goo blog サービス終了のお知らせ 

風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

木材利用大型施設コンクール

2009-03-20 16:18:29 | インポート

Photo Photo_2 19日に木材利用大型施設コンクールの表彰式が県知事応接室であり、応募した「YMCA赤水保育園」が熊本県賞(グランプリ)に選ばれました。

6年前の「YMCA阿蘇キャンプメインホール」の熊本県森林組合連合会賞に続き、YMCAの施設での2度目受賞です。木造の建物が得意と言う意識は無いのですが、設計している物件数(住宅を含め)を考えると約半数以上木造になっています。木造を設計する場合、構造用集成材やトラス工法は出来るだけ使わない様にしています。それは構造用集成材を使うのであれば鉄骨の方が空間的に良い建築が造れる気がしますし、木造トラスが内部に見えてくる空間がどうも感覚的に馴染めないからです。それで丸太や瓜皮剥きの梁を組合わせ、方杖や合掌で間口の広い(5間巾程度まで)空間を在来軸組工法で設計しています。

受賞することは第三者の方から評価を受けることで大変嬉しいことですが、建築を良くするのは「建て主の思いや姿勢」にあると最近よく思います。耐震偽装問題から設計者のコンプライアンスに対する批判もありますが、建て主が「安さ、速さ、利益」を求め、設計者を選別すれば、良い建築を造ることは難しくなります。逆に「建て主の思い」がどんどん良い建築にしてくれた経験は何度もあります。                                      経済的に恵まれなくても良い建築を造ろうと頑張るのは設計者の性で、建築に夢や理想を求め、寝ても覚めても建築の事ばかり考えて「建築に恋してる」状態の設計者もいます。

赤水保育園は360度森に囲まれた素晴らしいロケーションの立地もありますが、戦後すぐ二重の峠の麓にYMCA阿蘇キャンプを開設し、「青少年の精神・知性・身体の調和のとれた全人的成長を目指した活動」の野外教育の大切さを、阿蘇の地元と一緒になって育ててきたYMCAの多くのボランティアやキャンプリーダー達の思いが、阿蘇キャンプメインホールや赤水保育園の建築になって現れた気がします。

そしてやはり、施工の取り組み方が良くなければ建築は良くなりません。「建て主が思いを伝え」、設計者が「心を込め」、施工者が「良い建築を造ろう」とした時に初めて良い建築になるようです。今回、頑張ってくれた東稜建設の監督や職人さん達の受賞でもあると思います。


東京での棟上

2009-01-26 10:03:19 | インポート

1 2 3 21から24日の3泊4日で棟上の立会いに行きました。熊本の大工さん4名と地元建設会社大工さん2名で、22日朝熊本から大型トラックで運んだ材料を下し、土台、大引組み、そして1階の柱を組んで行きました。東京はここしばらく天気が良かったとのことですが、21日夜から雨になり、22日朝には止むとの天気予報も霧雨が降り続く天気でした。22日も夕方から朝まで本格的な雨が降るとの予想、2階床組みまで終り雨養生をして、次の日の棟上に備えました。

翌日、実はチョット問題発生、朝から通し柱、大黒柱廻りを組み直すことになり、上部の材料を移動しながら、部分的に梁を外し組み直しました。午前中には組み直し作業も終り午後からは2階、小屋組みまで順調に進み夕方にはほぼ完了、どうにか予定通り棟上のお祝いが出来ました。

東京の住宅に熊本の木材と大工さん(熊本城本丸御殿でも棟梁として腕を振るった人-なかなかの肥後もっこすです)で建てる。ある意味すごく面倒で気を使うことを何故やろうと決めたのか、悪天候や組み直しの大変さの最中、チョット暗い気持にもなりましたが、棟が上がった時、熊本と東京の大工さん達が協力し、休み時間も削って一生懸命取組む姿は素晴らしく感動的でした。

一時間ほどの祝いの席では、東京の住宅造りの現状や地方にも進むプレカット化などの話になり、造り手の気持を受け止める仕事が少なくなる中、「とっても良い経験が出来た」との自己紹介での一人一人の言葉に、間に立った設計監理者として苦労はありましたが、やる意味があったことを確信出来ました。「百聞は一見にしかず」です。一度経験したことは一生の財産になります。その大切さは経済性や効率性では計れません。短かい宴は嬉しい一時でした。

               


寒の一月

2009-01-16 20:54:07 | インポート

1 2 今日は熊本県木造利用大型施設コンクールの現地審査があり、設計者として赤水保育園に立会いと説明に行きました。阿蘇は週末からの降雪のため、幹線から保育園までの道路は雪が残り、快晴とはいきませんでしたが、時々日が差しソーラーは外気温6℃の中、集熱温度45℃とそこそこ働いてくれていました。0、1才児も居る保育園はパッシブソーラーのほんのりと温かい床暖房効果が良いと言われます。直接温める床暖房は床面温度が高く、遊んでいる時は良いですが、昼寝の時は寝汗を掻いてしまい体調管理が難しいとの事です。

