先輩のグズ六が働いている姿を見せるのです。

 グズ六は英語のカセットテープを売る営業マンですが、成績が芳しくなく、いつも部長

に叱られてばかりなのです。

 しかも、恋人の紀子(上村香子)がいて、結婚を迫られているのです。

 大人になるという事は愛する人を得て、生活を共にする事でもあるのです。

 やがて、カースケ、オメダ、グズ六と、下宿先の東大浪人生ワカメと4人で、なんとか

する会社を立ち上げ、自分達なりの生き方を追求していくのです。




 これが、主なストーリーですが、私が気になったエピソードに、こういうのがあります



 第15話
 カースケはアルバイト先のガラス工場で知り合った先輩田所(花沢徳衛)に、仕事がな

ってないと、いつも怒鳴られてばかりいました。
 田所は定年を間近に控えた職人気質のガラス工芸職人で、常に最高ものを目指していま

した。
 ところが、工場が倒産してしまい、カースケが工場の上司に頼み込んで、田所に最高の

ガラス細工を作るラストチャンスを与えるのです。
 それは長年、磨いてきたガラス工芸職人としての技術の粋を集めた作品で、カースケは

田所のその姿に仕事の誇りを教わるのでした。

 

 第17話
 カースケとオメダはおでん屋の男性(下條正巳)と懇意になります。
 その男性は、「上海帰りのリル」という歌が好きで、昔、出版社を経営していたのです

が、経営が思わしくなくなり、妻子を捨てて、蒸発した過去を持っていました。
 その娘が長じて、ラジオ番組のDJになり、父親の好きだった「上海帰りのリル」をよく

流していたのです。
 それを知ったカースケはおでん屋の男性に、娘と会う機会を作るのですが、その男性は

「家族を捨てた者は、それなりの生き方をしなければいけないと」言って、何処かへ去っ

て行くのでした・・・
 

 第24話
 カースケは出身高校の先輩で、バスケットボールの名選手だった憧れの村岡(森次晃嗣

)とアルバイト先の運送会社で再会するのですが、下請けのトラックの運転手神保(河原

崎長一郎)が過労運転と積載オーバーが原因で、事故を起こしてしまいます。
 神保は正社員ではないし、事故の原因によっては次期支店長の呼び声高い村岡のマイナ

スになるので、神保の面倒をみるはずがないと噂を聞いたカースケは村岡に迫るのですが

、村岡自身、苦しんでいて、その姿に現実と理想との違いを考えずにはいられなくなるの

です。

 

 第26話
 カースケは港の荷役作業のアルバイト先で知り合った植村(植木等)に海で溺れそうにな

るところを助けられたのを縁に仲良くなります。
 カースケは、植村の理想とする自由奔放な生き方をしている点に惹かれるのですが、あ

る日、植村はカースケのもとに泊まりに来ていた時、オメダの財布を盗んで、植村の秘密

があばかれていくのです。
 植村は酒好きで、ギャンブルに狂い、家庭を顧みなかったために、奥さんに逃げられた

のでした。
 
 自分の好きなように生きたい。

 でも、人は決して、一人だけで生きているのではないという事を思い知らされたカース

ケでした。



 そのほか、グズ六が紀子と結婚出来たのはいいものの、グズ六の勤め先が、いつ倒産す

るかも知れないと心配した紀子の父親(北村和夫)が勤め先を紹介したのを、グズ六が蹴

ったエピソードも心に残りました。

 「会社の、みんなが潰れないように必死で頑張っているのに、それを見捨てて、別の有

利なところで働くなんて、私には出来ません!」


 紀子の父親はそれまでグズ六をあまり良く思っていなかったのですが、グズ六のその言

葉で、紀子に「お前の目は確かだったな。これを飲ませてあげなさい」と言って、あの0

07が愛したドンペリという高級な洋酒を手渡すのでした。




 このドラマには、誰一人かっこいい人は出てきません。



 でも、誰もが必死で自分の生き方を求めているのです。

 時には、怒りのあまり、殴りあったりする場面も出てきます。


 そして人は、純粋であればあるほど傷ついてしまう・・・



 だけど、彼らは、決して諦めないのです。


 夢や憧れを失わず、それでいて現実に背を向けずに、堂々と前向きに生きようとするのです。





 そうした者だけに青春貴族の称号が与えられ、いつまでも青春を謳歌出来るのかも知れ

ませんね♪









 

 
 


  
  



























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