薔薇に降る雨☆４

七帆くん。クリストフ・ダリュー氏。
会計士。

退団公演なのに、出番が少ないと聞いていたんだけど、
確かに、少ない。
少ないんだけども、割合としちゃ、
悠未さんも、いりすくんも同じくらいで、
うー、まぁ、妥当なのかなと思う。

正塚先生というと、
大劇場公演の前作の「マリポーサの花」のイメージが、未だ強い。
あの公演時間の長さがあって、
主要キャストの人数の少なさに驚いたんだけど、
今回は、大丈夫？だったことに、まずホッとしたのでした。
多くはないけど、いりすくんまでのスターさんは、それなりに、インパクトの強い人物で、
それぞれが、面白い…かなり。

ダリュー氏は、イヴェットのお父さんの伯爵の会計士。
伯爵の破産に、詐欺に遭ったのではないかと、
調査会社を経営するジャスティンに、調査を依頼しに来る。

この場面と、
調査結果を、男爵が伯爵に報告に来るところが、ダリュー氏ご活躍の場。

ダリュー氏は、身体は大きいんだけど(そりゃそうだ)、
気が小さいのか、佇まいが小さい。
「父のエミールと」と言うんだけど、
父…って、誰？(笑)
わざわざ名前が出てくるんだけど、登場しない、エミール・ダリュー氏。
しかも、父って口にするのは一度ではないんだよね(笑)。
やたら気になる…エミール氏。

真面目で一生懸命で、椅子に窮屈に収まる、クリストフくん。
恐縮してる姿が、ものすごく面白い。

「雨に唄えば」の監督も、キャラが強くて面白かったんだけど、
七帆くんの、追い詰められた感じの濃いキャラって、面白いよね。
どこかが、リアルなんだけど、でも極端で。
ちょっと情けない感じが、独特。

残念なのが、ダリュー氏登場の場面は、
いつも男爵がいる、ということ。
私は、男爵を観ていたいわけなんだけど、ダリュー氏も観たい。

ダリュー氏が、調査依頼にやってくるところは、
氏が、椅子の上でバウンドしている、と、NOW ON STAGEで言っていたので、
とっても楽しみにしていた。
確かに、よくよく見ていると、そんな感じもあるんだけど、
だけど、凝視してるわけには、いかない。

このダリュー氏の後ろに男爵が居て、
男爵も、このバウンドしてるらしいダリュー氏の、椅子からはみ出す後ろ姿を、みつめているのだ。
これは、蘭ちゃんが、役としてみつめてる部分と、
そんな七帆くんが面白いから、何食わぬ顔でみつめてる部分と、
多分、両方の眼差しが混ざっているんだろうけど、
私も、そこまでを観たいと思って、男爵を見るでしょ。
…ああ、忙しい(笑)。


いりすくん。エストール・ボヌー氏。
伯爵が投資していた会社…つまり、突然倒産してしまった会社の社長。
楽園王子の時は、七帆くんの恋人だった、ちさきちゃんが、奥さん。
ちさきちゃん、最近美味しいなぁ。

いりすくんが、また、弱っちい感じのキャラで、
何とも言いがたい味を見せてくれている。
大きさを活かしきれてない感じが、たまらない。
かといって、
変にへにゃへにゃしすぎてるのでもないのが、やり過ぎてなくて、好き。

七帆くんにしても、いりすくんにしても、
子どもの頃から、周りより大きい身長を、
周りサイズに合わせるようにして育ってきたことが、そのまま役に活かされてるんでしょうね。
何となく、そういう感覚ってわかるだけに、面白い。

見所は、
やたらと、ジャスティンに殴られっぱなしで、
さっぱり反撃できないところ。
ジャスティンは、元軍人なので…
という台詞は全くないけど、説明にはそう書いてあり、この設定は生きてるらしいから、
工場のあんちゃんでしかない、ボヌー氏が、太刀打ちできないのは、おかしなことではない…
ないはずなんだけど、どうにもボヌー氏の情けなさが、愛らしい。

なんで、こんなに情けない感じなんだろうと思ったら、
よく考えると、ユウガ氏も、あんまり強そうには見えないからだね。
なんだろう…腰の位置が高いというのか、
いくらか、空回り気味な手の出し方というのか。

だから、コミカルで、重くなりすぎないんだから、
これはこれで、よいのかもしれない。

愛らしいと言えば、
男爵が、伯爵家で調査報告をしている、あの場面、
雁首揃えて、ダリュー氏とボヌー氏、ご夫人がソファーに小さくなって座ってるところ！
あそこも、たまらなく、ツボで…
立ったり座ったりの、絶妙なテンポが、何度見ても、笑える。

これまた、
男爵がそこに居るために、私は、大変に忙しいのが困るんだけど、
せかせかと、あの人を見たり、この人を見たり、楽しく頑張ってます。


つづく。