仁川アジア大会陸上はリレー種目の決勝でした。
日本はマイルリレー男子が金、女子が銀。
4Kが男子が銀、女子が銅と健闘しましたよ。
4×100mリレーといえば、
男子が2008年の北京五輪で堂々銅メダルを獲得しました。
そのときの記録が38秒15。
これを4で割ったら、100mの平均が9秒53、
これは何とウサイン・ボルトの世界記録9秒58を
上回る速さなんですね。
どうしてリレーだとこんなに早く走れるのか?
その秘密は20mのバトンゾーンの存在なのだそうです。
選手は一人当たり100mではなくて実際は120mを走る。
加速に必要な20mという距離を選手同士がダブらせることで
お互いがトップスピードでバトンを渡すことが出来るのだとか。
選手個人の走力を単純に比較しただけでは敵わない相手でも、
リレーでは勝てる。
国際大会でリレーの決勝常連メンバーの日本。
お家芸とも言われています。

北京五輪3位のアンカー朝原選手が、
以前テレビで興味深い話をしていました。
その秘密はアンダーハンドパスと足長なんだそうです。
足長(そくちょう)。
足の長さではありませんよ。
バトンを受け取る選手が競技の前に、
自分のバトンゾーンからスパイクの長さで何歩か先に、
トラックにテープを貼って印を付けているのを見たことありませんか。
この印をバトンを持った前の走者が通過したときに、
自分が走り出すタイミングを計る重要な目安になります。
この目印を付けることが足長。
予選では大事をとって、間違いなくバトンが渡るように
足長を短めに。
メダルが懸かった決勝ではタイムも狙って、
一か八か足長を長めにするのだそうです。
面白いですね。
それでも気合が入りすぎると、
つい足長の印より早く走り出してしまうことも。
朝原選手は現役時代よく
「早出の朝原」と言われたそうです。
アンカーを務めることが多かった朝原選手は、
第1走がスタートを切ってから20数秒待ち時間があります。
「(1走、2走、3走と)
前の選手の動きは
目で事務的に見ます。
感情を入れすぎて目で追っていると、
バトンが近づいてくると
“うおー!きたー!”
となってしまって、
つい早く出がちになるんです」
「誰よりも早く走った人が1位」
単純明快な勝ち負けが陸上トラック競技です。
そんな中でリレーは陸上競技では唯一の団体競技。
わずか38秒の世界がどんなに奥が深いか。
来年は北京世界陸上。
そして2年後はリオデジャネイロ五輪が控えています。
日本勢のリレー種目の活躍が益々楽しみですね。