1_2 1_3 先週は熊本大学のこばと保育園が完成、昨年からソーラーを組み込んだ保育園の設計が2棟続いたことになります。同じ用途の建物設計は続くケースが多く不思議です。

2_2 1_4 011 こばと保育園は熊本大学施設部の発注で基本設計と実施設計は担当しましたが、監理は施設部が行いました。風設計室はソーラー部分だけの重点監理でしたので、色彩計画などは担当の方にお任せでしたが、担当された女性の監理者がきめ細かく、熱心に対応して頂いたので、私としてもほぼ納得の出来上りです。

来週は東京の住宅の棟上げです。熊本の材木、構造部の手刻みと棟上までは熊本の大工さんが行います。私も立会に行きますが天気を心配しています。明日は大工さんの加工場へ、スタッフと一緒に土台と大引に防蟻防腐液状触媒活性炭を塗りに行きます。現場では大型トラックで運んだ木材を下ろし、すぐ土台敷きを始める為、現地で塗る時間が無く熊本で塗って持って行くことになりました。二度目の設計者自らの炭塗りです。


東京建築散策Ⅱ

2008-11-25 20:57:48 | インポート

Photo Photo_3 Photo_4 11月23日朝熊本を発ち、「多摩の家」工事契約立会いと近隣挨拶へ、 その後3時間で目白の吉村順三記念ギャラリーの「新宮殿」展を見に行きました。(土日の13:00~18:00しか開いてないので)初めて行ったのですが、目白駅から徒歩5分ほどの幹線から一筋入った高級住宅地の中にありました。周辺を歩くと「徳川黎明館」と在る鬱蒼とした大木の中に大きな洋館が建っています。路地には私有地進入禁止の文字、地図で調べると一帯の地名は「徳川ビレッジ」とあり、周辺は徳川家関係の住宅街でその一角に吉村順三記念ギャラリーがあるのでした。

駐車場の小さな入口から入ると約10坪程の展示室と旧応接室があり、「新宮殿」の写真と図面、そして今回40年ぶりに撮影されたスライドがパソコンで見られるようになっていました。見る時間が30分しか無く、3日前に発刊されたばかりの書籍「私はなぜ建築家になったか」を買いトンボ帰り、多摩センターに着くと大通りはイルミネーションと大勢の人でごった返していました。(東京は何処へ行っても人が多い)

Photo_5 Photo_6 ホテルが新宿だったので久しぶりに副都心をぶらぶら、やけに目立つトウモロコシのような東京モード学園の高層ビル、四角い高層ビルの中に「突然なに」と言った感じで建っています。最近名古屋でもデザイン学校関係のスパイラル形状の高層ビルの記事をみましたが、どうして高層ビルを建てられるほど資金(授業料?)があるのか、それが不思議に感じました。

「私はなぜ建築家になったのか」の中で「建築家は社会的、金銭的には恵まれないようですけれど、建築を造る自由と創作の喜びが与えられています。と同時に建築家の責任、自然破壊とか、公害とか、そういうものをコントロール出来るのも建築家ですから、そう言う特異な立場を理解されて、そして、やはり年をとるまで、建築の仕事に努力されて、その喜びを持って頂きたいと思います」吉村さんの優しい建築設計への思いに少し元気がでました。


液状触媒活性炭

2008-11-22 19:36:24 | インポート

P1050182 P1050187 今日は朝から「栄町の家」の現場に基礎床下内部に液状触媒活性炭(炭の液)をスタッフとメーカー、現場監督の四人で塗る作業に行きました。

今回が初めて採用ですが予算の関係から減額になり、材料だけを購入し、自前の施工となりました。製品名は「ヘルスコキュア」と言い炭と木搾液を混ぜたもので、防蟻防腐と炭の調湿消臭の効果があります。OMソーラーの採用で薬剤による防蟻処理をしないことと、「栄町の家」には夏場の床下涼風取り込みファンと地下水を利用したクールチューブを取り入れた関係で、床下の空気環境を良くしたい考えました。

コンクリート床は1回、外周基礎内側は2回塗りました。強い炭の匂いがし、最初緑かかった黒ですが、乾くと真っ黒になります。四人で9時から12時までで完了です。来週土台と大引が搬入され、木材の四面にも2回塗りをして完了です。

効果は住まれる建て主しか分からないのですが、同じものを塗っている住宅では室内空気が清々しい感じがするとの事なので期待しています。