福島木工家具店

製作した家具の紹介と日記

自在カッター

2012-12-02 00:00:07 | 日記

現在、キャビネットを製作しております。

このような箱物の製作は、見た目よりも結構手間が掛かるもので、

設計は緻密に、墨付けは正確にしなければなりません。

一つのパーツに間違いがありますと、すべてに影響してきます。

(今回の基本設計は建築士の方から図面を頂いておりますので楽させて頂きました)


特に抽斗(ひきだし)や扉などが含まれてくると、

それはもう緊張した作業になります。


キャビネット作りには、棚や背板などの板材のパーツがあり、

本体フレームに溝を掘って、そのパーツを嵌め込んで組んだりします。


このような溝堀には、毎度おなじみ溝切りカッターの出番です。


今回は、自在カッターの紹介。


溝切りカッターに、自在カッターを取り付けたところ ↓





見た目は、普通の丸ノコ刃を小さくしたような感じですが、

よーく見てみますと目盛りのようなものが ↓





3から21までの数字があります。

これは、3mmから21mmまでの幅の溝が自在に掘れますよということです。


本来ならば、一枚一枚用途に合わせて、その刃幅のカッターを用意するのが理想なのですが、

個人でほそぼそとやっているウチとしましては、そういう訳にもいきませんので、

大変に有難いアイテムなのです。


どうして、たったコレ一枚でいいのか?

といいますと、この写真をよーくご覧ください ↓





わかりますか、

カーター刃が斜めになっています。


数字のメモリダイヤルを回しますと、

ダイヤル自体の厚みが変わるようになっており、

これに伴い、カッター刃も斜めになったりするのです。


ですので、スイッチを入れますと、カッターはグニャグニャとブレながら回転する訳です。

そのブレ幅分が、溝掘りの幅分となります。

そのため、回転中はちょっと振動がありますが、切削中はそんなに気になりません。


今回の使用箇所は、厚み12mmの本実加工板を、

キャビネットの背板として、フレームの内側四方ぐるりと溝を掘って嵌め込むため。


12mmの板材を嵌め込むのだから、溝掘りの幅は12mmでいいのかというと、

そうは簡単にいかず、プラスαした幅に設定します。


といいますのは、嵌める板材を塗装する場合、その方法や種類によって、

12mmの厚みが、実際の仕上がり寸法は、例えば12.3mmだったりする訳で、

さらに、嵌め込む時に、板材が反って変形していることもあり得るので、

スムーズに作業することも考慮して、この場合は12.5mm以上に設定しておくのが望ましいです。


理論上の数値は出ましたが、

本番前に、試し掘りをしておいて、板材の嵌め込み具合を確かめておきます ↓





緩すぎず、きつ過ぎず、材を滑らしてみて感触を確かめます。

まあ、手作業ですので、仕上がりには多少のズレは出てしまいますが、

このように一つ一つ注意を払って、誤差が少なくなるようにしていきます。





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板材への白色塗装

2012-12-01 00:26:35 | 日記

塗装といいましても、様々な種類と方法があると思います。

ウチでつくっている家具では、ほとんどが自然塗料のオイルで仕上げています。


まず、どうして自然塗料か?といいますと、

「エコで安心・安全」という、今ではすっかり標語みたいになってしまった理由

という訳でもありますが、体質的に化学塗料は苦手なんです。


気分が悪くなります、頭痛がしてきます、おまけに喉も痛くなってきます、という具合で、

あまり仕事にならなくなってしまうので、極力使わないようにしています。

まあ、気分的な問題でもあります。


今回は、オイルベースでの白色塗装をすることになったのでちょっと紹介。

数年前に一度、白色のオイル塗装をしたことがあるのですが、

思ったように白色にならなくて断念した記憶があります。


自然塗料のオイルだけでは強力な着色ができないのですね。

特に白色のように明るい色を、茶色の木材へ塗ってもうっすら白色が被る感じで、

白にはなりません。


ですので、その後、白系の着色をする場合には、割り切ってペンキを使っておりました。

ペンキの場合、極端な話、塗装する材は、木だろうが、鉄だろうが、コンクリだろうが、

なんでも有りで、塗ってしまえば下地の材の存在感は隠れてしまいます。

木材の個性が隠れてしまうのは、ちょっと残念な気分になることもあります。


前置きが長くなりました。

塗装の前にやっておくこと。

それは素地研磨。

塗る材にペーパーがけすることです。

今回塗る材は、既製品の杉板(本実加工品)。

既製品でカンナ仕上げしてあり、本当はそのままでもいいのですが、

着色する場合はペーパーをかけたほうがきれいに仕上がります。

カンナがけしてあるとはいえ、近くでよーく見てみると、

毛羽立っていたり、傷がついている箇所がちらほらとあります。

クリア塗装する場合は、それほど問題はありませんが、

着色の場合は、その部分に色むらがはっきりと出ることがあります。

塗った後から修正するのは大変ですので、予め研磨しておけば安心。


塗装する板材とサンダー ↓






240番のペーパーできれいにしていきます。

番手が高くなると非常にきめ細やかに仕上げることが出来ますが、

その分、ペーパーが薄く、すぐに磨り減ってしまうので、

まめに交換が必要です。


サンダーがけする時はコレ ↓





防塵マスクと防振手袋。

この防振手袋は、手のひらと指の部分に細長いバネが何本も入っており、振動を吸収してくれます。

ごわごわしているので、道具を握るくらいしか使えませんが、

連続長時間のサンダーがけをする時には、手がしびれにくく重宝します。



次に塗料と塗装道具 ↓






今回は、オイル塗装の前に、水性ステイン(写真左)を使うことにしました。

水性ステインとは着色剤のことです。

木目を残しながら、結構濃い目に着色することが出来ますので、

その後に、白のオイル塗装をすれば、それなりに白色に仕上げることが出来ます。


写真中央下にあるのは、コテバケです。

スポンジ状のパットにハンドルがついています。

パットは交換できるようになっています。

平面を均一に塗り伸ばすことが出来ますので、早くきれいに仕上げることが出来ます。


すーと楽々です ↓






塗る前 ↓






塗った後 ↓




写真では木目はつぶれているように見えますが、実際には薄っすらと残っています。



1m前後の板を90枚近く塗装しました ↓






薄曇だったのが、曇ってきて、空の様子を伺いながらの塗装。

広ーい屋根付きの作業場があるわけではなく、半屋外での作業ですので、

天気には気を使います。


塗装し終わって、乾く前のタイミング(←これが難しい)でウエスでふき取り、

そこそこ乾いてきた頃に、小屋の中へ持ち込み、一枚一枚立てかけて養生。

やっと終わったー、という時に雨がパラパラと。

こんな時、なんかちょっと快感です。



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