
今回も、福岡県北九州市の大学に行った息子を応援する記事です。
前々回、松本零士先生監督のテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の記事を書きましたが、松本先生の本職といえば漫画家さんなので、今回は私がもっともよく読んでいた先生の漫画「銀河鉄道999」のお話をしたいと思います。
私は、「銀河鉄道999」が連載されていた漫画雑誌「少年キング」と、手塚治虫先生の「ブラック・ジャック」が載っていた「少年チャンピオン」を、学校近くのダイエーの中にあった本屋さん「ルーブル都城」で、よく立ち読みさせていただいていたのです♪
立ち読みは、本当はいけないことなんですけど、どうしても読まずにはいられなかったの。
ルーブル都城さん、その節はごめんなさい!
ところで、漫画は、面白さを追求したり、勉強の息抜きに読んだりする場合が多いと思うのですが、私にとって「ブラック・ジャック」と「銀河鉄道999」は、当時、半ば悲壮な決意で読んでいたと言っても過言ではなかったのです。
と言いますのも、私は「ブラック・ジャック」で、生命の尊厳を、「銀河鉄道999」では、人生どう生きるべきかを知りたくて読んでいたからなのです。
「ブラック・ジャック」は以前に書きましたので、「銀河鉄道999」に的を絞って書きますね。
この漫画は、機械の体をただで手に入れようと、アンドロメダ行きの銀河鉄道999に乗った星野鉄郎少年と、謎の美女メーテルの二人が、駅のある惑星などで様々な人々と出会い、いくつもの事件に巻き込まれながら、大宇宙を旅するストーリーで、人生にとって大切なものとは何かを探る趣向になっています。
鉄郎が機械の体がほしい理由は、病気で苦しむ事もなくなり、部品を交換するだけで、千年も二千年も長生きできるからです。
いわゆる、不老不死の体を手に入れたい訳なんです。
でも、鉄郎は行く先々で、あたたかい血が通った体ほど、有り難いものはないのだよと多くの人々に教えられるのです。
与えられた命を精一杯、生きて、死んだ方が人間として幸せではないのか?
また、この漫画はひとつひとつのエピソードのラストに心にしみる文章が書いてあり、よく考えさせられたものでした。
たとえば、「火星の赤い風」のエピソードのラストには、こう書いてあります。
火星に吹く
赤い風の音は
その赤い砂の下で
眠る者の
すすり泣きだと人はいう。
火星の赤い風は
今日も明日も
夢をはたせなかった
者のためにすすり泣く・・・
だから、火星は
いつまでも赤いのだという・・・
「水の国のベートーベン」というエピソードでは
どの人の胸の中にも
一生のうちのどこかで
一度は希望という名の光が
火のように燃えて
輝くときがあると
カシオペアで死んだ
老詩人がかいている・・・
たとえ、まちがったものを
めざす希望の光でも
それはとても
美しいものだと・・・
そして
それより美しい光は
宇宙には存在しないとも
かきのこしている・・・
そして、この「銀河鉄道999」で忘れてならないのは謎の美女メーテルでしょう。
普通、少年漫画の女の子は、主人公と、同い年か年下の女の子で、次第に付き合っていくうちに、相思相愛になるパターンが多いですが、メーテルは鉄郎と違い、大人の女性で、恋愛に発展する訳ではないのです。
作者の松本零士先生はメーテルに何を託したかったのか、こう書いてらっしゃいます。
鉄郎にとって、メーテルは思春期の願望と幻影、希望と夢そのものです。
そして、それはまさしく松本零士先生の思惑通り、世の少年たちをして、謎めいて、大人の女性の魅力を持ったメーテルのとりこにしたと言っていいでしょうね?
私にとって、松本零士先生の「銀河鉄道999」は人生どう生きるべきかを考えさせてくれたとても大切な思い出の漫画なのであります。